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コーヒーでつながる楽しさ。Kurasuがパートナーロースターと表現する世界観

日本全国、そして世界中のどこへでも、美味しい一杯のために最高のコーヒーを届けたい。そんな想いから私たち Kurasuは、日本中のロースターとパートナー提携し、月替わりで個性的なスペシャルティコーヒー豆を届けるサブスクリプションサービスを提供しています。

今回はこの「Kurasuパートナーロースター」の取り組みについて、Kurasuの創業者で代表のYozo(大槻洋三)に語ってもらいます! 

Kurasuパートナーロースターを始めたきっかけ

 ――「Kurasuパートナーロースター」について教えてください。いつから、どのような経緯で始めたのでしょうか。

現在Kurasuでは、京都・西陣にある店舗「Kurasu Nishijin Roastery」でコーヒーを焙煎して、カフェやオンラインストアで提供しています。

しかし、最初から自社で焙煎をしていたわけではありません。そもそもコーヒー豆自体、Kurasuが始まってしばらくは取り扱っていませんでした。「海外向けのWebサイトで日本のコーヒー器具を紹介・販売する」、初期のKurasuはたったそれだけのシンプルな事業だったんです。

当時はまだ海外で注目されていなかった日本の優れたプロダクトや、日本のコーヒーカルチャーについて発信を続けるうちに、ある仮説が浮かび上がってきました。Kurasuというブランドに興味を持ち、日本のコーヒー器具を購入してくれる人たちは、日本のコーヒー屋さんの豆も買いたいと思うのではないだろうかと。ここから、パートナーロースターの構想が始まりました。

その構想が形になったのは、2015年の夏。オンラインストアでのサブスクリプション(定期購買)のかたちで、パートナーロースターの取り組みを始めました。ちょうどオーストラリアやアメリカでサブスクリプションの形態が増えていた時期で、Kurasuでも毎月違う日本のロースターを紹介しようと考えたんです。

そのとき、単にロースターの豆を仕入れて売るのではなく、そのお店の特徴やオーナーの人となり、コーヒーに対する想いといったストーリーもあわせて紹介することを大切にしました。

これまでKurasuでご紹介してきたパートナーロースターの方々(一部)。日本には魅力的なロースターがたくさんある。

――これまでたくさんのロースターと取り組みをされてきたと思います。パートナーロースターはどのように探したのですか?

これまで僕は日本全国のコーヒー屋さんを巡り、Instagramなどで紹介する活動をしていました。そうやってつながった方々にお願いして、パートナーロースターになってもらう、というところから始めました。

最初は東京のGLITCH COFFEE & ROASTERSさんオニバスコーヒーさん大阪のTAKAMURA Coffee Roastersさんなどにお願いして、彼らにおすすめのコーヒー屋さんを紹介してもらって次にそこを訪れて……あとは、コーヒーフェスティバルでおいしいコーヒーに出合ったのをきっかけにお願いすることもありましたね。

最初は僕自ら、ロースターのある現地に足を運んでいました。関東や関西が中心でしたが、ときには九州や沖縄、北海道など遠方に行くこともありました。日本全国のコーヒー屋さんを訪ね、コーヒーを味わいながらお話を伺う。そうやってつながりを作っていくのがとても楽しかったです。

最初は「海外向けに日本のコーヒーを届けたい」という気持ちで始めた取り組みでしたが、続けるうちに「もっとたくさんのつながりを多くの人に届けたい」と思うようになり、日本サイトを立ち上げたタイミングで、日本国内でのサブスクリプションも始めました。2015年から現在にいたるまで、毎月1回、1年間で12のロースターを紹介することを続けているので、パートナーさんの総数は100近いのではないでしょうか。

ロースターごとの魅力を伝えるコンテンツづくり

――Kurasu Journal掲載のパートナーロースターへのインタビューがとても充実していますね。これだけのコンテンツを作るのは大変では?

もともと日本のコーヒー器具の魅力やコーヒー文化を伝えたいという気持ちでブログを書いていましたし、パートナーロースターも「日本全国の素晴らしいコーヒー屋さんに行ってみたい、つながりたい」という僕自身の想いから始まっているので、インタビューコンテンツもその延長線上にありました。

日本のあちこちに情熱を持ってコーヒーに携わっている人たちがいて、コンセプチュアルなお店を営み、とてもおいしいコーヒーを提供している……インタビューコンテンツは、それをできるだけ多くの人に知ってもらうきっかけになれると思ったんです。

最初は僕がインタビューをして、その音源や写真・動画をもとにコンテンツを作っていました。現在はKurasuのヘッドロースターであるTakuyaくんが取材からすべて担当してくれています。

――制作にあたり、苦労したなと感じたことがあれば教えてください。

今の制作スタイルを確立するまでに、ずいぶん試行錯誤してきましたね。「お客様にどこまでストーリーを伝えるべきか」に悩んだこともあります。例えば、ロースターさんが焙煎を始めた経緯を詳細に伝えるべきなのか、もっとコーヒーそのものにフォーカスしたほうがいいのか……。

コーヒー豆のサブスクリプションはKurasuのメイン事業ではありません。つまり工数をかけすぎるわけにはいかない。でも、だからこそ「なぜこれに取り組むのか」という問いに真摯に向き合えるとも感じています。

効率化だけを考えるなら、フォームを作って先方に記入して、それをもとに紹介文を書くこともできますが、それは楽しくないと思うんです。パートナーロースターは、コーヒーを通してつながることの楽しさから始まった取り組みであり、その原点はずっと大切にしたいですね。

――パートナーロースターの取り組みを続けてきて、よかったこと、嬉しかったことは?

