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ロシア・ウクライナ問題リンク集 2022年

2024.2.26更新 記事を整理し、ウクライナ侵攻直前のプーチン大統領の演説の文字起こしへのリンクを追加しました。

ロシアとウクライナの紛争の原因を知るには、ウクライナで2014年から起こっている内乱について知る必要があります。ベトナムに従軍した経験もあるオリバー・ストーン監督がプロデュースしたドキュメンタリー映画「ウクライナ・オン・ファイヤー」は大変参考になります。オリバー監督は多くの人に見てほしいと無料公開しましたが、米国系のメディアからは削除されてしまいました。下の長周新聞のリンクから日本語字幕付きの映画が見られます。ぜひご覧ください。続編の『乗っ取られたウクライナ』を見ると、豊かな穀倉地帯や資源と産業を持っていたウクライナが新自由主義者の戦争屋たちに壊されていった様子を知ることができます。日本が同じ目に遭わないよう、こちらもぜひ見て情報を得ていただきたいです。



ウクライナ東部4州のロシアに併合するか否かの国民投票

2022年9月23日に、ウクライナ東部のロシア系住民が多く住む4つの地域、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ザポロージエ、ケルソン地域では、ロシアに併合するかどうかの国民投票が行われました。結果はクレムリンの発表によれば、571,001人が投票、投票率は76.86%。そのうち87.05%(497,051人)がロシア連邦への併合を支持し、12.05%(68,832人)が反対、0.9%の投票が無効でした。


プーチン大統領が再びロシア国民に向けて演説 2022年9月21日

ウクライナ東部のドネツク・ルガンスク地方をロシアに併合するか否かの国民投票について、ウクライナ政府はそんな投票の結果は認めないとしていますが、もともとこの地域にはロシア系ウクライナ人が多く住み、両国のパスポートを持っていました。しかし、最近ウクライナ政府は、おそらくこの地域でウクライナ人のロシア国籍取得を容易にするロシア政府の動きを非難し、「ロシアのパスポートを持っている」ことを犯罪としたようです。

プーチンのロシア国民に向けたテレビ演説について、日本ではいつものように米国が発表した記事をそのまま報道しているようです。ロシア政府が発表した動画に英語字幕がついていたので試聴しました。すると、この演説は「プーチン大統領 部分的国民動員を発表」というよりは、国民に対する紛争の途中経過発表でした。しかし、西側のメディアはその辺をすっとばして「ロシアが核攻撃も視野に入れている」とか「戦況について焦っているので徴兵のために国民の動員を始めている」など、切り取りで全体の印象を操作しているだけでなく、核の使用の示唆に関しても、西側の言ったことには触れず、それに応える形でプーチンが言ったことだけを掲載して、ロシアが先制攻撃をするかのようなミスリードを誘っているように思えます。

日本のマスコミが、この代理戦争を米国の側だけから見る偏向報道ばかりが流すことは民主主義にとって良いことではないので、少しでもバランスを取ろうと思い、ここではロシア政府が発信した情報をそのまま流します。実際にどうなのか、ということは、現地を見たわけでもないしこの問題の専門家ではないのでわかりません。しかし、ロシアが外国に対し軍事行動を起こしたことを肯定するわけでは決してありませんが、この紛争の背景を知り、経過を見れば米国やヨーロッパ発の報道には矛盾することが多く、ロシア政府の主張には一貫性があり、偏向報道があるのではないかと思わざるを得ないです。この問題の背景については、外務省がまともだったころのロシア・ウクライナ問題の専門家がロシアの軍事作戦開始直後に行った解説を文字起こしした記事がこのマガジンにありますので、ぜひご参照ください:「外務省でソ連課長などを歴任し、長年ロシア関係の外交に関わってきた東郷氏がウクライナ情勢を徹底解説」

