ゆきぐもり

書いて、歩いて、読んで。京都、水湧くところ。

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3行日記 #227(舐める、ぷくちゃん、網棚)

十月三十日(水)、晴れ 霜降、霎時施、こさめときどきふる、小雨がしとしと降るようになる。 霜降、楓帯猩紅、かえでしょうこうをおびる、イロハモミジが真っ赤。 ここ何日かの出来事を詰め合わせで。 先日の月曜日の昼、妻の実家のソファで寝そべっていると、お気に入りの青いゴムボールを追いかけて興奮気味のチャックが、ソファのうえに飛び乗ってきて、私の身体を踏んづけて豪快にかき分けながら顔の近くまでやってきたかと思ったら、何を思ったのか、咥えていた唾液まみれのボールを私の顔面に落とし、

    • 3行日記 #226(アケビ、アボカドにされたひと、赤身の金魚)

      十月二十七日(日)、晴れ 朝、投票を済ませてからバザーへ。途中、自転車をとりに妻の実家に寄った。冷蔵庫の横のメモに、福田へようかん。お茶だけ飲んですぐに出ると、チャックが玄関の引き戸をガリガリして、吠えていた。 午前、バザー。おばあちゃんのところで妻ががま口の小物入れを買った。物色していると、昨年も居合わせた某政治家が来た。今年は投票日と重なったので来ないかなと思っていたが。昨年はたくさんの取り巻きを従えていたが、今年はひとりだった。一階で珈琲を飲んでいると、某政治家も降

      • 3行日記 #225(チャック、三度目の正直、敏感)

        十月二十日(日)、晴れのち曇 寒露、蟋蟀在戸、きりぎりすとにあり、キリギリスが家の中で鳴き始める。 寒露、菊花競開、きくかきそいひらく、菊が競って開き咲く。 夜、妻の実家で、手羽元と野菜の煮物、きのこの炊き込みごはん、キウリとカニかまの小鉢、トマト、キウイ、チーズケーキ。食後に読売新聞の数独をした。チャックの散歩、妻は午前と夕方と、すでに二回散歩をしていたのと、皿洗いがあるため、私ひとりで行ってきて、ということになった。実は、これまでにも二回、チャックと二人だけで散歩に出た

        • 3行日記 #224(ボクシング、小魚の高速道路、栗ご飯)

          十月十四日(月)、晴れ 午前、亀岡方面へ、馬堀という駅で降りる。十分ほど歩いて予約した店に入った。 昼、妻の職場にいたグルメの同僚に紹介してもらったビストロへ。コース料理を頼んだ。私は、前菜を生ハムのサラダ、メインを和牛のハニーマスタードにした。味はもちろんのこと店の雰囲気もよく、この値段で食べられるのかと驚いた。次回はわかりやすく、にんにく醤油の味付けにするか、鶏肉か魚にしよう。メインを食べ終わったころ、二人組の女性が飛び入りでやってきた。ちょうど席が空いたところで、タ

        3行日記 #227(舐める、ぷくちゃん、網棚)

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        • 3行日記
          227本

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          3行日記 #223(栗、襲われる、葦の松明)

          十月十三日(日)、晴れ 寒露、菊花開、きくのはなひらく、菊の花が咲き始める。 寒露、茱萸染紅、しゅゆべににそむ、呉茱萸の実が赤くなってきた。 午前、いつものドキュメンタリーを見たあと、部屋の掃除をして、喫茶店へ。 昼、妻の実家でピザ。読売新聞の数独をはじめたが、急かされながらやったからか、どこかで辻褄があわなくなってしまった。そのままにして、外に出た。 午後、もうすぐチャックの五歳の誕生日なので、久しぶりに遠出することにした。深草あたりのドッグランに向かった。私はお義母

          3行日記 #223(栗、襲われる、葦の松明)

          3行日記 #222(草刈り、つけまつげ、銀杏)

