3行日記 #187（変わったお客様、リハウス、猫を追う）

五月二十三日（木）、晴れ
小満、蚕起食桑、かいこおきてくわをはむ、蚕が盛んに桑の葉を食べ始める。
小満、天鷚驚雲、てんりゅうくもをおどろかす、雲雀が天高く飛んで雲を驚かす。

夕方、いつもの喫茶店のカウンターに座っていると、となりの机を拭きに来た店員の女性のようすがおかしい。見ると、蜂のようなちいさな昆虫がいた。店員の女性はいったん戻り、紙コップと紙を手に戻ってきて、蜂のうえに紙コップをかぶせ、下のわずかな隙間に紙を差しこみ、そのまま閉じこめた。変わったお客様ですね、と常連さんと話していた。

夜、帰宅した妻の顔色が優れない。燕の巣が……。ゴーヤチャンプルーならぬゴーヤトリマメー、パイン。チャックの散歩、例の自動ドアのセンサーの上にいる燕だが、せっかく新しい巣を作りはじめていたのに、今日通ると、きれいさっぱり全部壊されて磨かれていた。何度壊されても作り直そうとしているのに、ここの場所でも壊されてしまってかわいそうに……。そこは○○のリハウス、中古物件の売買を手掛ける店なのに、家を壊してしまうなんて。

チャックの散歩、家を出てすぐ、左に猫が歩いている。気づいたチャックが後を追う。気づいた猫が塀にジャンプして逃げた瞬間、チャックが猛スピードで駆け出し、ものすごい力で引っ張られてつい紐を離してしまった。チャック！叫んでも興奮して戻ってこない。逃げていった塀のまわりをくるくる走り回ったあと、猫が逃げたと思しき家の敷地に入り込み、駆け回ってしまった。京阪の踏切の前を左に、細い路地を右に、南をぐるっと回って商店街を抜ける。最後の京阪の踏切を渡っていると、キャン！とチャックの鳴き声が響いた。線路に足が挟まった。

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