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俳句 〜口語俳句の口語とは何か〜 小エッセイ


俳句にご興味のあるnoteのみなさまに俳句のさまざまなことについてご紹介していく記事です


『俳句 〜口語俳句の口語とは何か〜』

俳句には、文語体で詠む「文語俳句」と口語体で詠む「口語俳句」があります。

俳句でいう文語は古代から明治期までの「古い時代の文体」のことです。

咲き満ちてこぼるる花もなかりけり  虚子
山国の蝶を荒しと思はずや      虚子
遠山に日の当りたる枯野かな     虚子

などの例句があります。


一方、俳句でいう口語は現代の話し言葉のこととされることが多いですが、本当にそうなのでしょうか。

俳句でいう口語は、

「口語」だから話し言葉

といったとらえ方をされがちですが、
その言葉自体に惑わされずに整理して考えると、

まず文語は、

◇文語=文語体=古い時代の文体=古典語のこと

という扱いですので、それと対になる口語は、

◇口語=口語体=現代語の文体=現代語のこと 

になるのではないかと思います。

ですので俳句でいう口語は、現代の話し言葉・現代の書き言葉をふくんだ「現代語の文体」のことといえそうです。

雲は秋運命という雲もまじるよ   兜太
霧に白鳥白鳥に霧というべきか   兜太
おおかみに蛍が一つ付いていた   兜太

などの例句があります。


これらのことをもっと極端にわかりやすく言うと、

俳句でいう

文語とは、古典語のこと
口語とは、現代語のこと

文語俳句とは、古典語を基本に詠む俳句のこと
口語俳句とは、現代語を基本に詠む俳句のこと

ともいえそうです。


最後に、口語を現代の話し言葉に限定してとらえてきたことで俳句として詠みづらくなっていた部分もあるのではないかと思います。

俳句でいう口語については「口語」という言葉自体に惑わされないことがまず大切ということができそうです。


いつも
ご覧いただき
ありがとうございます

◇追記
下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です。

◇文語=文語体=古典語=古い時代の文体

◇口語=口語体=現代語=書き言葉(文語体)
         ∟==話し言葉(口語体)


*個人的な見解もまじえて短くまとめてみました

*至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあるかと思いますがご容赦ください

*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります


◇引用 作品収録句集

高浜虚子著
句集「高濱虛子集」朝日文庫 1984年
句集「六百句」  菁柿堂  1947年
句集「五百句」  改造社  1937年

金子兜太著
句集「百年」   朔出版  2019年
句集「旅次抄録」 構造社  1977年
句集「東国抄」  花神社  2001年


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