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”くらしてみたあとに座談会” kurashi030 旭川キクチさんの記事で考える”子育て移住の気持ち”

くらしてんメンバーのkatoyomeです。
先月の8月、旭川のキクチさんの記事を公開しました。

キクチさんが東京からUターンした決め手は、子育ての環境にありました。
くらしてんでは、これまでのいろんな方のくらしを取り上げてきましたが、移住を考えるきっかけは年代によってかなり違うことがわかります。
20代であれば、都会で培ったスキルで地方に何かを仕掛けたいという人や、
大学進学を機に東京出てきたけれど、やはり都会は自分に合わないと感じる人など、
自分自身とくらす場所との関係から地方への移住を考えるケースが大半。
だけど30代になると、結婚や出産を経て、移住を考える理由が自分以外のところに移っていきます。

キクチさんの移住の理由も子供のため。子どもにとって良い環境でくらしたいというのが移住の一番のきっかけでした。

今回記事を担当したのは、名古屋在住のサワモト。
子育てを考えて地元の旭川に戻りたいと思っているくらしてんのメンバーです。
今回はキクチさんの記事をもとに、子育てで移住を考えている一家のリアルな声を聞いてみました。

■座談会メンバー

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①サワモト:
北海道旭川出身、名古屋在住。
会社で営業をしつつ、旭川へUターン計画中。

②サワモト嫁:
宮城県仙台出身、夫と子ども2人とともに名古屋在住。
元小学校教員で、現在は専業主婦(旭川では復職予定)。

③katootto :
北海道函館出身、千葉県在住。
一級建築士をしながら、「くらしてん」を運営。

④katoyome :
千葉県出身、夫と子どもとともに千葉県在住。
会社員だが、この間出産をして育休中。


土地への愛着とコミットする感覚

katootto:今回の座談会は、旭川のキクチさんの記事をみながら、旭川にUターンしたいサワモト家の移住前の気持ちなどを聞いていきたいと思います。
まず、旭川に戻りたい一番の理由ってどういうところにあるの?

サワモト:もともと大きめの家を建てたいという夢があるんだけど、建てるとしたら、ごみごみしたところが嫌いな自分としては都会ではまずない。地価も高いしね。
もう少し空間に余裕のある場所って考えたら、家族のことや教育のことなど考えるとある程度の街が良いから、故郷の旭川がちょうどいいかなと思って。縁もゆかりもない地方に建てるというのも考えにくいし。
正直、Uターンするのは帰属意識や愛着もあると思う。愛着のある街だからこそ、Uターンしたら地域の活動にも参加してみたいんだよね。名古屋でそういう活動に参加する気は全然ないんだけど、旭川に帰ったら参加したい。

サワモト嫁:私の故郷である仙台も移住の候補のひとつだったかな、最初は。
旭川か仙台が候補になる理由は、今住んでる名古屋にはいざという時に頼れる人がいないのが、私にとっては大きい。
小さい頃、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでいて、まわりに大人が多い環境だった。そういう環境で子育てをしたいんだよね。

katootto:僕も小さい頃、おじいちゃんとおばあちゃんと住んでいたから、核家族だと関係性が薄い感じはちょっとする。
おじいちゃん、おばあちゃんがいる環境の方が豊かな感じがするよね。
サワモト家は名古屋に地縁も無くてぽつんと一家族でいるような感じだもんね。それがその土地になんとなくコミットできていない感覚に繋がるのかも。

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結局、会社が住む場所を決めている

サワモト:”なんでここにいるんだろう”感があるよね。会社の都合で転勤させられて住んでいるだけだから。自分の住む場所は自分で自由に決めたいよね。

katootto:会社から”お前ここに住め”って住む場所を決められるのは、考えたら変だよね。

サワモト:でも、ほとんどの会社員はそこに違和感はないんじゃないかな。どちらかというと、住環境よりも職場での出世や成績のことを考えている人が多いからね。

katoyome:東京で勤める場合でも同じだよね。大概が会社の通勤圏内を選んで住んでいる。全くの自由意志で選んだわけではない。それも今回のコロナ禍で崩れたかもしれないけれど、これまで仕事をする上での前提だったんだよね。

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住む場所を縛る学校の存在

katoyome:キクチさんとサワモト家の移住のきっかけが子育てという観点で同じなんだけど、その上で移住前に知りたいことって何なのかな?

