現代語俳句への旅 16
「 小春 」
~現代語俳句集~
さいげつがきこえる銀杏ふぶく中
湯からでてだれも道後の秋のかぜ
たい焼きとかわりつづける日本と
ほのとあるポストひとつの立冬よ
春夏秋冬あるきつづけて海のおと
手のひらにすくえばしずか冬の海
寒夕焼この世のはてはいましずか
一日をまっしろにしてしぐれるか
かたらいに行くさきざきの置炬燵
雪降ると酒はこんなに美味しいか
◇
行くひとの手にもコーヒー立冬よ
毛皮びとあるいて老いて風のおと
沖見つめろうじんというふゆの海
生き抜いて小春日和のなかにいま
ふたとって鍋ぐつぐつとにほん海
湯気たててじんせいという一人鍋
スケートの子らよそよ風つむじ風
ひとりゆく突風アイスホッケーよ
手にすくう近江のけしきみずの秋
かがみ見てうなづくことも立春よ
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