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油屋Season2

 ご無沙汰しております。
この度、無事に秋田公立美術大学美術学部美術学科アーツ&ルーツ専攻を卒業できることになったのでそれの卒業制作について、まとめようかな〜とか思い始めてしまったのでこれからまとめます。がんばります。


はじめに

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 タイトルの通り「油屋Season2」という作品をつくったわけですが。

 みなさんは、「油を売る」という言葉をご存知でしょうか?
仕事中など何かやるべきことの最中に無駄話などをして怠けるといった意味です。この言葉の語源を遡ると、江戸時代にまでたどり着きます。その昔、江戸時代には、油売りという商人がいました。油売りは、量り売り方式で漏斗を使ってお客さんの持つ瓶などの容器に注ぎ入れるという仕組みでした。しかし、その当時の油は非常にもったりとした粘膜性のある油だったそう。注ぎ入れるのに、ずいぶんと時間がかかりました。それに加え、女性用の髪油(今で言うヘアオイルみたいなもの)を扱う商人は、お客さんである女性の気を引くために、人の噂話や世間話などを長々と語り合いながら商売をするのが当たり前だったそうなんです。
油売り以外の人から見たら、その光景が仕事をサボって怠けているように見えたのでしょうね。
 こういった背景から、「油を売る」。仕事中など何かやるべきことの最中に無駄話などをして怠けるという意味になったのです。

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 ですから、あの…
灯油とかガソリンとか、食用の油的なものの意味ではないってことです。
でも、ここまで説明しなくとも大体の人は作品を見ると理解をしていただけるんじゃないかと。


やったこと

油屋記録

 「晴れた昼間のアゴラ広場には油を売っている人がいるらしい…」
というわけで、アゴラ広場で油屋をしていました。こんなふうに。
映像もしっかりと撮っています。
不特定多数の方が来るので、できるだけ私の顔は写してお客さんは後ろ姿だったり、足元だけだったり、工夫して撮影しておりますが…。

油屋ムービー4


 映像の冒頭部で、友人の協力を得て、「田村久留美」を探してる様子があることにより、「なぁ〜^にアイツは、一体どこ行ってんだよ!はぁ?!油売りにいってる?…だと!」みたいな感じにしてます。油を売るという意味を表現してます。
あっ、出てる友人に、怒られたらこのリンク消します。ごめんなさい。

あと、みんな出演してくれてありがとう。大好き。
わりと適当にその辺歩いてて捕まえて気前よく出てくれた人がほとんどです。
この動画は、自分の中で宝物です。

 ちなみに、アゴラ広場とは、秋田駅西口からすぐの広場のことです。

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実際は巨大な喫煙所と化している場所です。まぁ、通路のような場所ですね。イベントスペースとしても使われています。
アゴラ広場についてはこちら。非営利目的なら無料で借りられます。

秋田中央ビルディングさん。本当にお世話になりました。ありがとうございます。


「Season2」について

 作品タイトルが「Season2」なのは、以前、大学構内でこの活動をしていたからです。
確か2021年の4月〜5月かな。晴れた昼間の暇な時間に大学敷地内でやっていました。詳しくはここで見られます。

 そこでは、たくさんの出会いが会ったし、知らない人と知り合えたり、1年生に道案内をしたり、人が集まる場所にはなったのですが…
結局、大学構内なので、知らない人といっても学生だったり教員だったりするわけですよ。(これはこれですごく楽しかった)
それじゃあなあ〜って思って、秋田駅前アゴラ広場にて油屋を始めたのでした。


そもそもなぜ油屋を…?

 先ほどの話からさらに深掘りをしていきます。
2020年2月にこのNOTEでもうっすら書き始めて頓挫しているのですが、晩冬アバンチュールをしてきたのです。その中でも、名古屋に訪れた際に、「聞き屋」という存在に出会ったことが全ての事の始まりです。
名古屋駅前のおもてなし花壇という場所で「聞き屋さん」は毎晩います。天気が良い限りは。その名通りなんでも聞いてくれる場所です。