          十月十二日(土)、晴れ 午前、出町柳から高野へ、川沿いを歩く。遠くで草刈りの音がする。アブが群がって飛んでいるみたいな音だ。先週よりも、橋二つぶんくらい下流に移っていた。セイダカアワダチソウの穂先が黄色く色づいてきた。先週が盛りだった彼岸花は、朽ち倒れて、褪せた紅色の細い花びらを散らかしていた。捨てられた巨人のつけまつげみたいに見えた。 夕方、一乗寺から出町柳へ。アスファルトの上に、銀杏の実が潰れていた。見上げると、小学校の校庭の端にそびえる高い石壁から、イチョウの樹がの

          3行日記 #222(草刈り、つけまつげ、銀杏)

          3行日記 #221(枝豆の鞄、花梨、白猫と黒猫)

          十月六日(日)、晴れ 朝、ひとりで起きる。昨晩、妻は明日の朝が早いからと言って、実家に泊まった。きょうは地元の小学校の運動会があるのだ。残っていた食パンを冷たいまま囓り、牛乳をカップに注いで飲んだ。茹で卵をつくった。茹で時間は九分にした。伯父さんからもらった餅も食べた。 午前、妻とおばあちゃんを追って運動会へ。校庭では子どもたちが運動場を駆け回っていた。奥にたくさんの人が並んでいる。先日から右膝が痛むので走らないつもりだったが、いざ校庭に来てみると、走ってみようかなという

          3行日記 #221(枝豆の鞄、花梨、白猫と黒猫)

          3行日記 #220(草刈りの笛、キウイの種、祭り)

          十月五日(土)、晴れ 秋分、水始涸、みずはじめてかるる、水田の水が抜かれる。 秋分、蛇入巣穴、へびそうけつにはいる、蛇が巣穴にずるずると。 午前、出町から高野へ、川沿いを歩く。久しぶりのことで、土手の草花はすっかり秋めいていた。すすきのような背の高い草が茂っていたのだが、とある橋を境にきれいに刈り取られていた。だが、彼岸花だけは残されていた。焼け野原にぽつんと残ってしまったビルのように、居心地が悪そうに見えた。その先の向こう岸で、作業員四人が草刈りをしていた。先ほどの彼岸花

          3行日記 #220(草刈りの笛、キウイの種、祭り)

          3行日記 #219(右膝、ギャン!、萩)

          九月三十日(月)、くもりのち晴れ 秋分、蟄虫坏戸、むしかくれてとをふさぐ、土の中に住む虫が越冬に入る。 秋分、鶴過暗夜、つるあんやにすぐ、鶴は夜のあいだに飛んでいった。 五日ほど前から、右膝が痛い。いつもなら多少痛くても数日放っておけばたいていは治っていたのだが、今回はどんどん悪くなる一方で、見た目にも、明らかに右膝のまわりがパンパンに腫れて、まるで別人の脚のようだ。週末は仕事で、今日ようやく時間ができたので、近くの整形外科に行くことにした。 午前、いつ前を通っても混んで

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          3行日記 #218(止まり木、儀式の跡、柘榴)

          九月二十二日(日)、秋分の日、雨のちくもり 白露、玄鳥去、つばめさる、ツバメが南下する。 白露、金鐘児鳴、きいんしょうじなく、鈴虫が鳴いているね。 秋分、雷乃収声、かみなりすなわちこえをおさむ、雷鳴が聞こえなくなる。 秋分、鶺鴒翩翩、せきれいへんぺんたり、セキレイがひるがえり軽やかに飛ぶ。 未明に雨が降り出した。朝、雨の音で目を覚ました。雨脚が強まっている。これで熱帯夜とはおさらばだ。きょうからは、一気に気温が下がる。朝、シンクの排水口を掃除。キッチンハイターの泡。何も言う

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          3行日記 #217(クロケット、福笑い、双眼鏡)

          九月九日(月)、晴れ 午前、青春18切符が二回分余っていたので、姫路に行くことにした。ひとつ手前の東姫路駅で下車し、十分ほど歩いたところにあるコロッケの店へ。店の入口の上に張りだしたテント地の屋根に、おかし屋ミルトスの木、と薄っすら文字が残っていた。妻は牛すじとジャーマンポテト、私は牛タンとジャーマンポテトのコロッケが入ったランチを注文した。揚げたてでカリッとした表面を齧ると、中からほくほくした具材の味がしっかり感じられておいしかった。途中、妻が、わたしらの、ソースかかって