下の演説の日本語訳は、プーチン大統領公式サイトの英語のページにあった演説の書き起こしを、自動翻訳のDeepLで訳し、誤訳を数箇所だけ修正しました。DeepLの精度はすごいですね。ざっと読んだところではかなり正確に訳していると思います。早く公開したかったので、手は入れずほぼそのまま出すことにしました。見落としの誤訳がある可能性をお含みおきください。文中の「キエフ」「キエフ政権」とは、ウクライナのゼレンスキー政権を指していると思われます。

「2022年9月21日の演説全文」 ロシア大統領公式サイト (英語)
Official Internet Resources of the President of Russia:http://en.kremlin.ru/events/president/news/69390
”Address by the President of the Russian Federation” September 21, 2022 

米国の政治学者 Michael Rossi氏のチャンネルにアップロードされているこの演説の英語字幕付きの動画Address by Vladimir Putin Authorizing Partial Mobilization of Russian Armed Forces - ENG Subtitles:

比較するために、CNNのこの演説に関する記事のリンクを載せておきます。


ロシア大統領 ウラジミール・プーチンの演説 2022年9月21日 和訳

ロシア大統領 ウラジミール・プーチン

友よ。

この演説の主題は、ドンバスの情勢と、2014年にウクライナで武装国家クーデターの結果として権力を掌握したネオナチ政権からの解放を目指す特別軍事作戦の経過である。

本日、私は、わが国のすべての国民、さまざまな世代、年齢、民族の人々、偉大な祖国の人々、偉大な歴史的ロシアに結ばれたすべての人々、前線で戦い、戦闘義務を果たしている兵士、将校、ボランティア、ドネツクおよびルガンスク人民共和国、ケルソンおよびザポロジェ地方、その他新ナチ政権から解放された地域の兄弟・姉妹に向け、次のように語っています。

この問題は、ロシアの主権、安全、領土の完全性を守り、未来を自主的に選択しようとする同胞の願望と意志を支援するために必要で不可欠な措置と、一部の西側エリートの攻撃的な政策に関わる。彼らは、支配を維持するために最大限の努力を払い、この目的のために、他の国や国家に彼らの意志と疑似価値を攻撃的に強制し続けるために、主権と独立した発展拠点を阻止し抑制しようとするものである。

欧米の一部の目的は、わが国を弱体化させ、分裂させ、最終的に破壊することである。彼らは今、1991年にソビエト連邦を分裂させることに成功し、今こそロシアに同じことをする時だと公言している。ロシアは、互いに致命的な確執を持つ多数の地域に分割されなければならないと。

彼らはずっと以前にこのような計画を練っていた。彼らは、コーカサス地方の国際テロリスト集団を奨励し、NATOの攻撃用インフラを我々の国境近くに移動させた。無差別なロシア恐怖症を武器に、主に反ロシアの橋頭堡となるよう計画されたウクライナで、何十年にもわたってロシアへの憎悪を育てたこともある。彼らはウクライナの人々を大砲の餌にし、ロシアとの戦争に追い込み、2014年にそれを解き放ちました。彼らは民間人に対して軍隊を使い、国家クーデターの結果としてウクライナに誕生した政府を承認しない人々に対して、大量虐殺、封鎖、テロを組織した。

キエフ政権がドンバス問題の平和的解決を公然と拒否し、核兵器保有への野心を表明するに至った後、ドンバスでの新たな攻防(過去に2回あった)は不可避であり、その後にロシアのクリミア、すなわちロシアへの攻撃が必至であることが明らかになった。

この関連で、先制的な軍事作戦を開始するという決断は必要であり、唯一の選択肢であった。ドンバス全域の解放というこの作戦の主目的は、依然として変わっていない。

ルガンスク人民共和国は、ネオナチからほぼ完全に解放された。ドネツク人民共和国での戦闘は続いている。キエフ占領政権は、これまでの8年間で、深く階層化された恒久的な防衛線を構築した。それに対して正面から攻撃すれば、大きな損失を被ることになります。だからこそ、私たちの部隊やドンバス共和国の軍隊は、有能かつ組織的に行動し、軍備を駆使して人命を守り、ドンバスを解放し、市や町をネオナチから浄化し、キエフ政権が人質や人間の盾にした人々を助けるために一歩一歩前進しているわけです。

