3行日記 #204(水筒、鹿の親子、見誤る)
七月十三日(土)、くもり
午前、出町から高野へ川沿いを歩く。陸上部の中学生が土手を走っている。しばらく行くと、監督らしき女性のもとに集まっていた。その先の土手のコンクリートの壁に、大容量の水筒がいくつも並んでいた。
昼、高野から一乗寺へ。高野の交差点。もう辛夷のもふもふの蕾が形成されていた。表面は緑色だが。
夕方、一乗寺から出町まで歩く。鹿の親子が高野川につかって、葦の葉に齧りついていた。
夜、昨日の野菜スープの残り、トマト。チャックの散歩、左右左、京阪の踏切の前を左へ、細い路地に折れ、南へ、商店街を通過してさらに南へ、ぐるっと回って帰宅した。
そういえば、パピロンの鉢の引っ越しのことをまだ書いていなかったので、ここに残しておこう。妻がホームセンターで買ってきた鉢の底に穴が空いていて、仕切り直しになったのだが、新たに妻がメルカリで探してきたのは、王家の谷の壁画のような模様が刻まれた白い鉢だった。意見を求められ、少し大きいんじゃないか、とも思ったし、値段が二万円を超えていたので、むむむと思ったが、一生に一度の買い物だし、これも巡りあわせだと自分に言い聞かせ、これにしようと応えた。数日後、外出先から家に戻ると、ドアの前に巨大なダンボール箱が置かれ、通路を塞いでいた。なんだこれはと近づくと、鉢植えだった。開封してみると、想像していたよりも一回りも二回りもでかく、妻と二人して絶句した。あらかじめ買っていた水生植物用の砂は二袋だったが、とても足りなさそうに見えた。私は妻に言った。ぜんぜん砂が足りないね。すくなくとも、あと六袋は買い足さないと……。だが妻は、そんなにいらないんじゃない。二袋でいいんじゃない、と譲らなかった。次の日、妻はガーデニングが趣味の母親に相談し、砂を分けてもらった。だが、ビニール袋に半分ほど。これを足してもまだまだ足りなさそうに思えた。私は妻に言った。すくなくとも、あと六袋は買い足さないとね……。妻は反抗した。とりあえずいまある砂を使って植え替えてみて、ようすを見よう。それ足りなければ買い足そう。実行にうつすと、根のうえが少し見えてしまってはいたが、砂が全然足りないというほどでもなく、一応はさまになっていた。六袋も買っていたら、砂が大量に余って大変なことになっていた。私はまた見誤ったらしい。ゆったりと余裕のある鉢に引っ越したパピロン一族はみな、以前よりもリラックスしたように見える。
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