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          3行日記 #216(鼻に息、パフパフ、CoCo壱)

          九月八日(日)、晴れ 白露、草露白、くさのつゆしろし、草の露が白く見える。 白露、胡枝悉乱、こしことごとくみだる、萩の花は乱れ咲き、あっち向きこっち向き。 昼、妻の実家でうどん、みたらし団子。家につくとおばあちゃんが、ご馳走ですねー、お手間入りですねー。鍋の底に白玉団子がひっついていた。新聞の数独を問いた。チャックとおもちゃをの引っ張り合い。妻が鼻先にふうっと息を吹きかけると、おもちゃを咥えていた口もとがゆるんでいたので、私も真似してみたら、それまで飛び跳ねながらはしゃいで

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          3行日記 #215(おゆまる、探求の余白、おちんちん)

          九月六日(土)、晴れ 処暑、禾乃登、こくものすなわちみのる、穀物が実る 処暑、赤卒群飛、せきそつむれとぶ、赤とんぼがいっぱい飛んでいる。 熱帯夜が少なくなり、少しずつ寝苦しさも解消されてきたように思う。窓を開けて寝ると、日によるが、朝方、通り抜ける風が涼しく感じるほどだ。 つくるまなぶで働きはじめてから、四日がたった。先日はさまざまな素材の紐を三つ編みにして、初めて縄を編んだ。また、今日は初めて3D CADのデータをつくり、初めて3Dプリンターで出力し、初めて「おゆまる」

          3行日記 #215(おゆまる、探求の余白、おちんちん)

          鉄から土へ。十三年ぶりの尾鷲

          当時はたしか大宮大台で高速をおろされ、そこからひたすら国道四十二号線の峠道がつづいた。まだ運転が不慣れだったので、カーブがつづく山道やすれ違う車に気をつかい、そうとう疲れていたと思う。そうして最後の馬越峠をこえて下り道にさしかかったころ、とつぜん、木立に閉ざされていた視界が一気に開け、急に、建物が密集する巨大な町が目の前に現れた。火力発電所の鉄塔が天を突き、オセロの駒を積み重ねたような形をした石油タンクが並び、遠くに海がひろがっていた。 もう十六年前、赴任地が尾鷲に決まり、

          鉄から土へ。十三年ぶりの尾鷲

          3行日記 #214(デアゴスティーニ、不器用なカマキリ、盆踊り)

          八月十八日(日)、晴れ 立秋、蒙霧升降、ふかききりまとう、濃い霧が立ち込め始める。 立秋、桔梗漸開、ききょうようやくひらく、桔梗がしだいに開いてきた。 午前、新しいMacBookを買いに家電量販店へ。だが、いつ届くかわからないとのことで、その足でアップルストアへ向かった。でも、そこでも在庫がなく、ウェブで注文することになった。 午後、妻の実家で焼きそば、クッキー、りんご。岡崎の京都市美術館へ。金色のでっかい像が嫌だった。グッズ売り場も混んでいたので、すぐに退散。来週の旅行

          3行日記 #214(デアゴスティーニ、不器用なカマキリ、盆踊り)

          3行日記 #213(つるつる、目頭、故障)

          八月十五日(木)、晴れ 昼、恒例のつるつるへ。お盆で混んでいるので、十一時の開店と同時に店に入った。コロナ後に配膳ロボットが導入されたのだが、運んでくるときに音楽を鳴らしながら移動する。その音楽がしばらくは耳に残るが、店をでて半日もすると、すっかり思い出せなくなってしまった。おろし蕎麦と天ぷらのセットを食べた。 実家をでる前に、妻と二人でおばあちゃんの手を握った。すると、おばあちゃんの目頭に涙がたまったように見えた。堰き止められたダム湖みたいに、目頭に涙がたまったが、流れ

          3行日記 #213(つるつる、目頭、故障)