ご存じのように、この特別軍事作戦には、契約に基づいて勤務するプロの軍人が参加しています。彼らと肩を並べて戦っているのは志願兵の部隊で、民族も職業も年齢も異なる真の愛国者たちです。彼らは、ロシアとドンバスを守るために立ち上がるという心の呼びかけに応えたのです。

この関連で、私はすでに政府と国防省に対し、ドネツクおよびルガンスク人民共和国の軍事部隊の志願者と人員の法的地位を決定するよう指示を出している。それは、ロシア軍の軍事専門家たちの地位と同じでなければならず、物質的、医療的、社会的利益を含む。義勇軍とドンバス人民民兵のための軍事装備とその他の装備の供給を組織することに、特別な注意を払わなければならない。

国防省と参謀本部の計画と決定に従い、ドンバス防衛の主要目標を達成するために行動している間に、わが軍はケルソンとザポロジェ地方のかなりの地域と他の多くの地域を解放した。このため、1000キロを超える長大な接触線が形成されました。

このことは、今日初めて公表したいと思います。特別軍事作戦の開始後、特にイスタンブール会談の後、キエフの代表は我々の提案にかなり積極的な反応を示した。これらの提案は、何よりもロシアの安全と利益を確保することに関わるものであった。しかし、平和的解決は明らかに西側にそぐわない。だからこそ、一定の妥協が調整された後、キエフは実際にこれらの合意事項をすべて破棄するよう命じられたのである。

ウクライナにはさらに多くの武器が投入された。キエフ政権は、外国の傭兵や民族主義者の新しいグループを登場させ、NATOの基準に従って訓練され、西側のアドバイザーから命令を受けた軍事部隊を登場させた。

同時に、2014年の武装クーデター直後に確立された、自国民に対するウクライナ全土の報復体制は、過酷に強化された。威嚇、テロ、暴力の政策は、ますます大規模でおぞましい野蛮な形態をとっている。

私は次のことを強調したい。私たちは、ネオナチから解放された領土、それも主にノヴォロシヤの歴史的土地に住む大多数の人々が、ネオナチ政権のくびきの下で生活することを望んでいないことを知っています。ザポロージエ、ケルソン、ルガンスク、ドネツクの人々は、ハリコフ地方の占領地域でネオナチが行った残虐行為を見たし、現在も見ている。バンデル派の末裔やナチスの懲罰遠征隊員たちは、人々を殺害し、拷問し、投獄し、復讐し、殴打し、平和な市民に暴虐の限りを尽くしているのです。

敵対行為勃発以前、ドネツク、ルガンスク人民共和国、ザポロージエ、ケルソン地域には750万人以上が住んでいました。その多くが難民となり、故郷を離れることを余儀なくされた。現在、約500万人の難民が、ネオナチ過激派による砲撃やミサイル攻撃を受け、病院や学校への銃撃、平和な市民に対するテロ攻撃などにさらされている。

私たちは、私たちの親族が肉屋に切り裂かれるのを見過ごすことはできず、自分たちの運命を自分たちで決めようとする彼らの真摯な努力に応えるしかないのだ。

ドンバス人民共和国の議会、ケルソン州とザポロジェ州の軍民行政機関は、自国の領土の将来について住民投票を実施する決定を採択し、ロシアにこれを支持するよう訴えている。

私は、人々が意思を表明できるよう、これらの住民投票のための安全な条件を整えるために必要なあらゆることを行うことを強調したい。そして、ドネツク、ルガンスク人民共和国、ザポロージエ、ケルソン両地域の大多数の人々が選択した未来を支持するつもりである。

