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【教育】教科書は徹底的に使う

こんにちは。
教員であるみなさんはもちろんですが、教員でない方も、学生時代は教科書使っていましたよね?
今日はそんな教科書の話です。


1.教師は教科書を使わない!?

えー…その通り。。。の方もいます。
理由は様々。

・教科書は答えがわかってしまう!
・授業準備で教科書をゆっくり開いている暇なんてない!
・教科書「を」教えているようではダメだ!
・教科書の世界で留めてはいけない!

などなど…

1つ目の理由で教科書を使わないケース、算数や理科なんかでよく見られます。私も以前はそうでした。「教科書を開かれていたら、子どもたちに発見させたいことが見つけられてしまう。」ということですね。気持ちはわかります。でも、その先の世界を見せたいんです。もったいない。。。

2つ目の理由で教科書を使わないケース、これもまたよくあります。だって、めちゃくちゃ忙しいですもん!授業準備は1コマ5分って裁判で出ましたけど、正直、5分もとれないときだってありますよね。教科書は見ずに、「指導書」に乗っている授業の進め方だけ読んで終わりにしちゃう。結果、「教科書使うとこっち(教師)が戸惑うから使わん!」となって使わない。疲弊しきった現場でよく見る光景です。

3つ目、4つ目の理由で教科書を使わないケース、これも気持ちはわかります。というか、これを本当に正しく理解している方はめちゃくちゃ教科書を読み込んでいる(研究段階で使っている)方です。ただ、一部の方は、教科書の内容をすっ飛ばしてもっと高いレベルの授業をしてしまうパターンもあります。これは、子どもたちが教師に取り残されるパターンです。土台がないのに積み上げても定着しないですよね。細い1本の釘の上に家はたちません。そして、ここに挙げた前者の方も、感服するレベルでできている方は極少数です。もっと使えばいいのに、と思うことがよくあります。それは、こういう授業の場合の多くは「教科書にある答えを教科書なしに探す授業」となっているからです。本当の意味で教科書を越していくために、教科書を使いたい、というのが私が考えていることです。

2.では、どのように教科書を使うのか。

私は、教科書をめちゃくちゃ使います。
簡単に言うと、教科書を使って、教科書に書いていないことを想像するようなイメージです。いくつかの教科ごとに書いていきたいですが、今回は、私が教科書をたっぷり使うようになったきっかけの授業を紹介します。

3.きっかけは算数「大きな数のしくみ」

算数の教科書は、案外使われていない教科書です。先に挙げた理由4つそれぞれのパターンがありますが、「教えなければならない内容」が教師の頭に入っていることが多いので、比較的軽視されてしまうことがあります。忙しくて読めていないパターンだと、主の問題と練習問題しか見ていないことも。

でも、これってめちゃくちゃもったいない。
算数の教科書は「深い理解」につながる種がどっさり詰まっています。

それに気付くきっかけになったのが3年生の「大きな数のしくみ」の単元です。
この単元の1時間目は「一万を超える数があることがわかり、それを読んだり書いたりすることができる」ことが目的です(2年生では「10000」までを扱うからです。)この時間、はっきり言って、授業としては難易度かなり高めです。だって、もう読める子ども多いですし、新しい内容が薄すぎる…。「サラッと流してしまえばそれまで」になってしまう授業です。(2年生や4年生でも、同じような流れの時間があるので想像できると思います。)

だからこそ、「教科書をたっぷり使う」ことが重要です。

この時間の教科書のページをよく読んでみると、めちゃくちゃ面白いことに気づきます。
それは、同じ数量を①数字、②漢数字、③数のまとまりのカード、④位ごとの表にドットで数が示されている図、の4つで表しているということです。
「なるほどー!」でした。これ、教科書にもサラッと登場するし、指導書でも、大きく取り上げられることでもありません。「え?4種類で示されているから何なの?」と思った方もいますよね。なぜこれが大切なのでしょう?

これは「数の見方」にかかわってきます。つまり、同じ状態を示すのに、数字という表し方もあるし、カードや図でも表せるということを知るというのは、数の見方を広げているという状態なのです。数のまとまりのカードや位の表は、十進位取り記数法の理解を深める上で重要です。そして、今までなんとなく見分けていた「自分の見方」に気づくこともとても大切なのです。

4.実際の授業は…

では、実際の授業はどのように行われたか、簡単に説明します。

まず初めに、教科書の単元の最初のページ(素材)をタブレットでテレビに写し、そのまま見せます。教科書の問題文もそのまま見せます。そして、学習課題を示します。この授業の学習課題は「数は何種類の表し方ができるか。」としました。つまり、「どう数えるか、どう読むか」という、「知識=内容(コンテンツ)」重視の課題ではなく、「見方・考え方(コンピテンシーにつながる)」を直接課題に設定しました。

そうすると、「え!?」となります。「何種類って言われたって…」となります。ここで「教科書を調べていいよ」と伝えました。え?教科書を調べたら答え出ちゃうんじゃ…。と思った方。そうです。答えは教科書にあります。ただし、「〇種類の表し方があります。」と書かれていません。教科書にある「表し方」を探し、認識し、分類していくことで「わかる」ようになるのです。

つまり、教科書を「調べるもの」に変えていったのです。すると、「教科書にある答えの文を見つけ出すような授業」から、「教科書を使って(生かして)考える授業」に変わっていきました。

で、実際の子どもたちはどうなったかというと、私が思っていた以上に、調べ、見つけること楽しんでいました。「あ!数字じゃなくて漢字で書いてある!」「このカードのやつもいいのかなぁ」そんな発言が漏れてくる教室。良い空気です。教師がもっている答え(教科書に文章で書かれてある答え)を探す授業ではない。でも、教科書はめちゃくちゃ使っている。これだなぁと授業をしながら思っていました。

5.教科書を徹底的に使うためには

この授業以外にも、教科書を読みこみ、それを生かした授業を今年は特に心掛けています。すると、教科書を徹底的に使うコツが見えてきました。

・教科書の図(絵や写真も)が、なぜその図(絵や写真)なのかを考える。
・教科書の書き方(文や使われている言葉)がなぜそうなっているのかを考える。
・教科書の数値がなぜその数値なのかを考える。
・教科書でなぜそのような問題が出てくるのかを考える。

いつかまた、算数以外の教科書の使い方も記事にしたいと思います。

おわりに

このように、教科書をじっくり読むと、面白いことが隠れていること気づきます。それを見つけたときは大人でも「あ!」と楽しくなります。その「教師がした発見」を子どもたちに追体験させていくような授業が、探究的な学びの一つの形かなぁなんて思っています。教師が「おもしろい!」と思ったこと、思うまでの流れは子どもにとっても同じようなワクワクが生まれるんですよね。

こう考えると、「教師の教材研究を子どもに無理なく追体験させる」ようなことが、教科書を徹底的に使うとできるのかなと思います。

では、今日はこのへんで。。。



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