現代俳句 作品集 11 〜窓ひらく〜
「 窓ひらく 」
~現代俳句集〜
世の中のなにかが変わり降る雪よ
雪の夜よろくろのおとと土のおと
寒つばきおしみなく花くりだして
島に陽のあたりどおしよふゆの海
あるく鳩羽ばたきがちよ明日の春
駅長にストーブだけがしんしんと
ゆきだるまうしろすがたよ島に波
早梅よあすを見ているきょうの庭
いっせいにすずめが飛んで寒の明
西の都市ひがしの都市に春立つか
◇
極東にあさいちばんのさえずりよ
一重咲き八重咲きすべて牡丹の芽
つぎつぎにえだ咲きのぼる白梅よ
西洋館まっ赤な薔薇の芽吹きこそ
ペルシャ猫ふわりと立上がる恋か
さえずりがさえずりをよぶ島々よ
軍国かわれてはじけてしゃぼん玉
香つぎつぎ咲きひろがって梅の枝
古代碑の一つしずかにかげろうか
みずからでかんがえる世よ春炬燵
◇
木々の芽よおととい昨日今日明日
鳳凰もあらわれはるのゆうやけ空
ひとだけがあたたかい都市春の雪
のどかさようしろ手ついて芝の上
過去へ消えみらいへ消えて石鹸玉
平和さよ雨あがるたびしゃぼん玉
死も生もかなしいことよしじみ汁
今に居てこころは明日にしじみ汁
せいねんと他人を乗せて春のバス
むかしからむかしのままか春の月
◇
白でもなく赤でもなくてうめの山
梅林よあかしろ枝だれひと重八重
いつよりも荒ら荒らしくて春神輿
のどかさよ沖をみて待つつぎの船
大ぞらのまんなかにある巣箱こそ
初出社ラッシュアワーのその先へ
街の夜よスマートフォンに春の雪
田の蛙かおだけだしてゆうばえて
春というおおきなちから窓ひらく
とぶ蝶よ白とも黄ともひかりとも
1月29日〜2月19日
発表日順
いつも
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