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現代語俳句への旅 43 〜晴ればれと〜
「 晴ればれと 」
~現代俳句集~
大風邪の世のなかはまだ夜の中か
身について夕空いろのセーターよ
この星をあたたかくするしら息か
いまの世よだまったままの冬の月
着ぶくれておおぞらを見て純朴か
ぼろぼろよ芽吹きまぢかの大枯野
心から浮いたここちの柚子風呂か
はじまりのひとりをたたえ聖歌隊
富める者ますます富むか聖夜の鐘
りんりんと橇が聖夜をりんりんと
◇
お歳暮よおもいはとおい嶺を越え
虎河豚をごりごりさばく静けさよ
除夜の鐘ここらはなさけある町よ
鐘が鳴ったり雪になったり大晦日
一人一人世にあらわれて初日の出
あらたまの年のはじめの嶺よ晴れ
その前がひろくひらけてかがみ餅
ゆめをみるこころは白帆たから船
また一人鳩羽ばたかすはつもうで
大阪が押し寄せやまずはつもうで
◇
そのおさが八咫のからすか初御空
めでたさよあかい日の出の雑煮椀
白息を吐きつぎの代へつぎの世へ
ロボットがしゃべりだした日春隣
とうきょうのたかさひろさよ初雀
自動運転木の芽の道をまっすぐに
さいげつをながめ見てこそ大枯野
AIが見つめている世雪降りだす
ファンヒーター窓をくもらす暁よ
子らのうたアレクサのうた春間近
◇
いっせいにみなみを向いて水仙よ
そのはてにただ空がある読初めよ
鏡びらき年をひらくということか
いまの世を嘆きだすとき木の葉髪
恐竜があるきだすかにはるの灯よ
たね蒔くか書物の山に埋もれるか
富士という晴ればれしさが春の風
都会にもあるどん底よあんこう鍋
凍土の話しウォッカの話し翻訳機
晴ればれとはるばると果て成人式
12月17日〜1月11日
発表日順
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Kusabue
○ 過去記事 ○
◇ 俳句作品集 ◇
現代俳句 400句
〜2020年 年間作品集〜
現代俳句 作品集 700句
俳句集 200句
〜上記作品集から選〜
◇ エッセイ ◇
俳句読みくらべ
~現代語俳句と古語俳句~
現代語切れ字十八字
~現代語俳句の切れ字集~
現代切れ字18字について
〜説明・使い方・例句〜
現代語の俳句とその詠み方
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