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現代語俳句への旅 45 〜島やがて〜


「 島やがて 」
~現代俳句集~

にんげんもすなおに咲けよ冬の菊

きょうまでの幸が不幸がはるの雪

まぼろしのおととどろかす凍滝よ

しんしんと耳のいたさの凍て滝よ

ほっかいどう零下四度の冬ぎんが

学問もあすへあすへと木の芽どき

マネキンのとわの静止よぼたん雪

しみじみと大ぞらのした雲雀ヶ丘

鳶だけが飛んでいる島うららかよ

北方領土雪ふりつづきふりやまず

歯舞群島ひとつにこおる海おとか


じてんしゃに鳩に都会にはるの空

ほしぞらよ砂浜にあるくじらの死

陽のあたる野にあそぶとき自然体

菓子を生むフードプリンタ春の昼

大和路のむかしをいまをはるの旅

仰ぎ見てうちゅうのなかの浜焚火

輪郭がだんだん富士よ春あけぼの

地球じゅうデモまたデモの白息か

駅に立つひとりひとりの冬終われ

せつぶんのまめのちからか百一歳

いまの世があつまるポスト立春か


春立つかひがしに筑波にしに富士

いちぞくに箸ゆきわたれふきの薹

梅いちりんにりんさんりん天満宮

嶺々からの日ざしそのまま白梅よ

ふるさとが歌いだすかにうめの花

どの家のたんぽぽも絮そよかぜよ

たね蒔きよ日あたっている金峰山

鐘ついて余寒のそらをふるわすか

瀬戸をゆく船いろいろの長閑さよ

未来都市ゆたかに春のひかりさす

少年という春雲よジャングルジム


地球史よ日ざしに透かすさくら貝

観梅よアルプスの嶺々はるばると

夕富士の立つすがたこそはるの空

その下で死んで生まれておぼろ月

島やがて宇宙とひとつはるの暮れ

春の空ゆうきゅうの庭しずまるか

一年の日ざしがしみたたんぽぽか

クローン羊わすれなぐさの草原よ

都市はみなそらへそらへと建国日

無くなってゆくかに松よぼたん雪

晴ればれと比良があるから耕すか


1月26日〜2月12日
発表日順


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Kusabue



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