Kurasuのサブスクリプションで届いたコーヒーを気に入ってくれたお客さんが、直接そのパートナーロースターに感想メールを送ったり、買い物をしたり……そんな話がコンスタントに僕の耳に届きます。 

コーヒーラバーとパートナーロースターがつながるきっかけを作ることは、もともと僕たちがやりたかったことであり、今も、これからも続けたいことです。ですから、そういうフィードバックはとても嬉しいですし、素敵だなと思います。

パートナーロースターから生まれた縁は数えきれないほど多いです。そこからKurasuというブランドや僕自身のことを知ってくれた人もいて、大変なこともあったけれど続けてきてよかったと思っています。続けることでしか見えてこない景色って、ありますから。

自社の豆も、パートナーの豆も

――初期のKurasuはパートナーロースターの豆のみを販売していたそうですが、そこから自社焙煎の豆を販売するようになった経緯は?

Kurasuの最初の店舗であるスペシャルティコーヒースタンド「Kurasu Kyoto Stand」では、2016年8月のオープン当初、月替わりでいろいろなパートナーロースターのコーヒーを扱っていました。当時は自社焙煎をしていなかったためです。

Kurasuが自社焙煎を始めたのは、その1年後の2017年8月でした。Kurasuというブランドが強固なものになって、お客様からも「Kurasuブランドのものがほしい」と期待を寄せられるようになったためです。

 「いろいろなコーヒー屋さんから提供してもらっている豆のみでKurasuのコーヒーを表現するのは適切なのだろうか」という、モヤモヤした気持ちもありました。そして、純粋に「焙煎にチャレンジしてみたい!」という好奇心も。

それでシェアロースター(焙煎機の時間貸しサービス)を利用して焙煎してみたところ、それが意外とおいしかったんです。そこから少しずつ自分たちでやっていくことになりました。 Kurasuオリジナルのコーヒーを待ってくれていたお客様も多かったようで、店舗・オンラインともに好評で、発売開始からよく売れました。

――自社焙煎豆を導入して、パートナーロースターをやめることは考えませんでしたか?

パートナーロースターの取り組みをやめることはまったく考えませんでした。もともとKurasuの事業の柱とは別のサイドプロジェクトで、いろいろなロースターとつながることが楽しくてやっていたわけですから。

自社焙煎をするようになってからは、店舗ではKurasuのオリジナルの豆を定番のラインナップとし、スポットでパートナーロースターの豆を使うことにしました。サブスクリプションは、「パートナーロースタープラン」「Kurasu焙煎プラン」「パートナーロースター+Kurasu焙煎プラン」の3種類から選べるようにしています。

Kurasuは始めたときこそ小さなブランドでしたが、最近はありがたいことに海外での認知度も高くなり、強いブランドに成長しました。だからこそ、パートナーロースターの取り組みにも責任があると、近年いっそう強く感じるようになりました。

Kurasuをきっかけにパートナーロースターがコーヒーラバーに認知されたり、相乗効果が生まれたりと、そんなポジティブな体験を与えられる存在でありたいと思っています。

LIGHT UP COFFEEさんの豆をお取り扱いしたときの様子

Kurasuから、つながりが広がっていく未来

ーーお話を聞いていて、パートナーロースターはKurasuを象徴する取り組みであるように感じました。

世の中においしいコーヒーを提供しているコーヒー屋さんはたくさんあるので、「おいしいコーヒーを提供する」だけでは不十分です。だからこそ、お客様に選んでもらえるように、どのお店も思考錯誤し、自らの立ち位置を定めているのだと思います。

Kurasuの場合は「つながり」が存在価値です。パートナーロースターの取り組みを通して、お客様に来店してもらったり、購入してもらったり、Kurasuのファンになってもらうだけでなくパートナーロースターのファンになってもらったり……「つながりを感じられるからKurasuに行きたい」と思われることが、Kurasuならではの価値になっています。

サブスクリプションはメイン事業ではないが故に、購買数を増やさなくてはというプレッシャーを意識しすぎることなく、つながりを生み出すことにフォーカスできているのかもしれませんね。

ーーでは、今後もパートナーロースターを続けていく予定ですか。

そうですね、続けていきたいと思っています。現在、Webサイトの更新に伴い、パートナーロースターのプロダクトページを少し変えたいと考えているんです。Kurasu全体もそうですし、コーヒー、プロダクトについても、常にアップデートしていきたいな、と。

Kurasuは、2017年のシンガポール出店を皮切りに、タイ、インドネシアと、グローバルにカフェ事業を展開しています。海外店舗が増えていくなかで、パートナーロースターで培った知見を活かせることがあるのではないか、とずっと考えてきました。

実際に、サブスクリプションのパッケージをシンガポールに持ち込んだこともあります。Instagramのタグからシンガポールのコーヒーコミュニティと日本のロースターがつながり、当時現地ではマイナーだった深煎りのコーヒーのおいしい淹れ方を共有したのだとか。そうした取り組みが、現地のコーヒー屋さんとの差別化につながりました。

ただコーヒーを販売するだけに留まらず、コーヒーラバー同士がオンラインやオフラインで接点を持ったり、国境を越えて文化が伝わったり……。Kurasuというブランドを起点に、有機的なつながりがひろがっていく未来を思い描いています。

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