友よ。

今日、わが軍隊は、先に述べたように、1,000キロメートル以上にわたる接触線で戦っており、ネオナチ部隊だけでなく、実際には西側集団の全軍事機構と戦っているのである。

このような状況において、私は、我々が直面している脅威に対して十分に適切な次のような決定を下す必要があると考える。より正確には、祖国とその主権および領土保全を守り、解放された地域のわが国民と人々の安全を確保するために、ロシア連邦における部分的動員に関する国防省と参謀本部の提案を支持する必要があると考える。

これまで述べてきたように、私たちは部分的な動員について話しているのです。つまり、軍隊に勤務し、特定の軍事的職業的専門性とそれに対応する経験を有する者を中心とする軍事予備兵のみが召集されるのです。

現役として召集された者は、所属部隊に送られる前に、特別軍事作戦の経験に基づく強制的な追加軍事訓練を受けることになる。

私はすでに部分動員に関する大統領令に署名している。

法律に従い、連邦議会と州議会の両院には、本日中に文書で正式に通知される予定です。

動員は本日9月21日に開始される。私は、各地域の首長に対し、軍の徴集所の業務に必要な支援を提供するよう指示している。

動員令に従って招集されたロシア国民は、契約に基づいて勤務する軍人の地位、支払い、すべての社会的給付を受けることを指摘したい。

さらに、部分動員に関する行政命令では、国家防衛命令を遂行するための追加措置も規定されています。防衛産業企業の責任者は、武器と軍事装備の増産目標を達成し、この目的のために追加の生産設備を使用することに直接責任を負う。同時に、政府は防衛企業に対する物質的、資源的、財政的支援のあらゆる側面に遅滞なく対処しなければなりません。

友よ。

西側諸国は、わが国と国民に対して際限のない脅威を与え、攻撃的な反ロシア政策に行き過ぎた。一部の無責任な西側政治家は、クリミアやその他のロシア地域への攻撃に使用できる長距離攻撃兵器のウクライナへの搬入を組織する計画について語る以上のことを行っています。

このようなテロ攻撃は、西側兵器の使用も含めて、ベルゴロドやクルスク地方の国境地帯で行われている。NATOは、ロシアの南部地域をリアルタイムで、最新のシステム、航空機、船舶、衛星、戦略的ドローンを使って偵察している。

ワシントン、ロンドン、ブリュッセルは、キエフに敵対行為を我々の領土に移すよう公然と奨励している。彼らは公然と、いかなる手段を使ってもロシアを戦場で敗北させ、その後、政治的、経済的、文化的、その他あらゆる主権を奪い、略奪しなければならないと述べている。

彼らは核を使った脅迫にまでも手を染めている。私は、核災害の脅威をもたらすザポロジェ原子力発電所に対する西側の砲撃のことだけを言っているのではなく、ロシアに対する大量破壊兵器-核兵器-の使用の可能性と容認に関するNATO主要国の一部の地位の高い議員の発言についても言及している。

ロシアについてこのような発言をする人たちに、わが国にもさまざまな種類の兵器があり、その中にはNATO諸国が持つ兵器よりも近代的なものもあることを思い起こさせたい。我が国の領土保全に対する脅威が生じた場合、そしてロシアと国民を守るために、我々は利用可能なすべての兵器システムを必ず使用する。これはハッタリではありません。

ロシア国民は、祖国の領土保全、独立と自由は、利用可能なすべてのシステムによって防衛されることを、安心してください- 繰り返します-。私たちに対して核の恐喝を使っている人たちは、風向きが変わることがあることを知るべきです。

世界支配に熱心で、祖国を分裂させ、奴隷にしようと脅す者たちを阻止するのは、わが国の歴史的伝統であり、宿命である。今回も必ずややり遂げますのでご安心ください。

皆さんの応援を信じます。


【演説全文】ウクライナ侵攻直前 プーチン大統領は何を語った?

