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新卒新入社員を迎える時に、彼らに何を伝えるのか

昨日は、4月1日。入社式が多くの企業で行われたと思います。
(ニュースは一斉に元号でしたが)

毎年新卒新入社員の方々を受け入れている企業も多いと思いますが、そんな中で初めて指導する立場になった、1,2年目の方も多いと思います。

また、自分の部署に配属になるのでどう接するといいのか、と悩むベテラン先輩や上司になる方も大勢いらっしゃいますよね。

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新卒の時のことを思い出そうとしても遠い過去過ぎて思い出せない、時代も変わった、意識も違っている。
何を教えていいのか、注意したらパワハラと言われてしまうのか。

受け入れるほうも不安が大きい時代です。

入るほうも迎えるほうも同じ、「どうしたら良いかわからない」ので手探り状態(笑)
最近ですと人手不足もあり新卒を大事に会社は育てようと、配属する部署の長にはプレッシャーがあり1年未満で退職したら上司としての能力を疑われてしまう、なんて事もチラホラ聞こえてきます。

実際、以前私がいた会社もそういう雰囲気があり「1年未満に新卒退職すると所属長はペナルティ」なんてことをまことしやかに囁かれていました。
怖いですね。
『腫物を触るように大事に、大事に育てる、それで良いのか!』と心で思っている所属長も少なくありませんでした。(内輪話でそっと聞こえてきていました)

さて、それではどう接するのか正解はあるのか。

人ですので正解はありません。
では、どうしたら良いのか。

ポイントはいろいろありますが、今日は私が新卒の方が配属されたときに最初の1か月の間に伝えていく内容を紹介します。

大きく分けて3つのポイント

次から書くことは、一般的な新卒の方を対象に書きます。
勿論、そうではない方もいますが私の経験上殆どの新卒の方がそうでした。


1 「入社=プロ」である。それは経験とは関係ない。

まず、受け入れる側の心構えも必要ですので少し触れます。
「新卒=昨日まで学生だった人」です。
当り前のことですが。

しかし、大概の先輩や上司は
「会社なんだから、もう社会人なんだから、学生とは違うんだ」
といきなり温室から大海原に放り出そうとします。
これでは、その海で何をしたら良いかさえ分からないまま溺れてしまいます。何を準備したらよいか、また目指す場所はどこなのか。目的地に到着したら自分は何をするのか。

例えば、水着を着たほうが良いのか、浮き輪という存在すら知らない時もあります。
また平穏な波ばかりではなく、時には嵐が来るかもしれない。
海賊に襲われるかもしれない。

彼らは、それすら予想出来ないのです。
だって彼らは家庭では大事な子供で親の保護下で育ち学校ではお客様だったのですから。
温室の中で外が台風でも一年中快適な場所にいたのです。
そしてそのことを彼ら自身も気が付いていません。

では、新卒さんに伝えることの1つ目です。

『学生は、お金を払って勉強するところです。
その時点ですでに「お客様」です。
しかし会社は「お金をもらう場所」なので当然「プロ」です。
それが今日入社した人であろうと。』

当の新卒さんですが、ご存知の通り大概はその事に気が付きません。頭ではもちろん違うと分かっていても「深層心理」ではどこかで「昨日までの自分が今日の自分」だと思っています。

そこで必ず「もう、すでに貴方はプロなんですよ」と自覚してもらいます。

『え?やっぱり海に放り出すんじゃない?』

そうですね、一度実際に水に入らないと感触が伝わらないので、とりあえず水に入ってもらいます(笑)
そうすると大概の新卒さんは「キュッ!」と身が引き締まるのです。


私がいた会社では、新卒さんが配属されて部署に来るのは2週間ほど泊まり込みの研修を終わってからくるので、ビジネスマナーであったり心構えであったり基本的なことをコースで終了しています。

しかし実際の現場に来ると仲良し同期とも離れ、周りはベテランの中にポツンと一人になるので戸惑いや不安で一杯な状態です。
自分が何をしたら良いか。分別すらつかない。

そこでその話を「ゆっくり」話せる休憩時間や仕事の合間で話せるときに伝えます。

「もう、すでに貴方はプロなのです。
お客様(取引先)から見たら貴方が新卒だろうがベテランだろうが関係なく、うちの会社の人間だと思います。
看板を背負ったと思って下さい。」

心構えを現場で再度伝えます。そして今はまだ当然出来ないことが多いこと、分からないことが多いことを自分たち迎える側が理解している事もセットで伝えます。


2 社会は、そして会社は理不尽な事が多い。

いきなりネガティブっぽいですね。
新卒さんは今希望で満ち溢れた未来を見ています。
憧れの会社、憧れの職種・・・。

でも自分が輝くように働けるようになるのは、実際は数年後です。
その数年間は、彼らにしたら「理不尽」そのもの。
大人から見ると、たかが2,3年でも彼らから見ると長い期間なのです。
それを乗り越えてもらうために

会社は理不尽な事が多い。

と先に伝えます。

「自分ならもっとできる」
「もっとこうした方が良いのに聞いてもらえない」
「良いと言ってくれたのに、上からダメと言われたら翻ってしまった」

そういう思いが一杯になったら新卒さんは『退職』してしまう人も多いです。

そこで
「理不尽な事が多いかもしれない。
でも自分が知らないだけで、そういう仕組みにも実は理由があるときもある。
また、どう考えても理不尽だったりすることもあるかもしれない。
それも含め『企業人になる』ことだったりする。
そういう理不尽な思いを忘れずに悔しければ認めて貰う、または出世して自分で是正してください。そして自分がそうならないようにしてください。
今は、理不尽でも認めて貰えるまでは頑張るしかない時期なのです」

