見出し画像

絵空文庫(5) 2021.3.31

 絵空文庫は、とある世界の名著や噂の新刊を「秋霖書房」の書店員さんのコメントとともにご紹介するコーナーです。今週はこちらの3冊です。


- - - - - - - - - -

12.真珠と影

倉石叶也著 『真珠と影』

◇悲しい何かがあった。それを知らないことが、一番悲しい。

両親の離婚を機に独り暮らしを始めた女子大生、美貴。アパートを借りて半年が過ぎようとしていたある日、母に引き取られたはずの妹・真知が突然部屋を訪ねてくる。幼い頃から溺愛してきた、大切な妹。そんな真知との思わぬ再会に喜ぶ美貴だったが、その日の夜、真知から意味深な言葉を投げかけられる。「本当は全部、覚えていたんでしょう?」。

おすすめ-テンちゃん

この小説を読む時には、是非時間が掛かってもじっくり読んでください。何でもないシーンの何でもないような文章や台詞に、思わずハッとさせられるものが隠されています。それを味わいながら読むことが、きっとこの本の醍醐味なんだと思います。

- - - - - - - - - -

13.こちら全国心霊公社

Maira著 『こちら全国心霊公社』

◇応募資格:死亡済みであること、もしくは死を受け入れられること。(人生に疲れた方歓迎)

勤めていた大手企業の倒産により全てを失い、投身自殺を遂げたサラリーマンのカツヤ。死んだはずの彼の意識が辿り着いた場所、それは、幽霊となって世のため人のために働く『魂の職場』だった!!肉体ではできないことでも、霊体ならできる!幽霊って、意外と多忙なんです。今を“生きる”全ての人々に贈る、騒々しくてちょっと間抜けな、死後の世界の物語。

おすすめ-テンちゃん

この物語の登場人物達は、生きてる人も幽霊もみんな活力に満ち溢れてるんです。死んだ後の世界が題材なのに、生きる喜びとか大切さみたいなものを全力で伝えてくる。面白いけどちょっとおかしな本ですね。

- - - - - - - - - -

14.夜蛾

野々村昇二著 『夜蛾』

◇見るがいい。不幸を啜る有象無象どもよ。

神戸のマンションで起こった人質立てこもり事件。警察の懸命な説得も甲斐無く膠着状態が続くかに思われていたが、徐々に現場に異変が表れ始める。詰め掛けた報道陣や野次馬が一人、また一人と意識を失い倒れてゆく事態が発生したのだ。原因不明のまま広がる混乱と、状況を知ってなお押し寄せる一般市民達。狂気とも言える連鎖の果てにある結末とは。

おすすめ-テンちゃん

全体を通して、人間の醜い部分をかなり強調して書かれてる作品です。これだけ聞くと手が伸びづらいかもしれませんけど、綺麗な部分、かっこいい部分もちゃんとあります。ミステリーとしては文句無しの一級品です。興味が湧いたら一度お試しください。


- - - - - - - - - -

 出会いの季節がやってきましたね。あなたはこの春、どんな本と出会うのでしょうか。あとは、想像力のページをめくるだけ。いつでも絵空文庫はあなたと出会う準備ができているのです。

 それでは、また来週お会いしましょう。(絵空文庫 編集部)

ヘッダー

紹介文


絵空文庫は全てフィクションです。実際の人物・作品とは一切関係ありません。

- - - - - - - - - -

おすすめ-テンちゃん

ふぅ…ネタバレしないように紹介するのも大変。さぁ、読みかけの本でも持って出かけようっと。


他のコンテンツもみてね

ヘッダー

ヘッダーマガジン用

ヘッダー



Yuki Kurosawa / Creator

▶︎instagram    ▶︎twitter

FOLLOW ME!

いつもサポートありがとうございます。 面白いものを作ったり、長く履ける靴下を買ったりするのに使わせていただきます。