 Twitterで知っていたので、夜の名古屋駅でウキウキしながら友人2人と「聞き屋さん」を探しました。
「聞き屋」にいると、女子高校生が「モバイルバッテリー貸してくんない?」とやってきたり、美容学生が「髪のセットの練習やっていいっすか?」と髪をセットされながら私たちとお話したり…マジのなんの変哲もないただの路上でそれが行われていることに感銘を受けたんですよ。
このただの路上をこんな場所に変容させることもできるんだって。

 とりあえず、試しに大学でやってみたいなー!と思ってた矢先にコロナで入構禁止…
こればっかりは仕方がないので、別の方法で「非・密基地」というインターネット空間にみんなが集まれる場所を作りましたが…「非・密基地」ついてはまた別の機会に。

 結局やり始めるのが、2021年4月でした。
昼間の大学構内で「聞き屋」をしているとですね、わざわざみんな暇じゃないはずなのに来るんですよ。

大学 油屋


「今、〇〇先生が授業しているんですよね。」とか言って来てくれる助手さんや「今、授業中なんですよ〜」と言う学生、「課題やってて〜手伝ってくださいよ〜」と言う後輩。
確かに、昼間の大学なんて、基本的に用事がある人しか来ないんですよ。
制作、課題、授業、仕事…
そんな状態の「聞き屋」を見て人はこう言いました。

「これって、どちらかというと油を売ってるよね笑」

と。
知らない人同士が、なわとび貸しあって遊んでたり、一緒に踊ってたり。笑ってたり。この言葉を聞いて、「聞き屋」改め、「油屋」に屋号を変えたのでした。
ここから、「油屋」は始まっています。


作品形態について

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 この作品には、映像部とインスタレーション部とパフォーマンス部があったんですが…
うーん。実際、卒展期間が忙し過ぎて(これは言い訳のような気がします。たぶん自分の中で納得がいっていなかった。)、パフォーマンスはほぼやらず終いでした。インスタレーション部も…うーん。結局これでよかったのか感が強いです。

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 私の作品の特徴として、展示をするとなると全てが『アーカイブ』になっちゃうんです。(この作品の場合だと、リアルな体験はアゴラ広場での出来事。それを会場に展示するとどうしてもアーカイブになる。)
でも生の現象、リアルな体験じゃなくなっちゃうのが、嫌で。
展示するときに作品はもうすでにあるんだけど、それをどう展示するべきなのかが難しいことが多くて。生の体験できない場合、どう鑑賞者を騙す(言い方悪いけど)のかを考えなければいけないような気がしていて。
今回の作品、映像だけでいいじゃんという講評もあったのですが、それだと…
自分が納得できないので嫌だし。

 コロナ禍で、ミュージカルやバンドのライブとかを映像で生配信してくれると嬉しいんだけど、生で得た感覚と全然違い過ぎて、すぐ飽きちゃった自分がいて。
だとしても、いつも見ているユーチューバー の動画はきっと映像を編集して、映像作品として見ているから面白いと思うんですよ。

 だから、映像だけでいいという気持ちも分かるんだけど、それだけだとなんだか早計な気がするんですよね。生でパフォーマンスしている自分がこの世の中のどっかにいるわけなので。
そして、他ジャンルでそれをやられてなんかつまんないなぁ〜って思った自分がいたので。
映像だったとしても全ては、見せ方次第でもっと作品は良くなるし、加えて自分も納得させられるんじゃないかな。

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『今回は、卒業展ということで「展示」「展覧会」っていうことを意識し過ぎたんじゃないかと思う。』と言われて、果てしないなぁと思う反面、まだまだたくさんのことができるねとも思うのでした。


まとめ 

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 私の伸び代や、曖昧であること。
自分の中でどんどんの考えてゆけること。今回の作品についても、実際に制作してみて自分でいろいろと見えてきた部分があること。
そういったところを講評してくださったキュレーターの方や先生、助手さんは褒めてくれたけど、やっぱり悔しいものは悔しいですね。作品をもっとよく魅せてあげたかった。

だけど、この卒業制作、また卒業展といったもので、ぐちゃぐちゃながらも今の等身大の作品を発表できたことに意義があると思ってます。まだまだ楽しいこといっぱいできそう。

油屋 貼る3


いろいろと悶々としておりますが、僭越ながら、こちらの卒業制作で、『CNA秋田ケーブルテレビ特別賞』をいただくことができました。ありがとうございます。

以上。卒業制作についてでした。

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