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outback ~もう一つの趣味~


・料理

・旅

・写真

・文章やデザインに触れること


初対面でも、ちょっと仲良くなった後からでも

「趣味は、何?」と聞かれたら、

いつも大体ここから選んで答えている。

この中から選びつつ、時には趣味の掛け算をしながら、

相手によって何を押し出すかを、その時々で変えている。

「この人、旅好きだな。」と分かったら、旅の話を。

「あ〜、この人の撮る写真の世界観が好き。」と思えば、写真の世界でつながってみる。

どっちも好きなら、旅 × 写真でしばらくは延々と話す。

料理好きなら、料理の話題といった感じに。

他には?と聞かれて、ようやく

クルマ…

と、答えるようにしている。

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細かいようだけれど、車ではなく、”クルマ”。

わたしは、メカやムズかしい技術、云々のことは分からない。

ただただ、ボディやいちドライバーとして乗車することにのみ興味があるのだ。

だから、車という響きは自分にはちょっと堅くて

頭の中では、勝手に”クルマ”と変換していたりする。

美しい車体は、アートだ。

MAZDAの赤がいいよね。

〇〇のあの曲線は、ズルいよね。

ニッチな話をすると尽きないので、クルマ好きな方はぜひ直接話しましょう。

大型書店で、クルマ雑誌のコーナーに男性に混じる、似ている姿を見つけたら、それはわたしかもしれません。

声を掛けないでね。

なーんて。

健康診断とかで病院へ行ったら、その待ち時間もオレンジページやレタスクラブといった料理雑誌か週刊ベストカーばかり読んでいる気がする。

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わたしには、19歳から丸8年連れ添った忘れ難い愛車がある。

SUBARUの”レガシィ・outback”

何がいいかって、

SUVであること、ボディのデザインも全部大好きなんだけど、

高速道路での加速力、

カーヴに吸い着くブレないあの感じが

素晴らしかった。

その時々で、誰かと一緒に遠出もたくさんした。

所謂、スバリストだったかもしれない。

アンプにもこだわってあったから、車内で聴く音楽も心地よさも最高だった。

残業終わり、どんなに疲れていても、駐車場で主人の帰りをかしこく待っていてくれている相棒を迎えに行って、

「ただいま」

と声を掛けながら、合流する感じ。

ドンッ。

大きな車体が包みこんでくれる安心感。

乗った瞬間から、そこは誰にも邪魔されない自分だけの空間になる。

エンジンをかけて、

ipodから1000曲以上登録してあるお気に入りの1曲を探す。

シートベルトをつけるのも忘れて、フウゥ〜。と癒しの溜め息を履きながら、

しばらくじっと座ってこの瞬間に浸る。

これが会社員をしていた頃の帰宅時のルーティーンだった。

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19歳で手にしてから、今年の2月に弟に廃車にさせられてしまうまで、ずっと一緒だった。

当時の貯金額のほとんどをつぎ込んだ、生まれてはじめての一番高い買い物だった。

免許取り立てですぐに乗る予定はなかったけれど、ちょうど乗りたいクルマに乗れるかも、という話が舞い込み、このタイミングを逃すとペーパードライバーになってしまう...ような気がして、次の瞬間には、周囲の反対を振り切り「乗ります!」と言っていた。

そこから、わたしのクルマ人生がはじまった。

若いクセに生意気だとか、ちょっと早いんじゃないか、とナメられたくなかったから、いつも手入れだけはするようにしていた。

日曜洗車だって厭わず、手洗いしていた。

スポンジに泡をふくませて、車体を撫でながら、今日もカッコいいなぁ〜、と心の中で呟きながら、愛でた。

隣に乗る人は変わっても、運転手は変わらずずっと一緒だったよね。

突然の別れになって本当に驚いたけど、最終的には今までありがとう、という気持ちしか残らなかった。

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運転がうまい人の横に乗るのも好き。

シンプルに学びがあるし、

何より助手席で寝られるしね。笑

寝てていいよ、そう気を遣ってもらう前に既に寝てる。

わたしという人間はそういう奴です。笑

はい、スミマセン。

寝られるというのは、運転がうまい証拠。

だから自信を持ってほしい。

もし、そうじゃなかったらオチオチ寝てなんかいられないよ!をいつも言い訳にしている。

ちなみに、自分が誰かを乗せて運転するのも好き。

運転に疲れを感じることはほとんどないし、長距離もどこまででも運転していられる。

運転している時は、無心になれるんだ。

まさに、そんな感じ。

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乗り始めの頃、大きな車体と鼻の長さに手を焼いたことも正直ある。

しかも、京都はいちいち道が狭い。

あと、50センチ広くしておいてくれたらなぁ。

縁石にビビりながら、感覚を掴むまでが怖かった。

でも、それも年数を重ねるごとに、やはり身体で覚えていって、

数年経ったら、

「この車は間違いなくかほちゃんの車やね。

息ぴったりだし、何より身体に吸い付いているような感覚があるよ。」

隣に乗ってくれた何人もがそう言ってくれた。

嬉しかった。

自分でも、最初は嫌われていただろうけれど、最近はわたしのこと認めてくれるようになりだした?と思っていたから。

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outbackの意味は、

「未開の地」

奇しくも、手放してから気づくことになった。

SUVが好きで乗っていたけど、

君、やっぱり名前の時点ですでにいいよね。


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いつの日かまた自分のクルマを手にする日が来るだろうか。

どんなクルマかなぁ?

いずれにしても、心配することはないよ。

きっと、あなたよりも好きになることはないと思うから。

でも、あなたと同じくらい可愛がると思うよ。

クルマの話やドライブしたいなぁ、と心が無性に呼ばれている時、

いつもあなたはわたしに楽しかった思い出を蘇らせてくれる。

家の中で縮こまってないで、外行こうや。

走ったら、嫌なことも忘れて気持ちいいで...

そうやって今もどこかで待ってるの?

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物体はなくなっても、思い出は消えない。

現在進行形でわたしの心に生きている感じだ。

いつかまたどこかで会おうね。

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やっぱり、outbackには晴れが似合う。

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