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「どこに暮らすか、ではなく、どう暮らすか。」と、2023年の抱負。

2023年、今年初めての「時々、コラム。」です。

この「時々、コラム。」とは、私たちくらしアトリエの活動の中で感じたことや気づいたこと・あるいは悩み迷ったことを少し深く掘り下げて綴っていく、というもの。

今までに書いたコラムは210本。時にはふざけつつも、読んでくださる方にインパクトがあるものを…と、毎週うんうんと頭を悩ませながら考えています。

今回は新年1回目ということもあり、今年の抱負などを…。

個人的な目標で言うと、ここ数年毎年掲げているのは「機嫌よく生きたい」ということです。

2年前のコラムでも同じ目標を立てていますが、人生の後半戦にさしかかって考えるのは、「成長」とか「進化」よりも「心地よさ」とか「穏やか」といった、海で言えば「凪」の状態こそが、自分にとってのベストの状態なんじゃないかな、ということ。
でも、この「機嫌よく生きる」というのが、案外と難しいのですよね。

機嫌よく生きるためには、自分自身が怠惰であってはいけない。
なぜなら、時間を無駄にしたり、甘えたりすることは、自分にとって最も「機嫌が悪くなる」ことだからです。

逆に言えば、自らを律し、やるべきことをきちんとやることこそが、自分にとって最も「穏やか」な状態。なので、「機嫌よく生きる」というのは結局、「目の前の課題に真摯に取り組み、きょう1日を無駄にせず、後悔のないように生活する」ということになります。途端にすごくハードな目標に見えてきますが…。
でもこうして考えてみると、機嫌よく生きることのその先に、もしかしたらこの年齢なりの「成長」や「進化」があるのかもしれません。

法人としても、自分たちが掲げたミッションに向かって真摯に取り組み、目の前の課題をクリアにしていくことを積み重ねて、いつの間にか15年が経っていました。

外側から見ると「なんだかいろいろやってるな」と思われるかもしれませんが、何度も言っているように、活動の核となっているのは「地域と暮らしをつなげる」という思いです。
そしてその先にあるのは「シビックプライドの醸成(住んでいる地域を誇りに思う心を育てること)」。

住んでいる地域を愛おしく思うことができれば、暮らしが楽しい
こんな、「わざわざ言われなくてもそうでしょ」というような理論を、時には声に出して、時にはひそやかにイベントの中に織り交ぜて、伝え続けてきました。

先日とある方に「NPO法人くらしアトリエ」について説明をしていた時のことです。「シビックプライド」とは、という問いに対して、自分たちなりの解釈をお話したところ、「それって”ウェルビーイング”の概念と少し重なるのかな」というお言葉がありました。

例えば、道ばたに水仙の花が咲いていて、ああきれいだな、いい香りだな、と感じることや、夕日がきれいだなと思うこと。

そういった、日々のささやかな「幸せ」を感じることと、「いま住んでいる地域をしみじみ、いいなと思うこと」は、重なっているのでは、というようなことをおっしゃって、まさに!と思ったのです。

「ウェルビーイング」とは、肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされている、という状態を指すことばです。すごくおおらかに言うと「幸せ」ということでしょうか。
最近、「地域づくり」においてもこの「ウェルビーイング」の概念が重要視されることが増えてきました。くらしアトリエスタッフも、数年前からこの「ウェルビーイング」という言葉に何か自分たちの概念と重なるものを感じ、本を読んだり動画を見たりして勉強しています。

私自身はこの概念がとても多様なため、本質はまだとらえきれていませんが、具体的に私自身が「良い状態(Well-being)」であるとしたら、「心身ともに健康で、かつ自分自身を肯定できる穏やかさがあり、自分の周りの人やモノに対してもいたわりの気持ちが持てている状態」みたいなイメージかなあと考えています。それが世間一般の「ウェルビーイング」と合致しているかは分かりませんが。