こちらは2022年の2月にロシアがウクライナ侵攻を開始した直前にロシア国民向けにプーチン大統領がなぜこの軍事行動を行ったのか説明した演説の書き起こしです。

2月24日に突然、ロシアがウクライナを侵攻。その日、侵攻直前に、ロシアの国営テレビはプーチン大統領の国民向けの演説を放送しました。
プーチン大統領は何を語ったのか?
演説全文は次のとおりです。
この記事は2022年3月4日に公開したものです

NHK国際ニュースナビ2022.3.4: https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/detail/2022/05/25/21130.html

戦争と原爆とプーチン氏とオバマ氏

今、日本のメディアに流れているのは西側、NATOと欧米諸国の一方的な意見のみです。ロシア側、また中立の国からの発信は一切流されません。どちらか片方の意見だけで物事を見れば、バイアスがかかります。

ノルマンディー上陸作戦の記念式典で戦争の歴史のパフォーマンスが行われ、原爆投下の映像が流れた時のオバマ大統領とプーチン大統領のリアクションの対比が見られる日刊ゲンダイの記事とTBSの映像がネットに残っています。

ロシアは第二次世界大戦で、世界最多、数千万人の自国民を失いました。それに対して米国はパールハーバーの日本軍の爆撃以外、本土を爆撃されたことはなく、民間人の戦没者はほぼいません。世界中で「米国が正義、共産主義、独裁主義政権を倒し、民主主義にする」侵攻を繰り返し、数千万人の民間人の命を失った意味、痛みを米国のリーダーたちは想像することもできないのだろうと思います。

会場から拍手が巻き起こった原爆のシーンで十字を切るプーチンと、拍手喝采するオバマの映像、一度は見る価値があると思います。プーチンはこの次の2019年の75年式典には呼ばれませんでした。

プーチン大統領の人物像 オリバーストーンのロングインタビュー

日本では最近米国メディアによって徹底的に悪魔化されたプーチン大統領のイメージが報道されています。しかし、公正な立場で多くのドキュメンタリー映画を撮ったオリバー・ストーン監督によるインタビュー「オリバーストーン オン プーチン」を見ると、思っていた人物像とはだいぶ違うと思う人が多いのではないでしょうか。俺はびっくりしました。

また、ロシアは東日本大震災の時、日本へ多くの支援をしたことも、知りませんでした。日本では放映されませんでしたが、世界フィギュア2011では東日本大震災の被災者を追悼する『日本に捧げる詩』が演じられたことも。

プーチン大統領は親日家でもあります。悩める10代だったとき、柔道に打ち込むことによって救われたと、オリバーストーン監督のロングインタビューで語っています。このロングインタビューは、アメリカの地上波でも放映されました。日本を訪問した際に、柔道場を訪れ、楽しそうに子どもたちに稽古をつけて自ら投げられている映像も見られます。

そのプーチンにあのオリバー・ストーンが、1年8ヵ月かけて密着取材して撮影したドキュメンタリーが話題になっている(日本では3月1日から二夜連続でNHK「BS世界のドキュメンタリー」で放送)。

オリバー・ストーンはプーチンに何を見たのか? このドキュメンタリーを完全書籍化した『オリバー・ストーン オン プーチン』

https://gendai.media/articles/-/54111

オリバー・ストーン オン プーチン(字幕版)はアマゾンジャパンで視聴できます。(書籍も販売されています。)

ハリウッドを代表するアカデミー賞®受賞映画監督オリバー・ストーンは、約2年以上にわたり、現ロシア連邦第4代大統領ウラジーミル・プーチンに、いくつものインタビューを重ねた。インタビューには、テーマもリミットもない。プーチンのプライベートな部分、政治家としての部分、共産主義の下で過ごした幼少期から権力を握るまでにのぼりつめた現在まで。また、彼が築いてきた米大統領との関係性など、様々な事柄について語りつくされている。ストーンは、アメリカがプーチンを敵視する中、アメリカ人インタビューアーとして、あらゆる出来事に対するロシア及びプーチンの考えの真相を徹底的に追求している。全4回で構成された“平和と善意”を求める濃密なドキュメンタリー。(C)2017 Komandir, LLC. All rights reserved.

