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現代語俳句への旅 43 〜晴ればれと〜


「 晴ればれと 」
~現代俳句集~

大風邪の世のなかはまだ夜の中か

身について夕空いろのセーターよ

この星をあたたかくするしら息か

いまの世よだまったままの冬の月

着ぶくれておおぞらを見て純朴か

ぼろぼろよ芽吹きまぢかの大枯野

心から浮いたここちの柚子風呂か

はじまりのひとりをたたえ聖歌隊

富める者ますます富むか聖夜の鐘

りんりんと橇が聖夜をりんりんと


お歳暮よおもいはとおい嶺を越え

虎河豚をごりごりさばく静けさよ

除夜の鐘ここらはなさけある町よ

鐘が鳴ったり雪になったり大晦日

一人一人世にあらわれて初日の出

あらたまの年のはじめの嶺よ晴れ

その前がひろくひらけてかがみ餅

ゆめをみるこころは白帆たから船

また一人鳩羽ばたかすはつもうで

大阪が押し寄せやまずはつもうで


そのおさが八咫のからすか初御空

めでたさよあかい日の出の雑煮椀

白息を吐きつぎの代へつぎの世へ

ロボットがしゃべりだした日春隣

とうきょうのたかさひろさよ初雀

自動運転木の芽の道をまっすぐに

さいげつをながめ見てこそ大枯野

AIが見つめている世雪降りだす

ファンヒーター窓をくもらす暁よ

子らのうたアレクサのうた春間近


いっせいにみなみを向いて水仙よ

そのはてにただ空がある読初めよ

鏡びらき年をひらくということか

いまの世を嘆きだすとき木の葉髪

恐竜があるきだすかにはるの灯よ

たね蒔くか書物の山に埋もれるか

富士という晴ればれしさが春の風

都会にもあるどん底よあんこう鍋

凍土の話しウォッカの話し翻訳機

晴ればれとはるばると果て成人式

12月17日〜1月11日
発表日順


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Kusabue



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現代俳句 400句
〜2020年 年間作品集〜



現代俳句 作品集 700句



俳句集 200句
〜上記作品集から選〜




◇ エッセイ ◇

俳句読みくらべ
~現代語俳句と古語俳句~



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~現代語俳句の切れ字集~




現代切れ字18字について
〜説明・使い方・例句〜



現代語の俳句とその詠み方
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