一軍、二軍

小学生時代、みなさんドッジボールをやったことあるだろうか。表面がざらざらしたボールを投げあう競技のことである。当たると痛いやつ。運動神経がいいやつが投げることを許されるボール、それがドッジボール。自分のような日陰の人間が許可なく投げることは禁じられている。禁じられた遊びである。ドッジラインを越えてはいけない。

私は日陰の人間。いわゆる、二軍。一軍でもないし、スネ夫のような一軍のベンチでもなかった。運動神経もいいわけでもないし、クラスのお調子者でもなかった。そんな自分は周囲から影の薄いやつと言われていた。なので、ボールに触るにも許可がいるし、投げるにも許可がいる。投げていい??ってね。自分が小学生時代には陰キャなんて言葉なかったけど、もしあったら、たぶん陰キャって言われていたのかもしれない。投げてもミスするのが怖かったのでいつも外野に投げていた。当たっても迷惑かけるだけなのでずっと避けていた。避け専。そのため、避けるのは誰よりもうまかった。

サッカーもドッジボールもなかなか陰キャにはボールを触らしてくれない。「マイボ!マイボ!」と言われたら、素直に渡さないといけない。大名行列みたいに頭を垂れて、下に下に~と。なのでサッカーは嫌いになりました。見るのも。俺のボールは誰かのマイボ。

一軍に選ばれていたら、どんな人生送っていたんだろうか。よくわからん地元の女と結婚して三人子供作って、よくわからん大きい車乗って、地元のモールで子供引き連れて。茶色い総菜買って。こんな小規模な大家族を見せられるとこの国は少子化なんだというのは虚構という現実をまじまじと見せつけてくる。二軍の俺は、結婚せずに納税するだけ。一軍の歩く道は二軍の納税した税金で舗装されている。

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