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小説・「アキラの呪い」

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「俺にはろくでなしの姉が一人いる。姉は俺の呪いであり、俺は姉の呪いになりたい」 姉の自殺未遂をきっかけに変化する義理の姉と弟の危うく奇妙な関係を描く。
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#文学

連続小説・「アキラの呪い」(7)

連続小説・「アキラの呪い」(7)

前話はこちら。

 ところで校内での晶との交流は、俺の対人関係にも変化を与えた。平凡な奴に「ヤバい奴とやり合えるすごい奴」というステータスが追加されたのだ。だからなのか、幼なじみの拓人とこんな会話をしたりもした。
 「お前、噂になってんぞ」
 ある帰り道、拓人がひそひそと話しかけてきて、俺は怪訝に片眉を上げた。
 「はあ?」
 「お前の姉貴の…何だっけ名前…異名はすぐ思い出せるんだけど」
 口を歪

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連続小説・『アキラの呪い』(1)

連続小説・『アキラの呪い』(1)

第一章 「水無瀬晶の弟」

 俺の姉について話しておきたい。
 水無瀬晶は厭なやつだ。無神経で傍若無人でニコリとも笑わない。性悪な女だ。
 姉といっても、血は繋がっちゃいないんだけど。ただうちの母親とあいつの父親が結婚しただけ。よくある話だ。晶と俺とは血が繋がっていない。ーーーそれを俺は喜ぶべきなのかもしれない。あんなに生きづらそうにしてる義姉を見ていると余計に。厄介な性質を、もしも俺も受け継いで

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