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07BF2NLFQ/ref=atv_dp_share_r_tw_204325adf13a4

ロシアはなぜウクライナに侵攻したのか。日本政府の見解

そもそもロシアはなぜウクライナに軍事侵攻したのか。ロシア・ウクライナ問題の根は深く、複雑です。日本政府の側から見た情報は以下の通りです。

「ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか。」と親露派をアピール、27回もプーチンと会見した安倍晋三元首相は、北方領土問題は全く進展しなかったが、ロシアとの関係を一定のところで保っていたことは事実。これはロシアの軍事侵攻が始まった後、暗殺の半年前の2022年のテレビ出演。「軍事侵攻のプーチンの意図はNATOの(東方)拡大、そしてそれをウクライナ拡大することは絶対に許さないということがー中略ーロシアと米国の関係を語る時、NATOは(東方)拡大しないはずだったのにしているではないか、ポーランドに迎撃ミサイルまで配備しているではないかという米国への不信感があるということ…」

NATOが一インチたりとも東方拡大はしない、という約束を破ってどんどん東方拡大した話を含め、この複雑な問題の経緯を外務省がまともだった時のロシア担当の高級官僚だった東郷和彦さんが詳しく解説しておられます。下のほぼ書き起こしの記事、ぜひ読んでくださいね。

NATOとは何なのか

NATO( North Atlantic Treaty Organization 北太平洋条約機構 )とは、第二次対戦後にソ連に対抗するための西側陣営の多国間軍事同盟として米国、英国を中心に結成されました。ソ連および東欧圏7か国(アルバニア、ブルガリア、ハンガリー、東ドイツ、ポーランド、ルーマニア、チェコスロバキア)が結成した安全保障機構であるワルシャワ条約機構は1991年にソ連邦が解体されると同時に解体され、東西ドイツは統合され、ソ連は東ドイツから撤退して冷戦が終了しました。

本来なら冷戦が終了してワルシャワ条約機構が解体された時に、NATOの存在理由も同時に消滅したはずなのですが、NATOは解体されることもなく、勢力を拡大していきました。この時、NATOのヴェルナー事務総長や米国政府高官が「NATOは一インチたりとも東方へ拡大しない」という約束をゴルバチョフと交わしたとされ、米国政府にそれを裏付ける公文書が残っています。しかし、ゴルバチョフ大統領はのちに米国の東方拡大を非難しつつも、約束はなかったと言っています。AERAdot『ゴルバチョフ氏が残した「戦争の目を摘む教訓」 冷戦後の西側の振る舞い巡り問題提起』

下記のページは、NATOとは一体何であるのかを可視化したマップを集めています。NATOがロシアとの約束を破って東方拡大を続けてきたことがよくわかるマップも掲載されています。

これは、2009年から2022年までのNATO加盟国の拡大の経緯のマップ集で、著作権フリーです。

NATOがロシアとの約束を無視してどんどん拡大していった経緯を、クリントン大統領とプーチン大統領の会見、インタビュー映像で手短に説明しています。

元外務省官僚 東郷和彦氏のインタビューで紹介されていた、米国のロシア・ウクライナ問題のエキスパート、シカゴ大学のジョン・J・ミアシャイマー教授『ウクライナ危機の原因と結果—なぜウクライナは西側の失敗なのか』、ピューリッツアー賞受賞 調査報道記者のシーモア・ハーシュ氏の『ノードストロムを爆破したのはネイビーだった』スクープなど、今回のロシアウクライナ戦争がなぜ起きたのかのヒントになるウクライナ危機の経緯:2014年のクリミア紛争などについて書いたこちらの記事もぜひご参照ください。