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【心得帖SS】「資格」を取ってみたいです!

「むむむ…」
駅前の大型書店にて、大住有希はかれこれ30分くらい唸っていた。
(困ったわ、どの本が良いのかさっぱり分からない…)
そろそろ不審者と思われないか心配になったとき、通りの向こうから見知った顔の人物が近付いてくるのを見つけた。


「やった!紗季さーん」
「ふえっ⁈」
いきなり大声で話し掛けられた紗季は、思わず持っていた雑誌を取り落としてしまった。

「わわっ、ごめんなさい」
自分が原因で紗季を驚かせてしまった有希は、彼女の元に駆け寄って落ちた雑誌を拾い上げた。
「…え?」
その女性向け雑誌の表紙には、肌を露わにした男女がポーズを決めており、【S●X特集】といったタイトルが大きく記されていた。

「ち、違うの…これは妹に頼まれて」
「紗季さんって確か一人っ子でしたよね」
「はうっ…」
「はいはいセンパイ、こちらにどうぞ」
一気にポンコツと化した紗季の手を引いて、有希は書店に併設された焙煎珈琲店へと足を向けた。

濃厚カフェオレで持ち直した紗季は、若干顔を赤らめたまま有希に尋ねた。
「…それで、私を呼び止めた理由は何だったの?」
「そうでした、実は私、資格の取得を目指していまして…」
最近のモヤモヤ感を払拭するため、自身のステージアップを目指すことに決めた有希は、手始めに目に見える成果物を求めることにしたのだ。


「資格といっても色々あるけれど、有希ちゃんは何を狙っているの?」
「はい、語学とビジネス実務に繋がるもの、この2つを考えています」
ある程度目星を付けていた有希は、胸を張って応える。
「ふむふむ、良い選択だね。語学は英検やTOEICなどとして、ビジネス関係でいま検討しているものは?」
「リテールマーケティング検定、ビジネス実務法務検定などは現在の業務に役立ちそうですが、学習方法などがよく分からないので悩んでいました」
先ほどまで本棚の前で唸っていたのは、あまりにも色々な書籍があり過ぎたので頭の中が混乱していたのだ。

「そうね…あくまで個人差はあるけれど」
首を傾げて考えていた紗季は、少しでも有希の要望に応えようと話を続けた。
「資格の教材には【参考書】と【過去問題集】の2種類があるわよね。私は、出題の傾向を掴むため参考書をざっと確認したあとは、過去問題を解く時間を大切にしているわ」
「出題の傾向、ですか」
「問題を解いていく中、間違った設問に関して解説や参考書を辞書代わりに活用、正解するまで繰り返していくの」
「と言うことは、解説欄が充実している過去問題集を参考書とセットで探すのが良さそうですね」
紗季とのやりとりで解決策が見えてきた有希は、笑顔でチーズケーキにフォークを入れた。


「有希ちゃんは地頭が良いから、今後余裕ができたらMOSやFPなどにも挑戦して欲しいな。もっとも、あまりに資格ホルダーとなってしまったら、他社からヘッドハンティングが殺到しそうで心配だけど」
「いえいえ、そんなの来ませんよ…ところで」
有希の瞳がギラリと光った。


「紗季さんは、●n●nのS●X特集号を購入して、何を学ぼうとしていたのですか?」


「うわーん、もうその話は勘弁してえっ!」
紗季は真っ赤になった顔をテーブルに押し付けて悲鳴を上げた。

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