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おすすめ本のご紹介。「山の図書室」の本棚から。

おはようございます。

2022年に入ってから、突如「読書熱」に火がつき、本の世界を楽しんでいます。去年、特に後半は移転のことなどで忙しくてなかなか本に手が出せなかったのですが、その反動もあるのか、まさにごくごくと浴びるように読んでいます。

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くらしアトリエは冬場に来年度の計画を立てる、というサイクルになっているのですが(これは、1月~3月に施設をクローズしていたことが主な理由です)、その過程で必然的にいろいろと考えを巡らせることになり、考えすぎて落ち込んだりすることも多いのです。少人数で活動しているからこその不安とか、焦りとか、やりたいこととできることのバランスがとれなかったりとか、いろんなことが理由になって、心がわさわさしてしまう。

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そんな心を救ってくれるのが、読書だと思います。知らない世界が広がったり、知識が深まったり、笑ったり泣いたり。そんな体験が、寒い季節の自分たちを支えてくれています。

今年に入ってから読んだ本たちは、どれも自分的には「当たり」。こういう社会情勢もあって外出もままなりませんが、そんな時も本があればわくわくした気持ちで過ごすことができます。読む前とは、確かに違う。目の前の景色が変わって見える。読書っていいなあ。

今日はその中から1冊ご紹介しますね。

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「キリン解剖記」 郡司芽久著(ナツメ社)

過去の「時々、コラム」などでお伝えしているように、2020年春から突如として動物園の動物沼にハマった私。シンリンオオカミやホッキョクグマの情報を集めていると、自然と動物園全体の話題も入ってくるのですが、そんなときに知ったのがこの本です。

解剖学者である郡司芽久さん(本を読み始めて女性だと知りました)の、あふれるキリンへの愛と、キリン研究者へといざなってくれたいろいろなエピソード、実際に郡司さんが博士論文を執筆し発表するまでのようすが、専門的かつ分かりやすく描かれています。

初めて動物を「解体」したときのこと、初めてのキリンの解剖、キリンとオカピの比較、仮説から実証、論文執筆までの道のり…ひとつひとつの体験がとても興味深く、著者の熱がそのまま伝わってきます!

本の中に出てくる恩師の遠藤秀紀先生は、以前「博士ちゃん」というテレビ番組で「とにかく動物の骨が好きだ」という子どもに真剣に向き合い、一緒に解剖をしたり骨の標本を見たりしておられる様子を観たことがあり、「何だか骨への愛がすごいなあ」と思っていたのですが、その教え子である郡司さんの骨愛も相当すごい!と感動しました。

そして、随所にあふれる「亡くなった動物たちへのリスペクト」が本当に素晴らしく…いろいろなキリンが出てくるのですが、それらはどれも「名前のある動物」かつ「遺体」なわけで、読んでいて号泣してしまいました…。キリンたちは亡くなってからも、こうして研究のために頑張ってくれているんだなあ…。

動物園のこと、飼育員をはじめとするいろいろなスタッフさんのこと、そして研究者たちのことが、当事者のことばで描かれています。

このままでもすらすらと読めますが、多くのリクエストにより児童書版も新たに出版されています。漢字にはすべてルビがふってあるので、恐竜や動物に興味のあるお子さまにぜひ読んでほしい!

動物好きな方もそうでない方も、「学ぶってすごいな、極めるって素敵だな」と思える1冊です。

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春からの「山の図書室」でも貸し出しできますので、どうぞお楽しみに…。

「山の図書室」には、ほかにもいろいろなジャンルの本が並ぶ予定。とっておきの1冊と出会い、ここから好奇心の輪が広がっていく、そんな場になれば、と思っています。

これからも、面白かった本、皆さまにお知らせしたい本について、随時紹介していきますね。よろしくお願いいたします。

過去のおすすめ本については、こちらのマガジンからどうぞ。


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