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読書紹介 第5冊 「非モテ」からはじめる男性学

「非モテ」から始める男性学 著:西井開

『非モテ』
この3文字で、どれぐらいの人々を傷つけてきたことだろうか。

『モテない』というこの一事のみで
自分は恐ろしく不幸なのではないか、と錯覚させる。

事実世の中は恋愛至上主義といえよう。
マッチングアプリに恋愛リアリティーショー…

今や全員が恋愛の熱狂に洗脳されている気がしてならない。


そんな現代であるからこそ
今一度考えさせるような1冊である。


本書の疑問点はとどのつまり1つにつきる
それは

本当に“モテない”から苦しいのか?


ということである。
これは全く目から鱗の発想であった。

モテない→苦しいという
単純な因果論に陥ってしまっている、その状況に
一石を投じた著作である。


本書の中には
著書が企画し運営している、
『非モテ研究会』という団体が登場する。

これは毎回少人数で集まり
過去苦しかった経験や恋愛に関する失敗を語り合う場、ということらしい。

互いの話に時には笑い、時には考える。


海外ドラマにおいてよくみる
殺人事件の被害者などが円座になって語る座談会のようなものだろうか。

こう例えると“負”のイメージを帯びてしまいそうだが
書かれているものを見る限り
そうした陰鬱な側面は少ないのであろう。

『非モテ研』に参加する理由として以下のような記述がなされている。

「失敗が再解釈されて、消化していくような気がする。」

これは問題に対する解決策としては、非常に重要なプロセスではなかろうか。



本書の主張をここでは深く掘り下げない

ただ、この本を執筆した動機が最後に語られており
そこだけは紹介の機会をもちたい。

誰かを黙らせるためではなく、自分たちのために自分たちが身を置く社会を見つめるために、『生きづらさ』を掘り起こしていく。

この文章を見ただけでも、この本を開いた価値は確かにあった。


一読の機会を持ってもらえると幸いである。


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