黒珈|くろこ|ビジネスラノベ作家

モノづくりの会社で働いている🐈‍⬛です。ビジネスSS【営業課長の心得帖】 新感覚学園小説【…

黒珈|くろこ|ビジネスラノベ作家

モノづくりの会社で働いている🐈‍⬛です。ビジネスSS【営業課長の心得帖】 新感覚学園小説【twenty all】 ライティング手法【あのストーリーの向こう側へ。】Kindle出版。 noteでは【備忘録】シリーズ、新感覚学園小説 【straight(駅伝)】を連載中。

マガジン

  • 【小説】straight(ストレイト)

    新感覚の学園小説です。 ある事件の責任を取るカタチで地方に左遷された、某飲料メーカーに勤める元箱根駅伝選手、澤内悠生。 ひょんなことから地元の女子高校駅伝部のコーチを引き受けることになり……。

  • 【備忘録】シリーズ

    「四条畷紗季の備忘録」シリーズを纏めました。 【主な登場人物】「四条畷紗季」某食品メーカー本社マーケティング部担当課長。真面目で優秀だが少し天然。「寝屋川慎司」紗季の上司。家族とトンカツを心から愛する副部長。

  • 週末ストーリィランド

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  • 【黒珈の雑記帳】

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  • 【黒珈メソッド(有料記事)】

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【新刊発売】『あのストーリーの向こう側へ。』Kindle出版しました!

2024年5月1日(水)新刊発売! 『あのストーリーの向こう側へ。 〜ものがたる電子書籍作家のひとりごと〜』 ビジネスラノベ作家の黒珈が、 「キャラクター」「ストーリー」「ライティング」を全力でものがたる一冊が纏まりました。 ✅『文章が単調と言われる』 ✅『思っていることがなかなか伝わらない』 ✅『提供したい価値のクオリティを上げたい』 こんな悩みを解決します。 ブランド・コンダクターの【ささきさん】に、素敵な表紙を作成いただきました📗✨ さあ! あのストーリーの向こ

    • 【小説】「straight」107

       稔流の発言に、ポカンとなった記者達。  真っ先に我に返った記者のひとりが、口を開く。 「あなた、何か勘違いされてません? 我々が今日ここに来たのは『straightドーピング事件』に関与した疑いのある澤内悠生氏が高校女子駅伝に選手を送り込んだ、という情報を入手したからで、あなたの就任記者会見を撮りに来た訳じゃありません」 「その情報を流したのは、わたしだ」 「え?」 「何っ!」  彼の話を聞いた悠生は、思わず耳を疑う。 「何故、そんな事されたんですか?」 「身内の恥じ

      • 【小説】「straight」106

         その事には、当然マスコミ各社も気が付いていた。  彼らは、スタンドの興奮が一通り収拾したのを見て、一斉に行動を起こした。 「澤内コーチ、おめでとうございます」 「佐山さーん、こっち向いてください!」 「創部二年目の学校が初優勝、コーチの手腕もあったかと思いますが、それだけじゃないでしょう?」 「試合前、選手達が飲料を飲んでいたのを目撃した人がいるんですが、ドーピングじゃないでしょうね」 「全国の人が見ています、この場でハッキリ答えて下さい」 「……おまえら、またしょーも

        • 【備忘録SS】それは「優しい」ハンドオーヴァー

          「引継書……ですか?」 「ああ、そうなんだ」  四条畷紗季は、目の前で頭を抱えている彼女の上司、寝屋川慎司副部長に問い掛けた。 「さすがに、全く無いというのは。見間違いではないでしょうか?」 「ボクもそう思ったのだけれど、これが事実なんだよ」  先月末、とある業務を委託していた外部の会社が倒産。  急遽彼女達の部署でその業務を巻き取ることになったのだが、問題が発覚。  それは、当該業務の主担当者が既に退職しており、業務の根幹となる部分を理解している者が誰もいないことであっ

        • 固定された記事

        【新刊発売】『あのストーリーの向こう側へ。』Kindle出版しました!

