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人とカエルと電気と羽虫と

 夏の夜、室内の電気に抗えず、虫の大きいの小さいのと、ガラスに張り付き、うようよといる。

 そこへ賢いカエルがやってくるのも面白く、ヤモリのいれば来るのだろうかと思いつつ、見るともなしに過ごすうち、ある夜、同じ小さな虫が何百匹、さては一斉に羽化したか、この世界への新入生、よちよちガラスを行ったり来たり、どうも光へ近付けないと、知恵でも出し合っているのだろうか、山に月は隠れて消えて、これが目にする唯一の光、近付けないまま、わらわらといて、何十匹かは食べられて、次の夜のいるかと思えば、一夜限りの儚い命、また別の新入生が、月と見紛いやってくるのを、待つカエルと、待つ人の、心は同じではなかれども、ほんのわずか混じり合う視線、同じ夜を過ごしているのだ。

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