見出し画像

「レジが合わないと帰らせません」

みなさん、こんにちは。
労働者側の社労士(社会保険労務士)、黒田英雄です。

私は高校生の時に、コンビニエンスストアでアルバイトをしていました。
主な担当は品出しでしたが、お客さんが並んでしまった時などはレジにも入りました。

24時間営業ではなかったので、閉店時にオーナーがレジを締めて金額を確認するのですが、合わないということもしばしばありました。
別にわざとではなく、普通に業務にあたっていたのですが、時間帯によってはひっきりなしにお客さんが来るので、高校生の私はテンパってしまうこともありました。

その日レジを担当したアルバイト高校生2名が呼ばれ、お金が合わないことを告げられます。
そしてオーナーは、こう言いました。

「レジが合わないと帰らせません」

合わないとと言われても、もう合っていないのは確定なので、あとは自分たちで穴埋めするしかありません。
しぶしぶ2名で不足分を割り、自分達の財布から補填することでその日の業務を終えました。

金額がいくらだったかは記憶が定かではないですが、それほど大きくはなかったと思います。
その後も、そこでアルバイトをしている間に何度かそんなことがありました。

時は流れつい先日、息子さんのアルバイト先でのことについて、ご家族から労働相談がありました。
やはりレジのお金が合わず、その分を息子さんが払うように言われているとのこと。

その金額が、10,000円。

そんな大きな金額、息子さんの何時間分ものバイト代がぶっ飛んでしまいます。
息子さんはその場では払えず、一旦帰ってきてご家族に相談したようです。

さて、このような場合はアルバイトが穴埋めしなければならないのでしょうか?
結論から言うと、全額負担というのは不当である可能性が高いです。

会社やお店は、従業員を働かせることで利益を得ているわけで、そこに使用者としての責任があります。
息子さんが故意にお金を盗んだという場合は論外ですが、通常通りに業務をしている中で起きてしまったミスは、会社やお店にも防止措置を怠った責任があります。

負担割合に法的な決まりはありませんが、一部を従業員に負担してもらうということはできます。
しかし、ここはお店として全額補填をし、原因と対策をしっかり話し合って今後に生かすという方法のほうが、息子さんのモチベーションの低下に繋がらないのではないかと思います。

ちなみに、開店の時にもともとレジにお金がいくらあったかを確認したのは、息子さんではなかったそうです。
となるとなおさら、息子さん一人だけの責任なのかがはっきりしません。

でも、学生のアルバイトが大人から払えと言われたら、そういうものだと思ってしまうでしょう。
今回はたまたま額が大きかったことから、ご家族を通じて私に相談があったため、アドバイスをすることができました。

額の大小は関係なく、会社やお店の損害を従業員がまるまるかぶるという必要は、原則としてありません。
他にもよくある相談としては、会社の車で事故を起こした時に、従業員が全額弁償させられたというものなどがあります。

働く中で何かトラブルがあった時は、まずは家族や友人に相談することです。
そして、解決が難しそうであれば、労働者側社労士にご相談ください。

————————————————————

You Tubeチャンネル「労働相談須田黒田事務所」に、動画をアップしています。

写真はインスタグラムでアップしているものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?