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楽しい公共空間をつくるレシピ~アーバンキャンプ事例から考える!~#CarLifeJapan

1.ユウブックス『楽しい空間をつくるレシピ プロジェクトを成功に導く66の手法』を楽しく拝読しました。

 キャンピングカーやバンライフ、車中泊など新しいCarLifeを広げる活動をしている当社。そこではプロダクト寄りになったり、ソフト寄りになったり、はたまた、地方創生だったり、災害支援だったり、街づくりだったりテーマがとっちらかってしまうことがあります(汗)

 モビリティは単なる「移動手段」ではなくなっているような気がします。むしろ、空間に近い。わたしも「車に泊る」ことが多いですが、まわりには年間100泊以上も泊まっていたり、すでに13年くらい家族と車で暮らしていらっしゃる方も知っています

 まちづくりは都市の街並みやインフラ形成を指す従来の用法に加え、仕事の確保や人材教育・さまざまなイベント・情報発信・観光促進など、地域を元気にする「コト的」要素が重要視されます。最近はそのなかにMaaS的な考え方も浸透し、モビリティ×空間演出×まちづくり×地方創生などと考える機会も増えて来ているように感じます

 そんななかでは公共空間などのことも意識する機会が多くこの書籍を読んだ次第です。テーマは「公共空間のプロジェクト」に焦点をあてています。中身は6つの章にわかれています。①屋外劇場型②社会実験型③参加体験型④持続発展型⑤機能再編型⑥期間限定型で様々な事例と、プロジェクトが紹介されています。

2.参加体験型~アーバンキャンプ~をご紹介します!

都市の真ん中でテントを張って寝泊りする「アーバンキャンプ」。敢えて過剰な「おもてなし」をやめ、参加者の能動的な楽しみ方に任せたものです。一番最初は神田のど真ん中にある「空き地」でした(わたしもうかがいました)。空き地で建築工事がはじまるまで、時間があったことから、その空き地を活用したイベントがいくつか行われ、そのひとつに「アーバンキャンプ」があったと記憶しています。

 上のサイトをみてもらったらわかるように、本当に空き地にテントをはれるようにしたら、みなさんテントを持参でやってこられたのです。神田の立地は非常によく、いろいろと遊びに行くこともできる。テントを張ってその場所を楽しむ方もいれば、どこかに出かけてしまう方もいらっしゃる。そんな自由ななかで、夜にはみなさん、テントに戻ってくる。すごく、自由で、地方の方も、首都圏の方も、外国の方もいらして楽しんでいたようです。

 たまたま知人から「公園管理の勉強会」の集まりがあり、お邪魔してお会いしたのがこちらの発起人である㈱グランドレベル代表の田中元子さん。もう強烈な印象をお持ちの方でした。「東京の真ん中で寝ころびたい!」という思いがこのアーバンキャンプの実現を後押ししたようです。

 大切なメソッドは主に6つ。①実現のための行政協議はしっかりと②地元との連携は密に③コントロールできる規模を守る④「おもてなし」しすぎない⑤ファンに手伝ってもらう運営を⑥「防災」の側面もしっかりと共有

 これはわたしが地方で活動するなかでも同様に活かされている考え方です。この手順をおろそかにすると、失敗、根付かないなどすごく悲しい結果になることがある。本当にシンプルですが素晴らしいメソッドです。過去6回このようなイベントが開催されています。

3.この事例を知ってモビリティでもできると思ったのです!

 遊休地などの土地を活用することで、テントも、モビリティもその土地を更に楽しむツールとなる。もともとキャンピングカーで遊んでいた私が、いま一歩踏み込むようになったのはこの「アーバンキャンプ」がきっかけです。日本の観光は「宿泊場所」が非常に重要です。だからこそ、日本の観光地は交通の便がよく、宿泊施設がしっかりしているところが際立ちます。でも、宿泊という制限がもう少し緩くなったらどうでしょうか。日本の観光地のランキングだとやはり交通の利便性と宿泊キャパが重要になってきます(以下ランキングご参照)。でも、車中泊、キャンピングカー泊などができれば、もともと観光地化されていなかったとしても「すごく魅力的な地域」としてとらえられるのではないでしょうか

 車に泊る人たちは「渋滞も混雑も嫌い」です。だから、人をさけるような旅程の組み方をします。夜に出発をし、人が混まないところでキャンピングカー泊できる場所を探します。だから、いまのご時世でも密にならない。

 都心では都心の楽しみ方があります。そして、現在の観光地もその観光地の楽しみ方があります。しかしながら、いま、さほど、観光地化されていないエリアは全国多数あります。こんなところに「車で泊まりながら旅ができたら、そこは新たな観光地となる」と思っています。でも、多くの地域の方はおっしゃいます。「うちはなにもないから。。。」。そして、わたしは毎度、そんな方々に言います。「自然があり、美味しい食べ物がある。そして、歓迎してくれる地元の人たちがいれば、そこからまた新しいものが生まれます!」とお伝えします。2021年2月23日段階、東京の「緊急事態宣言」は3月7日まで。これが過ぎたら、観光は動いてほしい。そして、地域の楽しみ方は必ずしも「宿がない」からと言って楽しめないわけではないです。「アーバンキャンプ」のようにテントや車中泊できる車両があれば、マナーを守ってその地域の方と交流するきっかけを作れたらと思います。今年はCarLifeJapanはそんな活動を継続していきます。引き続きよろしくお願いします!下は2020年12月に恵那市で行われた車中泊体験会の様子です。なにもないところにクルマが数十台あつまれば一つの集落ができます。こんな姿を増やしていきたい。テントも、車も同様に宿がなくても観光ができる!

CarLife Japan 野瀬勇一郎

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