サワモト:ここに住んだらどういう教育が受けられるのかっていうのは調べてたね。

katoyome:子どもがいる・いないだと移住で調べる観点がかなり違うよね。私が移住を考えていた時は子どもがいなかったから、ここでどんな仕事ができるかっていう観点でしか調べなかったもん。

サワモト:上の子がもう小学校に入るから、この地域に住んだらどういう小学校に入るのかということがまず知りたいんだよね。お試しで一旦賃貸に住んで、次に家を建てるとなると、旭川市内で転校させることになってしまう。それは子どもにとって良いことだと思えない。だから、ある程度の期間、腰を据えて住む前提で住む地域を決めないといけないんだよね。

katootto:学校って住む場所を縛るよね。仕事の場合は車があるからある程度自由に住む地域を決められるけど、学校は学区に縛られてしまうから自由度がない。

サワモト:旭川の隣町の東川町も移住するのにいいなって思ったけど、高校とか習い事の選択肢を考えると旭川の方がいいかなと。それに、地域も場所によっては荒れているところもあったりすると思うけど、旭川はそういうことが比較的無い。そこは地域柄なのかメリットだよね。

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母親の”プライベート”を作る車空間

katoyome:今名古屋では幼稚園の送迎がバスと徒歩だって聞いたけど、旭川に移住したら車使わないといけなくなるよね。サワモト嫁はこれまで東京と名古屋と住んでいると思うけど、車を運転する生活ではなかったわけでしょ。旭川にUターンしたら急に車が必要になる生活ってどう思う?

サワモト嫁:車に乗るのは楽しみではあるのよ。今育児でプライベート空間が無いけど、車に乗るとプライベート空間が持てるから。
今名古屋に住んでいる間は専業主婦になってるけど、旭川に住んだら復職したいと思っているから、子どもを預けた後の車の移動時間はプライベート空間にできるんだよね。
子どもを産んで「母親としての自分」しかなくなってしまって、仕事をしてる自分とか好きな音楽を聴いてる自分とか、出産前の自分がどこかにいってしまった感じがあるから取り戻したい。

katoyome:それは、すごくわかる。うちも最近子どもが生まれたんだけど、急に子どもの世話や家事に追われて「母親としての自分」が大半になって、出産前の自分が無くなってきている。自分自身のプライベートがないような感じ。

katootto:子ども2人いて常に育児している状況だと、サワモト嫁が一人になれる時間がないんだね…。
これまでにくらしてんに登場してもらった人たちも、自分一人になれる時間が気持ちをリセットするためにすごく大切だって言ってる人も多かったよね。
地方だと車での移動中が一人になれる時間になる。都会だと電車通勤とかで一人になる時間があんまりとれないのかも。

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休日のストレスになる都会の移動時間

katootto:キクチさんは、旭川に移住して、自然を通して子どもたちの感受性を高めたい、という気持ちがあったと思うけど、サワモト家もそういうのあるの?

サワモト:そういう気持ちはあるね。自然体験云々よりもまず、今名古屋だと幼稚園でも園庭がすごい狭い。そのせいで運動会で見学できる人数を制限されるから、祖父母なんかも見に来れない。行事によっては家族は1人までっていう場合もある。

サワモト嫁:幼稚園で散歩に行くときも、園が大通りのそばにあるから、車がびゅんびゅん通る道路を通って、ちょっとした公園に行くとかになる。北海道みたいに自然体験っていう感じではないね。

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katootto:休日は子どもとどこに遊びに行くの?

サワモト:コロナ禍だから、近所の小さい公園とかかな。コロナの前は2か月に1回は近隣の県に旅行したりしていた。
名古屋近辺は、水族館とか子どもが喜ぶスポットが多いのはすごくありがたくていろいろ行ってるけど、そういうところってやっぱり休日はすごく混んでるから一日に1か所行っただけで疲れちゃう。キクチさんみたいに何か所も回れない。

katootto:旭川の方が各スポットと距離感が近いっていうのもあるよね。キクチさんも東京に住んでいる時は電車で遊びに行ってたけど、帰ってきて疲れてぐったりしてたって言ってた。

サワモト:都会はどこも混んでるから、移動のストレスもあるんだと思うよね。密具合が遊び回れる気力に比例するよ。

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あとがき

今回、急遽サワモト嫁にも参加してもらって、かなりリアルな移住前の気持ちを知ることができました。サワモト嫁のいう「母親にはプライベートがない」感覚は特に共感したのですが、車の移動によって一人時間が作れるというのは確かに!と思ったところでした。復職しても都会の母親には一人時間が持ちづらいかもしれない、そんな気がします。

それに住む場所にまつわる不自由さという点。会社が住む場所を決めていた時代から、コロナによってそれも関係なくなった?という時代に突入したわけだけど、学校という存在は変わらない。仕事や会社があってもアドレスホッパーはできるけど、子どもがいるとそれは難しくて、腰を据える前提で住まいを考えた方がよい。だから子どもがいる場合の移住は、特に住む場所の教育や環境などのリサーチはかなり重要な点です。
移住する立場それぞれにあった地域情報のサポーターが必要だなと、つくづく感じた座談会でした。


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