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3行日記 #140(マジシャン、春時雨、グラウンド)

二月十日(土)、晴れ時々雨

朝、妻が無事ですカードを持ってくる。手のひらでこすっておまじないをかけて、マジシャンのようにジャーン、と見せると、カードが二枚になった。話を聞くと、無事ですカードをしまおうと靴箱を開けたら、すでにそこに一枚あったという。同じことを考えたひとがいたようだ。

午前、出町から高野まで川沿いを歩く。ジャージ姿の男女の中学生、総勢二十人くらいの集団がむこうから走ってくる。そういえば大人のランナーも多い。堤防の途中には顧問らしき先生もいる。来週末の京都マラソンにむけて、追い込みだろうか。

午前、原稿を書く。

午後、高野から一乗寺の喫茶店へ。べつの原稿を推敲。二つの原稿を並行して書いていると、境界があいまいになり、干渉しあう。

夕方、喫茶店を出ると、路面が濡れていた。春時雨が降ったようだ。黒灰色のぶあつい雲がみるみるうちに南東に遠ざかっていく。西の空が晴れ、赤く染まった。濡れたアスファルトが街灯を照りかえしていた。春時雨には明るさと艷やかさがある。

商店街の店で、買う気もないのに集まる顔なじみ、自然にはじまる会話。井戸端。

大通り沿いに自動車販売店がある。明るい照明。こざっぱりして片付いた店内。おじさんどうしが難しい顔を突きあわせている。新車の商談。こどもは専用コーナーに隔離されている。社会的空間。私はこんなところで車を買うことはないだろうなとふと思う。買ってはいけないのだ。せめてもの抵抗として。

元田中の金網に貼り付けられているものが増えていたように思う。ゆっくり見られなかったので、こんど前の写真と見比べてみよう。

夜、昨日の残りのクリームシチュー、はるか、バウムクーヘン。チャックの散歩、地面が濡れていたからか、ガード下へ。公園をかすめて団地をぐるっと回る。グラウンドの改修工事はまだ続いていた。道端の花壇に水仙が咲いていた。神社を抜けて帰宅。きょうは暖かく感じた。

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