今の新卒さんが企業に求めることは、「待遇」や「福利厚生」だけではありません。
もちろん、残業が多い会社より少ない会社が良いに決まっています。
有休だって普通に取れる会社が良いに決まっています。

しかし彼ら新卒さんたちは、実は「働きがい」を一番求めています。
「自分の可能性」をどうしたら開花させることができるのか。
やりたい仕事を思う存分やってみたい。

目の前から、それらが見えなくなると辛くなります。今やっている先にそれがあるのか、表現のしようもない不安が襲うかもしれません。
メンタルに来てしまう方も出てくるでしょう。誰でも先が見えない不安ほど一番メンタルに来るのです。
なので、その辛い時期を抜けた先の明るい場所があることを伝えると良いでしょう。
2,3年先輩が将来の自分の姿だと思えたら良いですね。
(先輩の姿も重要ですよ!)


3 必要とされる人間になろう

では、どうしたら良いのだろう、という思いになります。
上記の

1 入社=プロである。それは経験とは関係ない。
2 社会は、そして会社は理不尽な事が多い。

厳しいですよね・・。
なんだか会社が怖くなるかもしれませんね。
でも現実なんです。

それらの話をすると、新卒さんに
「どうしたら良いのでしょう・・私」
という言葉が出てきます。

ここでも3つの話をします。
① 社会の構造はピラミッド
② その中で生き残る
③ 違う場所でも必要とされる人になる

「社会の構造はピラミッド」
当り前ですが、入社した人が年数経てばだれでも出世するわけではありません。
100人入社しても係長、課長、部長と残っていくのはごく僅かです。
出世ではなくてもリストラもあるかもしれないし、いつ何時企業買収などになるかもしれません。
そのつもりで働くことを伝えます。

その中で生き残るのはどういう人か。
ずばり「必要とされる」事ですね。
特殊な技術を持っていれば「必要とされる」のはもちろんですが、技術がなくても大丈夫です。
例えば、その仕事を熟知している。段取りが早い。安心して任せられる。
また、人当たりがよくて和む、なんていう方も良いかもしれません。
もちろん、業務は普通レベルでできないといけませんが。

でも、入社してすぐだと自分は何ができるのか、そうなれるのか不安ですが「一つ一つ丁寧に仕事をする」ことであったり「先輩や上司の話を最後まで聞く」ことが必要だと伝えることができます。


新入社員としてではなく、一人の人間の未来を考える

これが上の 違う場所でも必要とされる人になるということです。

私は転職が多かったので、新卒さんにもその可能性を考えるようにしています。
当時の会社は、新卒から定年までいる方が多かったのですが、そんな話ができるのは転職経験がある自分の良さだったと思います。

新卒さんが万が一転職のときやM&Aなどがあった時に、生き残れるような社員、いや人間になってほしいと思いました。


自分を磨くことが「この会社のため」=「自分の未来のため」に繋がる。


それをさりげなく業務の合間などで伝えることを心掛けていました。
これは新卒さんだけではなく転勤で自分の元に配属になった部下にも同様に伝えていました。
自分の会社事情だけではなく、社会の動きが会社の方針を少し変えることも長い年月には出てきます。
過去の「リーマン・ショック」のような海外事情に伴う経済の動きもあります。

そんな話をすると
「私は今何ができるんでしょう・・。」
と私に聞いてくる新卒さんは何人もいました。

「これから一緒にそれを作りましょう。これだけは誰にも負けない“何か”を。」
と答えていました。

「他の会社でも通用する社員」に育てることは、自社にとっても間違いなく貴重な戦力になります。

これから学生の何倍もの時間を社会人として過ごします。
新卒新入社員は、いわば「生まれたての子供」であり最初に入った会社がその後のその方の中の「基準や常識」を作ります。
その方にとって将来の核を伝えていくように、ぜひ接してあげてほしいと思います。


嫌われることを恐れない指導。パワハラとの違い

最後に、業務で指導する側が一番気になるのが「パワハラと言われたらどうしよう」という事ではないでしょうか。
ただ過度に指導する側が怯えていては、正しい指導ができません。

気を付けて頂きたいのは
● 気分で叱責しない、他の人にも聞こえるように大きな声で注意しない
● 冷静に彼らの行動の理由や根拠を必ず聞く。
 ●正しい対応、処理の仕方を伝える。

パワハラは下にある6つに大きく分けられますが、通常の指導の範囲は当然認められます。
しかし、相手が注意されたことで「パワハラだ」と思うと、人間関係に問題が生じてきます。
指導するのは接する人も気を使うと思いますが、不安なのは新入社員も同じです。

人は行動する事には理由があります。
まずは新卒さんの行動や考え方の癖や根拠を理解していき、時にはその方の考え方の軸が正しいのかずれているのかチェックして修正する等の指導を心掛けたいですね。

そしてその根底には常に「この人の未来のために」指導するという事を忘れないでください。
それが伝われば大丈夫です。

厚生労働省でもパワーハラスメントのパンフレットがありますので、ご参考に。

職場のパワーハラスメントとは、例えばこんな行為。
① 暴行・傷害(身体的な攻撃)
② 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③ 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④ 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
⑤ 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥ 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)


最後まで読んで頂きありがとうございます。
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