腹圧(IAP理論)の真実を語ります
今日は腹圧(IAP理論)が重要と言われていますがそれが本当なのか?真実について解説したいと思います。
まず腹圧理論とは何か、腹腔にボールが入ってると仮定し内部の圧力によりボールが変形し脊柱の保護をするという理論です。
引用:スタンフォード式疲れない体
いかにも安定化しそうですが…では実際どのくらいの圧力が必要なんでしょうか?また、どのくらい効果があるのか?それを示した文献はありません(私が調べる限りですが)
まず腹圧の正常値とその測定方法について解説します。
まず
・腹圧の測定方法について
腹腔内に直接穿刺をして測定も可能ですが、間接的に膀胱、胃、子宮、結腸内圧でも測定可能です。これらをスタンダードとしてはいませんが、WSACSでは仰臥位の状態で膀胱内に25mLの生理食塩水を注入し、中腋窩線をゼロ点として呼気終末に測定した圧をIAPと定義しています。
・正常値について
およそ5〜7mmHgです。
腹圧を高めすぎるとIAH(腹腔内圧亢進症)になります。
数値としてはIAP≧12mmHgが持続するか反復する状態
リハビリやトレーナーの現場では腹圧を高めるという言葉を聞きますが実際どうでしょうか?
もちろん腹圧を高める事で腰椎安定化に寄与するという文献も存在します。
脊柱起立筋と腹筋群収縮で腹腔内圧上昇
D.L.Bartelink,JBJS.1957;39B:718-725
GBJ.Andersson,ClinOrthopRelRes;1997:129;156-164
骨盤底筋と腹筋群収縮で腹腔内圧増加
P Neumann,Int UrogynecologyJ.2002;13:125-132
などがあります。
一方批判的な意見として
IAPのみでの安定化は腹大動脈の収縮期圧を超え、内臓・下肢への血流供給が遮断 (Hemborg1985)
荷重時の高いIAPは理論的に体幹筋のみでは不可能(Gracovetsky1987)
IAP増加と疼痛軽減に相関性は認められない(Hemborg1985)
という論文があります。
今回紹介した論文はあくまで個人の見解ですので丸々鵜呑みにしないように注意して下さい。気になる方は原著を読んでみるといいと思います!
明日、腹圧理論の真実について更に深く解説します。
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