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        • 【小説】straight(ストレイト)
          107本
        • 【備忘録】シリーズ
          14本
        • 週末ストーリィランド
          6本
        • 【黒珈の雑記帳】
          35本
        • 【黒珈メソッド(有料記事)】
          4本
        • ◎完結【小説】「twenty all」
          231本

        記事

          【小説】「straight」105

          「よく頑張ったな、光璃」  澤内は、肩に掛けていた大きなスポーツタオルで光璃を包み、頭を優しく撫でてやった。 「へへへ」  最愛の人に抱き締められて、彼女は満足そうな表情を浮かべた。  そこへ、残りの4人が飛び込んで来る。 「やったあ光璃っ!」 「優勝よォっ!」 「ウチにも触らせろっ!」 「この色男っ!」  ひと固まりになってぎゃーぎゃー騒ぎだした6人に、スタンドの観客はいつまでも惜しみない拍手を送った。 「俺は……今日この場所に居た事を、誇りに思うよ」  営業課長は、思わ

          【小説】「straight」104

           目の前に、大きなトラックフィールドが広がっている。  光璃が競技場に入った瞬間、スタンドから大きな拍手と歓声が響いてきた。 「何だ、急に人数が増えたんじゃないか?」  あまりの声援に、営業課長は驚いて腰を浮かした。  何故こんなに人が集まったのか?  それは、テレビ中継の効果であった。  中継車まで動員した大手民放は、レギュラー番組を急遽取りやめ、全国に桔梗女子VS聖ハイロウズ学園の熱戦を放映したのだ。  テレビを見ていた人達の目に、ハイロウズの汚い裏工作と、それで

          【小説】「straight」103

          「終わったわね」  松澤の乗ったパトカーを見送った豊田は、背中に掛けられた言葉に振り返った。 「……お前か」  スーツ姿の女性を見て、彼は吐き捨てる様に言った。 「畜生、せめてあの野郎を一発殴ってやりたかった」 「そんな事したら、あなたまで刑務所行きじゃない」  弥生は、たしなめるようにそう言った。 「澤内君と、走れなくなっちゃうわよ」 「……それは困る」  気を取り直した豊田は、目の前に居る謎めいた女性に向き直った。 「そろそろ教えてもらおうか、あんたが何者なのかを」 「

          【小説】「straight」102

           縁石に軽く跳ね返ったそれは、絶妙なタイミングで転がって、走り込んで来た光璃の足元へと向かう。  その瞬間、沿道から飛び出した一人の男が、転がってきた缶をぐしゃっと踏みつぶした。  慣性で前に行きそうな身体の勢いを殺し、くるっと彼女に背を向ける。  一瞬、そちらを向いた光璃だったが、何でもないと判断したらしく、再び前を向いて走りを続けた。  驚いたのが、増沢。 「何っ?!」  渾身のタイミングで放った空き缶爆弾を止められた彼は、愕然とした。  潰れた缶を拾った男が、

          【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第6話

          「……ひょっとしたら、それは風吹橋の話かも知れんのう」  暫く考え込んでいた老人は、やがて思い当たった様に口を開いた。  久深の告白を聞いた後、悠生は自分も風の色捜索に加わりたいと申し入れた。 「伝説的なものは、地元の人に聞くのが一番」  そう思った彼は、バイトの空き時間を利用して、彼女と近くの漁村等を尋ね歩いた。  空振りが続いた3日目に、ようやくこの老人のひと言と出会えたのだ。 「どんな、話なんですか?」  逸る気持ちを必死で押さえながら、久深が尋ねる。  彼女の促し

          【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第6話

          【小説】「straight」101

          「リタイアだと?!」  増沢は、手にしたスマートフォンを思わず取り落としそうになった。  第五区の選手が、ガードレールに激突して途中棄権。  これで、地区大会出場条件である二位以内確保の望みも完全に絶たれた事になる。 「揃いも揃って、この役立たずが!!」  怒鳴りながら通話を切った彼は、ギャラリーが詰めかける市役所通りの沿道へと戻った。 「……結局、信じられるのは自分だけか」  彼の右手には、中身の入っていない空き缶が握りしめられていた。  なに食わぬ顔をして、最前列へと

