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【読書録】02.『真実の10メートル手前』(米澤穂信)

『真実の10メートル手前』(米澤穂信、東京創元社、2015)

 この作品は米澤穂信の『さよなら妖精』に出てくる太刀洗万智という登場人物が大人になってフリージャーナリストとして事件に関わっていく短編集です。『さよなら妖精』は読んだ記憶はあるのですが、随分前のことなので内容が殆ど記憶になくて…これをきっかけにまた読み直そうと思います。というか、この作品の前に出されている『王とサーカス』もまだ読んでないから読もう。好きと言いつつ熱心に追っているわけではないから、読んでない作品まだありそうです。

【あらすじ】
 経営破綻した企業の広報担当の失踪、人身事故、高校生の心中事件、老人の孤独死、少年による女児殺害、土砂崩れに巻き込まれた家屋からの救出──フリージャーナリストとなった太刀洗万智の活動記録。

 短編集6編なので、一つ一つの作品が非常に読みやすかったです。『さよなら妖精』を覚えていればピンとくるような内容も入っていたので、覚えていなかったのが悔やまれます。

 短いけど違和感なく伏線がちりばめられていて、そういうのって結果を知った上でまた伏線の確認のために読み返したくなりますよね。「ここがこれに繋がるのか!」って驚きが得られる作品は本当に面白いと思います。小説の表題にもなっている「真実の10メートル手前」というタイトルは、率直に言って「タイトルの付け方がうまいなあ」と思いました。読み進めることで何故そのタイトルなのか、っていうのがわかるやつ好きなので。

 太刀洗はジャーナリストなので、探偵と違い、警察に事情を全て話すことはないし、真実を掴むための取材や得られた事実を元にした報道について言及する部分もありました。ジャーナリストなので当たり前ですが、真実を明らかにして終わりではなく、その先について書かれていることが印象的でした。

 短編なので内容にあまり触れるとネタバレになってしまうので、感想はこの辺にします。

次回読書予定の本 

『闇の守り手』(リン・フルエリン著、浜名那奈訳)
 もしくは
『烏に単は似合わない』(阿部智里)



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