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とてもメルボルンな夜 - Nonstop Coffee Stand &Roastery × Kurasu イベントレポート

Kurasuでは先日、金沢「Nonstop Coffee Stand & Roastery」のオーナー・山本史弥さんを迎えて、カッピングとトークを楽しむ1日限定スペシャルイベントを開催しました。山本さんには以前、サブスクリプションのパートナーロースターとしてお世話になりましたが、コラボレーションイベントは今回が初めてです。この記事では、イベント当日の様子をレポートしたいと思います。


オーストラリアでの体験という共通項

石川県金沢市にあるNonstop Coffee Stand & Roasteryは、観光エリアとしても有名な「ひがし茶屋街」に位置し、地元の人々にも観光で訪れた人にも愛されるコーヒーショップです。オーナーの山本さんは「金沢をメルボルンのような日本一のコーヒータウンにすること」をコンセプトに掲げ、日々質の高いコーヒータイムを届けています。

今回のイベントのために、山本さんはメルボルンから、18のロースターさんの豆を持ってきてくださいました。当日、イベント参加者はそれらの豆のカッピングセッションを通じて、オーストラリア、特にメルボルンのコーヒー文化やバリスタワーキングホリデーの経験について語り合いました。

閉店後のEbisugawa店で開催されたイベント

創業者Yozoがかつてシドニーでコーヒーグッズ屋さんを営んでいたり、プロダクトマネージャーNaruoがバリスタ修行時代をメルボルンで過ごしていたりと、Kurasuにはオーストラリアのコーヒーシーンを経験したメンバーが多く在籍しています。

このようにKurasuのDNAにも影響しているオーストラリアのカルチャーですが、山本さんは今も年に一度は必ずメルボルンに行って、その空気感を肌で感じ続けておられます。そんな山本さんのお話を聞きながら、実際にコーヒーの風味を感じ取ることで、フレーバーの背後にあるリアルなストーリーに触れることができました。

英語の豊かなグラデーションを発見する

今回のイベントには、メルボルンでのバリスタワーキングホリデーを志す方々も多く集まり、質疑応答の時間は山本さんのリアルなワーホリ体験のお話で盛り上がりました。

参加者から最も多く出た質問は「英語」について。山本さんがメルボルンに到着したとき、最初にぶち当たった壁も英語だったそうです。

「正直、英語力には自信がなかったです。でも、メルボルンのカフェ文化に飛び込みたいという気持ちが強かったので、何とかなるだろうと考えました」

最初のカフェでのトライアルシフトでは、英語の壁に苦労し、コーヒーどころではなかったとか。

「英語に不慣れであったこともあり最初は皿洗いから始めました。しかし、皿洗い場からバリスタカウンターが見えるので、コーヒーの淹れ方を見て盗んでいましたね」

参加者ともフレンドリーに接してくださったNonstop Coffee Stand &Roasteryのオーナー、山本さん(右)

「金沢のお店でも毎日のように外国のお客様が訪れます。自分は完璧な英語を話しているのかというと半信半疑なところもあるけど、言語はグラデーションだと思うんです。完璧な状態はなく、積極的に話す姿勢が大事です。間違いを恐れずに話すことで、徐々に自信がついてきます」

バリスタの夢を現実に変えた時間

次に多く寄せられた質問は「コーヒー」について。どのようにバリスタデビューを果たし、コーヒーを極めることができたのかについてです。

「一度、忙しいランチタイムにエスプレッソマシンを任されたことがありました。全てが英語での指示で、理解できずにパニックになりましたが、仲間が助けてくれてなんとか乗り切りました」

そもそも、メルボルンに行ってはじめてバリスタに憧れたので、最初はコーヒーの知識がなかったという山本さん。

「現地ではバリスタスクールに通いつつ、お店で皿洗いをしながらバリスタの動きを見て技術を盗んだり、休日は大量に牛乳を買って帰って家で練習したりと、わりときちんと下積み的なことはしたかもしれません」と話しておられました。

メルボルンのカルチャーに支えられた挑戦

ここまでのお話を聞いていると、メルボルンでの日々はとても大変だったように聞こえるかもしれませんが、もちろんそれだけではない、と山本さん。特に、メルボルンならではの「カルチャー」に救われることも多々あったそうです。

イベント当日カップしたロースターの豆たち

メルボルンのコーヒー文化は、多様なロースティングスタイルで知られています。『あのロースタリーのコーヒーの味は〜』という会話がバリスタに限らず、街中の常連さんの会話からも飛び交うほどです。だからこそ、メルボルンではバリスタとして働くこと自体が一種のステータスになる」

山本さんによると、オーストラリアではそのコーヒーカルチャーの独自性ゆえに、スターバックスですら追い出されたという話もあるとか。

特にメルボルンでは、街全体に点在するカフェがバリスタたちの技術力を競う場となっており、誰でも参加できるパブリックカッピングがあちこちで開催されているとのことです。だからこそ、常に高いモチベーションを持ち続けられるのだと山本さんは語ります。

「手頃に質の高いコーヒーが日常的に楽しめるメルボルンは、まさにコーヒーラバーのユートピア。そしてメルボルンのバリスタは、ただコーヒーを淹れるだけでなく、ローカルの人々との関係性も築いている。いつものお客様が来る時間帯に合わせて、ドリンクを用意できるバリスタがいるほどです」

山本さんのリアルな話が合わさり、なお一層感慨深いカッピング会でした。カッピングをする際の情報が先入観ではなく、文脈を紡ぐためのものとなった瞬間です。

そんなメルボルンで「スキル」を向上させ「カルチャー」にインスパイアされた山本さん。

日本に帰っても必ず役立つと感じ、何かタイトルを取ってから日本に帰るという目標に向かって日々研鑽を積んでいた彼は、「LaMarzocco CTR Melbourne」というオペレーションを競う大会で1位を獲得するという大きな成果を挙げました。その後日本に帰国され、今に至るとのこと。

Mixing Coffee and Lifetime - チケットを取れば挑戦は始まる

当日は、この他にも多くの質問が寄せられ、会場は大いに盛り上がりました。寄せられる質問の多さの裏に、「不安」と「好奇心」という、作用と反作用のような参加者の気持ちがうかがえました。

渡豪を考える上で不安も多くあると思いますが、繰り返しイベントで強調されたのは「まずビザを申請して、飛行機チケットを予約すること」。迷う理由なんて、ありません。

「メルボルンのカフェでの経験は、一生ものの財産になります。ここで得たスキルや知識は、将来どこで働いても通用する」

山本さんはそう言って、海の向こうでコーヒーの仕事に挑戦したいと考える人たちの背中を押してくれました。

夜遅くまで話は尽きず、場は大いに盛り上がりました。挑戦してみたいという想いがあふれるオーストラリアのコーヒーカルチャーの話に、心が熱くなりました。まさにメルボルンの夜を感じさせるひとときでした。

今回のイベントを通して、リアルな経験と語りでしか得られないエネルギーというものを確かに感じました。異文化の中で自分を試し、成長する絶好の機会、その熱いカフェシーンに飛び込みたくなりますね。

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