「自分の幸せ」を測ることは、すごく難しいです。
基本、「誰かに比べて〇〇」という比較論で幸せが述べられることが多いから。

でも、そこから一歩抜け出して「私は私、あなたはあなた」という境地に達することができたら、きっとウェルビーイングはぐぐっと身近になると思うのです。
そして、ウェルビーイングの指標はひとつではありません。「お金がたくさんあること」「健康であること」「家族が元気であること」「友達といい関係が築けていること」など、たくさんの軸があると思います。

そんな中で私たちが皆さんにお伝えしたいのは、この指標のひとつに「住んでいる地域が好きで誇りに思えていること」という軸を、ぜひ加えてもらいたい!ということなのです。

住んでいる地域を好きになるためには、地域に対して興味を持たねばなりません。「好き」は向こうから転がってくることは少なく、こちらから探していかねばならない。そのためには、受け身ではなく、能動的に地域を見る、という意識が必要になります。これが、普通に(地域づくりに関わらずに)暮らしていると、とてもハードルが高いことなんですよね。

そこでくらしアトリエは、もっと気軽に、みずから地域の魅力に気付いてもらえるような活動を心がけています。それが、このnoteやInstagramといった発信です。

「島根」あるいは「山陰」というフィールドを対象にしているので、あちこちに出かけたり、そこに住まう人たちと話をしたり、時にはおいしいものを食べたりして、その地域ならではの魅力を感じ、それを言葉と写真というかたちにしてシェアしています。

発信を目にした方が「なるほど、そういう見方もあるか」とか「ちょっとこの地域が好きになったかも」と思ってもらえたら、自分たち的には目標達成!
「島根から大山を愛でる 通称:愛で大山」のイベントなんかはその特徴が如実ですね。)
気持ちを共有してくださった方のもとへ駆けつけて、「いま、シビックプライド高まってます!!」と肩をたたいて喜びを分かち合いたい、くらいのテンションでいるのです。

健康でいること、経済的に良好であることなど、ウェルビーイングの基盤になるものはありますが、そのうえで、日々の暮らしの中でちょっとだけでも「住んでいる地域」に思いを馳せ、自分自身と地域とのつながりについて考えてみる機会を持っていただけたら嬉しいな…と思っています。

帰り道に空がきれいだったら。
ふと良い香りにいざなわれて、季節の花を見つけたら。
お気に入りのカフェでおいしいケーキを楽しんだら。
お裾分けでいただいた大根で作った料理が美味しかったら。

…そんな、ささやかな幸福に気づいたとき、ちょっと心が温かくなりますよね。

そんな「ちいさな幸せ」は、爆発的な力はないかもしれないけれど、心の奥底に光が指すようにすっと入ってきて、少しずつ積み重なっていき、その積み重ねが自分自身の糧に、確かになっていくものだと思います。

難しく考える必要はなくて、「あ~ここに暮らしてて良かった。幸せだな」というじんわりとした気持ちを、大切にしてほしい、ただそれだけ。

そして、もしできるなら身近な家族や友人にその気持ちを伝えてほしいし、あるいはSNSなどでその気持ちを発信してほしい。「私もそう思う!」という人が増えれば、きっとその地域は元気で活気があり、外から見ても「住んでみたいな」と思えるような場所になっているのではないでしょうか。

「ここって、いいところだよね」と言って暮らしたい、暮らしてほしい。
それは島根だけではなく、どこに暮らしていても同じです。

「どこに暮らすか、ではなく、どう暮らすか。」
(最初にくらしアトリエのHPを立ち上げた時に掲げたフレーズです)

今は私たちは島根という地域で活動しているので「島根に住んでいて良かった」と発信していますが、本当に伝えたいのは「(そこで)どう暮らすか。」の方なのです。

「ここって、いいところだよね。」「そうだよね。いいところだよね。」と近くの人と共有したい。生きている間じゅう、ずっと感じていたい。
自分の住んでる街の良いところを見つけ、肯定しまくったほうが、絶対楽しいはず。

だから、いろいろな地域の皆さまにも、このnoteを読んでいただけていることがとても心強いです。

今年も、こうして週に1回、さまざまなテーマで考察をしていきたいなと思っていますので、よろしくお付き合いくださいね。

サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。