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まくらのそうし

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日々の風景、周りの自然などを綴ったエッセイです。毎日更新。1話は原稿用紙1枚ほどです。田舎暮らしの風景をお届けします。
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#昆虫

アブとトンボと散歩道

 今年のアブは凄まじく、山だけでなく、町まで出るということで、まさにアブの当たり年、人は…

小さな尺取り虫

 小鉢に摘んだブルーベリーに、細い細い糸くずが、よく見れば懸命に尺を取っている、小さな尺…

鬱陶しい山の生きもの

 アブの盛り、外へ出れば、すかさずブンブン、鬱陶しいこと限りなく、蚊のように麻酔をしてく…

脱皮

 茅のたわんだ葉の裏に、セミの抜け殻がついている。  抜け殻というのは面白い、人は脱皮を…

ハナアブ

 蜜色のアブが、夏を飛ぶ。  アブと言っても、血を吸うものと、蜜を吸うものでは、姿形にも…

キリギリス、のようなもの

 キリギリスが縁側を歩いている──と書き出し、念のためと調べれば、同じキリギリス科であり…

山の蛸

 今年は来るのが遅かったか、ようやく網戸に巣を張ったコガネグモ、朝からどうやら様子がおかしい、巣の中心に陣取るはずが、そこを外れ、落ち着かぬ様子、と思えば、網をびょんびょん揺らしてみたり、足を奇妙に動かしてみたり。  気になりながらも席を外し、しばらくしてから戻ってみれば、巣にあるのはクモというより、細長いゴミ屑、どうしたことかとよくよく見れば、どうやら脱皮をしている様子、尻の糸からつり下がり、最後に足を抜く場面、すらりと長い足を垂らし、しばし、風に吹かれて乾く。  尻が

尺取り虫

 子供たちを魅了したのは、尺取り虫で、これが名前通りに尺を採り、正確に進む様子を楽しんだ…

儚き命のヘビトンボ

 見たことのない虫は、恐ろしいものである。特にそれが大きく、大量発生しているときなど、こ…

人とカエルと電気と羽虫と

 夏の夜、室内の電気に抗えず、虫の大きいの小さいのと、ガラスに張り付き、うようよといる。…

【エッセイ】 みのむしのかくれみの

 昔は蓑を剥ぎ、折り紙をちぎった箱に入れ、折り紙の蓑を作る虫と、気軽に試したものであるが…

【エッセイ】 馬鹿な虫

 果実を取るのに木を切り倒すのは馬鹿のやること、そんな馬鹿は人だけであると思いきや、虫に…

【エッセイ】 カワトンボ

 赤茶色の羽根を持つトンボがひらひらと、水辺を優雅に舞っている。  カワトンボという類い…

3億年の本の虫

 ダンゴムシを平べったくしたような体に、長い触覚や尾を付けて、壁や畳の隅に佇む虫なら、それが紙魚というやつである。  まるで海の魚のように、銀の体をくねらせ走るので、魚という字は充てられ、それが紙を食うというので、紙という字も付いたという。  ところでこの紙魚、しみじみ見れば、不思議な思いに囚われるのは、これが何とゴキブリ以前、三億年の昔から、存在している虫と思うからか、その姿は、人如き新参者が触れてはいけない、殺してはいけない、いっそ恐ろしくもないような気さえするものだ