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校歌には地域の魅力が詰まっている。

今日の「時々、コラム。」は、校歌について。

…なんで校歌?と思われるかもしれないので前置きしておくと、4月21日(木)から始まるイベント「島根から大山を愛でる 通称:愛で(めで)大山」の企画段階で、校歌が重要な意味を持っていたのです。

発端は、大山について考えていたとき。「そう言えば子どもが中学校に入学したときに、校歌に”出雲富士”っていう歌詞があってびっくりした」というのを思い出しました。


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「出雲富士」というのは、島根の人が大山のことを呼ぶときの別名です。(一説には「出雲富士=枕木山」というのもあるのですが、ここではとりあえず置いておきます。)

安来市や松江市、出雲市斐川町から見える大山が、ちょうどきれいな富士山のような形をしているから、このように呼ばれている、のだと思います。

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が、鳥取出身の私にとって、「大山=伯耆富士」であり、「大山=鳥取の山」であり、「大山=自分たちのもの」という概念で今まで育ってきていたので、急に「出雲富士」とか言われて、さらにそれが校歌に堂々と歌われていて、「何それ。大山は鳥取のものなんですけど~」みたいな気持ちに、正直なってしまったのでした。それほど、鳥取県民にとって大山は大切なものであり、まさか隣の県の人が校歌でとうとうと歌っているなんて思いもしなかったのです。

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でもよく考えてみたら、自分自身も松江で暮らしていて、たまに晴れた日に大山がきれいに見えたりしたら「わあ、今日はきれいに見える!ラッキー」と感じるわけで、島根であろうが鳥取であろうが、大山がきれいに見えたらやっぱり感動するし、そりゃあ校歌にも歌っちゃうよなあ、というのが分かってきたのです。

ちなみに、子どもたちの中学校の校歌では

出雲富士 遥かに望み  あの姿 われらが理想

と歌われていました。なんか、すごくいいですよねえ。あの姿が理想…じーん。ありがとう、大山のことをそんな風に思ってくれて(→鳥取県民からの目線)。

その後、進学した高校の入学式で校歌を聴いたときも、

知性の空は 高くひろく  仰げば正し 出雲富士

とあり、「あ、ここでも!出雲富士!」と驚いたのでした。

大山を松江から見たときの、きりりとした美しい稜線を、「正し」と表現されていたのかな、と思うと、何とも言えない気持ちになります。私たちの大山をそんな風に解釈してくれて嬉しい…(→鳥取県民からの目線)。

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他のスタッフいわく「山はみんなのもの!」とのこと。

確かに、風景に思いを馳せることに県境なんて関係ないんだなあ、と考えると、「良いものを分かちあえた」みたいな満足感が沸きあがってきたのでした。

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「水の旅ボトル」の啓発活動をイベントでやりたい、という気持ちはありつつも、どこをテーマの鍵にするべきか迷っていた私たちですが、校歌の思い出をスタッフと話していて、「島根から大山を想う」「島根から大山を愛でる」というのをイベントの核の部分に置いてみたらどうだろう、という話になったのでした。(そのイベントの詳細はこちらです。

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思うに、学校の校歌には、その地域の「自慢できるもの」「次世代に受け継いでいきたいもの」がたくさん詰まっている、そんな気がします。

そして、子どもの頃はただ漫然と歌っていて、その意味に思いを巡らせることなんてなかったのですが、大人になって振り返ると、歌詞のひとつひとつが心に迫ってくるのです。

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例えば私の卒業した小学校の校歌には、地元の山の名前や、目の前に広がる海の波が歌詞に盛り込まれていましたし、中学校の校歌には山・海・川・そして3番の歌詞には「大山」がしっかりと歌われていました。

おぼろげにしか覚えていませんでしたが、この時代、簡単に検索で歌詞が分かってしまう!久々に歌詞を目にして、急に気持ちが幼い頃に引き戻されて、うわーっとなりました。

白鳥ロード近くからの大山

また先日、安来市伯太町のあたりを車で運転していたときに、どーんと大山がきれいに見えるスポットがあり、近くにある高校や中学校の校歌を調べたら、やっぱり「大山」が盛り込まれていました。

そうだよなあ、こんなにきれいに見えるんなら、私が作詞者でも絶対歌詞に入れちゃうよ。

きっと各地の校歌を作詞されている方々も、その地域のいいところを一生懸命探してくださり、子どもたちがそれを歌うことで知らずのうちに魅力を受け継いでいってほしい、という思いを込めておられるのではないでしょうか。

ちなみに、子どもたちが卒業した中学校の校歌は草野心平氏が作詞されていて、「あの草野心平さんが!子どもたちのための歌を!しかも松江のいいところをたくさん詰め込んで!作ってくれたのか!」と、すごく感動したのを覚えています。

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こうして考えると、校歌ってシビックプライドのかたまりなのかもしれない。
校歌を聴けば、その地域の皆さんが大切にしているものが分かる…かもしれない。

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皆さんも、ご自身の卒業された学校の校歌に、あるいはお子さまが通っていらっしゃる学校の校歌に、いま一度思いを馳せてみてはいかがでしょうか。脈々と受け継がれるその地域の魅力を、あらためて感じることができるかもしれません。

学校によっては合唱バージョンが聴けるようになっているところもあって、思わずじーんとしてしまいます。お試しください!

それから、イベントに関連して「あなたが見つけた大山が見えるポイント」も募集しています。「島根のあんな場所から大山が見えるんですよ」「〇〇展望台から大山がとてもきれいに見えます」など、ご自身が心を動かされた「大山が見えるポイント」を、メール(kurashiatelier@gmail.com)やInstagramのDMなどで教えてください!すでにいくつか情報を頂いていて、知らなかったポイントを教えてもらっています。

ポイントのだいたいの住所や、周りにある施設を教えていただくと、分かりやすくて嬉しいです。写真もあれば、さらに嬉しいです!

今からでも、お天気の良い日に「大山が見えるポイント」探ってみてくださいね。

サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。