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カズオ・イシグロ関連 おすすめ動画

先日、挫折本レビューでカズオ・イシグロの「遠い山並みの光」を取り上げたのだが、カズオ・イシグロ及びその著作を貶したいわけではないので、YouTube上で彼の作品を推している(または紹介している)動画をピックアップして紹介したい。

余談だが、米津さんの最新アルバムは「LOST CORNER」という名称であり、これがカズオイシグロの著作「私を離さないで」に出てくる同語と関係しているのではないかという噂もあるので、米津ファンにとってもこの作品はチェックしておいたほうがいいかもしれない。

米津さんのラジオかインスタライブで、カズオイシグロの作品も読んでいると聞いた記憶があるので、やはり何かしら関連はあるのかもしれない。


 ※ネタバレ注意 ※ネタバレ注意 ※ネタバレ注意 



1 東大.TV(武田将明先生)

動画概要
・(8:30頃)著者紹介
(16:00頃)作品の特徴、魅力
・個性がある作家。どの作品を読んでも彼の作品だ、と分かる
・明確な主義主張はないが、言葉にできないような感情が盛り込まれている。
・登場人物は真実に振り回されるものの、悲喜劇が描かれる
・(19:00頃)「私を離さないで」についての概要
・(23:00頃)クローンという設定はアメリカ映画(アイランド)にもあるが、当事者が暴動したり政治的な行動をしない点がアメリカ映画と異なる。
・当事者たちは運命から目をそらして忘れたいから、将来の夢を語り合う。
・「臓器提供の猶予」の条件:優れた芸術作品を作り、価値が認められる=魂を持った人間として認められる。
・なぜ芸術は重要なのか。芸術作品は魂だから。
・カズオ・イシグロ作品に共通していること・・・魂が欠けるあるいは本質が奪われる=人間の根源に関わる問題。読者が考える余地がある。
・読んで感じて考えることが醍醐味。できれば原文で読んでほしい。 
・最もおすすめしたい作品は「私を離さないで」


2 flier 公式チャンネル(福岡伸一さん)

動画概要
・「私を離さないで」をおすすめ。
・「遠い山並みの光」:イギリスにわたったカズオイシグロを支えた、5歳までの長崎の記憶が込められている。
・記憶が自分(福岡さん)にとって大事なテーマ。
・絶えず細胞の中身は変えられている。
・記憶は細胞の外にある。細胞と細胞の間の関係に保持されている。
・山手線に例えると、線路はニューロン。駅は作り変えられても関係性(回路)は変わらない。
・物質は交換されても、その関係が保たれていれば記憶は保持される。
・自分にとって大事な記憶=常に思い返している記憶。ペットのようなもの。アイデンティティや過去を支え、希望をもたせてくれるもの。
・カズオ・イシグロの言葉「記憶は死に対する部分的な勝利」(=本人が死んだとしても、周りの人間がその人のことを思い出してくれることは関係性が保持される)は名言だと思った。

3 漫画編集者・佐渡島チャンネル(佐渡島康平さん、三宅香帆さん)

動画概要
・三宅さんの著書でも取り上げた50冊のうちの一つ。
・カズオ・イシグロは長編作は少ない(8作品)が、いろんなジャンルを書くのが好きな作家。私を離さないではSF。
・「日の名残り」は本も映画も良い。
・カズオ・イシグロ作品にでてくる語り手は「信頼のできない語り手」と言われる。語り手が改ざんした記憶なのか、事実なのかわからない。
・登場人物が自分に嘘をついているが、それは自分にとっての真実でもある。
・映像化されているものが多い。
・「クララとお日さま」もおすすめ。親子の話や格差もあり現代的な話でもある。
・「私を離さないで」には自分(三宅さん)が小説に求めるものがすべて詰まっている。死生観。メタファーが多く素晴らしい(例:ゴミ袋が飛んでいくシーン)。
・何度も読むほど面白い。
・カズオ・イシグロは小津安二郎からも影響を受けている。


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