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バズるより「きちんと伝える」を選ぶ。

くらしアトリエスタッフは、お互いに「この文章ためになったよ」というサイトや、読んだ本などをシェアする習慣がありますが、今日はその中から、先日noteで読んだこちらの記事をご紹介します。

こちらの記事は、フォローしている料理研究家の方が紹介されていたもの。その方は、料理もインスタ「映え」など、本来伝えたいところ以外のことで評判になることが増えて、これからの在り方を考えていかなければならない…というようなことをおっしゃっていました。

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私たちも「ウェブでの発信」を活動のひとつの柱に掲げており、この「バズる」と「伝える」の現状については、いつも考えさせられるところです。最近はお店だけではなく、行政もこの流れに乗っかって、バズることを目的に観光プロモーションを行ったりしているところも少なくありません。それ自体が悪いとは言い切れませんが、何か胸に残る違和感(かなり控えめな表現…!)。それを、先ほど紹介した記事が言語化してくれていました。

記事では、ネット社会が浸透して社会がオープンになった一方で、

ネットによって「民主性」が高まった分、「文脈」がそぎ落とされてしまったようにも感じる。私たちは「バズる」を手に入れた分、「伝わる」を犠牲にした。 

とあります。そして、「バズる」「伝わる」をそれぞれ下記のように説明しています。

(A)「バズる」コミュニケーションを、素早く伝達され、「エモさ」や「怒り」による過剰な共感を原動力にするもの、と定義する。意見の交換より、みんなで気持ちをスッキリさせることの方が時には重視される。
対して、(B)「伝える」ためのコミュニケーションは、少し時間をかけて行われ、論理や表現の工夫を頼りに、相手に自分のメッセージが理解されることを重んじる。最終的に分かり合えず、相手との違いが分かってモヤモヤすることもある。

日ごろ「バズる」局面を目の当たりにして何となくモヤモヤするのは、それが「消費」だけを目的にし、中長期的なビジョンが見られないから。時間をかけることを手放し、一時的な瞬発力だけをゴールにしているから当然のことなのですが、突然グワーッと盛り上がり、すぐに、本当にあっという間に冷える。この温度の乱高下を共有できない私のような人間は、誰かが作った流れに乗せられている気がして、本能的に抗いたくなるのだと思います。

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バズる、とは少し違いますが、くらしアトリエが発信を考える大きなきっかけになった出来事があります。

3年前に「シマシマしまね」を立ち上げた時、「より多くの人に施設の存在を知ってもらいたい」と考えた私たちは、Instagramを使ってより多くの人に発信しようと思っていました。かわいい、「映える」画像をどんどんアップし、ターゲット(だと思っていた)層が好む企画を立てて、発信の中心をInstagramに据えたのです。対して、今まで本サイト「SLOW+SLOW」でずっと行ってきたブログでの発信は「インスタとの同期」という形にして簡略化しました。そのほうが情報が一元化できてスマートで良い、と思っていたのです。

果たして1年目、たくさんの方が施設に来てくださいました。施設がにぎわうことは私たちの目的のひとつでもあったのでとても嬉しく、感謝の気持ちで日々活動を続けていましたが、もっと多くの人に知ってもらいたい、という思いが重なるにつれ、発信は「お店の情報」だけになっていきました。〇〇が入荷しました、〇〇ワークショップ参加者募集、〇〇イベントやります、などなど…。

そしてあるとき、はたと気づいたのです。「発信を強みにしている私たちが、自分たちのコンセプトや伝えたいことを後回しにして、お店の広告みたいなことを毎日続けていていいのだろうか」と。気づいてしまってからは、なんだか情報を消費している「だけ」の世界に加担しているみたいで、心苦しい日々でした。

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1年目が終わった冬にスタッフ間でとことん話し合い、またいろいろな立場で活動されている方に意見もうかがい、原点回帰で「シマシマしまね」のホームページを大幅リニューアルしました。「きちんと伝えること」を第一義とし、方法を考えていく中でこの「note」に出会い、毎日きちんと書くことを自らに課すために「日々、綴る。」というタイトルをつけました。

また、この「時々、コラム。」を毎週金曜日の夜に書くことを決行し、お店のイベント情報や商品紹介ではない「よりよく生きるための考察」と、「地域で楽しく生きていくためにはどうしたらいいのか」という本来伝えたい考え(迷っていることや気づいたことなども含め)を、皆さんに伝える機会を持つようにしました。

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そして、Instagramはまた別の意味を持つ大切な発信ツールなので、noteの内容をもとに別のスタッフが少し違う視点で書くようにし、どちらか一方を見ている人にも、両方を見ている方にも楽しんでいただけるようにシフトしました。

「伝えること」は私たちにとって、活動の根源となるものです。だから、それをおろそかにすることは、羽根をもがれた鳥のようなもの。いまは自分たちのやり方に沿った発信ができているから気持ちがとても楽で、「バズる」ことを考えなくても良い身分なのは本当にありがたいなあと思います。もちろん、お客さまが来ない日は凹みますが…。

発信をする以上は何か伝えたいことがあるはず。バズらせることは簡単かもしれないけれど、コンセプトがあるのなら、伝えたいことがあるのなら、やっぱりそれをおろそかにしてはいけないと思うのです。

きちんと伝えるために、先述した記事では「リアルなイベントを開く」という取り組みを挙げておられます。これは私たちに置き換えると、「いらっしゃったお客さまときちんとお話をすること」だったり、「口コミを大切にすること」だと言えるでしょう。

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目の前の人やものにきちんと誠意をもって向き合うこと。バズることはないと思いますが、時間はかかっても「地域を楽しむことが、暮らしを楽しくする」というコンセプトを多くの方に伝えられるよう、いろんな角度から発信を続けていきたい、とあらためて感じたのでした。ああ、「伝わる文章」についても日々勉強していかなければ…!

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