半側空間無視の右半球脳卒中患者の右方偏位の改善には、座位と仰臥位の方が座位よりも優れている:ランダム化試験~論文紹介~
概要
体の位置が片側空間無視 (USN) にどのような影響を与えるかは不明です。
このクラスターランダム化試験は、脳卒中患者の USN に対するさまざまな姿勢(仰臥位、座位、立位)の影響を調べることを目的としていました。
方法
右利きで、過去 2 年以内に生じた右半球損傷による左片麻痺を有し、グラスゴー脳卒中による覚醒状態にあった 20 人の脳卒中患者 (出血 [n = 11]、梗塞 [n = 9])この研究には、昏睡スケールスコア 15 が含まれていました。USN の卓上のペンと鉛筆のテスト (ベル テスト、線分二等分試験、シーン コピー、星印末梢試験) は、仰臥位、座位、立位でランダムに実施されました。
結果
各テストの平均値は、仰臥位では座位の平均値よりも有意に小さく ( P = .015、.047、.015、<.001)、立位の平均値は立位の平均値より有意に小さかった。座位 ( P = .007、<.001、=.006、および < .001)。立位での 4 つのテストの結果は、仰臥位での結果と同様でした。
論文の結論
脳卒中患者では体位が USN に影響を及ぼし、立位や仰臥位の方が座位よりも USN を改善することがわかっています。
考えられるメカニズムとしては、下肢と体幹の筋肉の収縮が立位での結果に影響を与えた可能性があり、仰臥位での重力刺激の減少が影響した可能性があります。
結論
研究者の結論からすると、
立位:筋の収縮や立位姿勢の維持、脳幹網様体賦活系などの関与
臥位:抗重力活動の減少、その中での姿勢の安定性向上・支持基底面の拡大
おそらくこの理由が関与していると考えられます。
座位では、臥位ほど支持基底面や安定性は向上せず、立位ほど覚醒向上や姿勢維持の困難さはありません。
このことから、中間にある座位の成績が低下したのではないでしょうか。
私たち療法士が普段、書面の検査で評価している座位は、一番成績が悪いと考えられます。
低い点数になるため半側空間無視を検出しやすくなりますが、座位以外の生活より右方偏位したり、見落としが多くなることが想定されます。
ただ、低い点数を見ることができるため、低めに見積もる様な感じになると思います。こうなると、ADL場面ではそれ以上の点数の機能になるかもしれないですね。
近い動作でいうと食事場面や座位での更衣、トイレでの座位時、浴室での洗体時などになると思います。
いかがだったでしょうか。
引き続きまた論文紹介を行っていくので興味があれば見ていただけると嬉しいです。
ここまで見ていただき、ありがとうございました!
参考文献
Onaka H, Kouda K, Nishimura Y, Tojo H, Umemoto Y, Kubo T, Tajima F, Mikami Y. Standing and supine positions are better than sitting in improving rightward deviation in right-hemispheric stroke patients with unilateral spatial neglect: A randomized trial. Medicine (Baltimore). 2022 Nov 18;101(46):e31571. doi: 10.1097/MD.0000000000031571. PMID: 36401369; PMCID: PMC9678496.
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