          【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第5話

          「両親が死んでから、兄は男手ひとつで私を育ててくれました。生活は苦しい筈なのに、『久深は夢を追い続けるんだ』って、無理をしてバイオリンも習いに行かせてくれて……」  少し言葉を区切った彼女は、小さく深呼吸をして話を続けた。 「大好きだった絵をやめて、一心に仕事に打ち込む兄を見て、わたしはだんだん罪悪感に囚われてきたのです」  久深の顔に、苦悩の色が浮かぶ。 「高校三年の秋、新人賞を受賞した時、わたしは思い切って言いました。 『自分ばかり夢をかなえてちゃ不公平だわ』って」 「

          【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第5話

          【小説】「straight」100

          「追いついたっ!」  後先を考えないオーバーペースで光璃の背中をとらえた引地は、ここが勝負所と、一気に差を詰めてきた。  だが、彼女のこの判断は、結果として命取りになる。  現在地は、瑞枝街道が市役所通りに合流する急カーブの手前。  しかも合流地点は、長い下り坂から一気に平坦なコースに戻るというおまけ付きで、選手の間からは『魔の左カーブ』と言われる危険な場所であった。  ほとんどスピードを落とさず、二人は魔のカーブに向かう。  光璃の目前に、二秒後、三秒後の自分が現れ

          【小説】「straight」099

          (身体が、軽い)  地面を蹴りながら、光璃は自分を包み込む不思議な感覚に酔いしれていた。 (今の私には、路面の砂一粒一粒、空気の流れる線まで分かる様な気がする。  どこまでも行ける、誰にも負けない……)  彼女は確信する。 『走っている時、私の体は路面から浮かび上がり空を飛んでいました。まるで鳥のように』 (D大駅伝部一年の澤内さんは、箱根第六区を走りながら、こんな感覚を抱いていたんだ)  彼と同じ領域を共有する事が出来た光璃は、こみあげる嬉しさを隠しきれなかった。

          【小説】「straight」098

          「何しとんねん、また抜かれとるやないか!」  先程の上機嫌はどこへやら、再びカミナリが落ちた増沢は、大伊里に掴みかかった。 「言うたやろ、絶対負けられへんねんで」  しばらく彼のなすがままにされていた大伊里は、やがて増沢の手を振り払うと、低い声で言った。 「ド素人が……勝負事に口を出すんじゃない」 「何だと」  その仕打ちに、増沢の口調がガラリと変わった。  あれ程出ていた関西弁が全く消え、言葉に幾分凄味が増す。 「貴様、私に対して、そんな口をきいていいと思っているのか」

          【小説】「straight」097

          県教育委員会理事長 出雲英枝(いずもはなえ)  桔梗女子学園第一区 出雲桔梗 レストランチェーン  『ムーンリバー』代表取締役 一枝正弥(いちえだまさや)      桔梗女子学園第二区 一枝月菜 会員制スポーツクラブ  『X‘CIT』 代表取締役 相原剛士(あいはらたけし)  桔梗女子学園第三区 相原真深 自動販売機総取扱  『水野ベンディング』代表取締役 水野健治(みずのけんじ)  桔梗女子学園第四区 水野柚香 「これは……」  そこに並んだ錚々たる顔ぶれに、課長は

          【小説】「straight」096

          「部長のねーちゃん、やるじゃないか!」  モニターを見た営業課長は、柚香の活躍に飛び上がって喜んだ。 「このまま、いきそうだな」  稔流も、二本目の葉巻に火をつけて、満足そうに頷く。 「さすがは元駅伝選手、いい指導をしている」 「ええ、これで仕事の方も頑張ってくれると、言う事無いんですがね」  彼女達を鍛える為、悠生が自分の仕事時間を割いていた事を思い出した課長は、ふうっと溜め息をついた。 「ところが、そうでもないんだな、これが」 「は?」  言葉の意味が分からなかった課長