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徒然雲 そんな道を行きたいのだ【円空】

貴重な休みの予定の候補はいくつかあったが、天気を見て決めたのが

『円空』あべのハルカス美術館 鑑賞

近鉄電車利用者はだいぶ前から、この展覧会のド派手なポスターを目にしていたのでは?!
ワタシもこのポスターや、集めたフライヤーの集団の中にも入っていて気にしてはいた。

ただ、円空仏をあべのハルカス美術館で観ることがいいのかどうか
正直疑問にも思っていた。(美術館で観るのいいかどうか)

車内のポスターをボーッと眺めていたとき

『この道が、私の行きたい道なのだ』
『旅して、彫って、祈って』

というコピーにまんまと?!つられた笑

うまいな。


あべのハルカス美術館、初めて訪れた。
そもそも大阪に来ることがほとんどない(こんなに近いのに)
エレベーターで上がり、16Fだがかなり高く感じる。



会場に入ると、巨大な金剛力士像に迎えられる。


金剛力士(仁王)像 吽形



円空

1632年、美濃国竹が鼻(現在の岐阜県羽島市鼻町)に生まれたと『近世畸人伝』に伝わる。(出生地には諸説あり)
かなり早い時期に仏門に入り、23歳に地元の寺を出て伊吹山太平寺に入り修行を積み、修験の道に進む。
その後、寺院には属さず32歳で遊行僧として旅にでた。
北は北海道から西は奈良までの足跡が残る。

その諸国行脚の際に各地で祈り、仏像を彫り、寺院に納めたり、民家に泊まらせてもらった恩義に仏像を残したといわれる。
12万体を彫ると誓い、成し遂げた後に即身仏となって長良川湖畔に入定し、64年の生涯を閉じた。

現在、円空仏と確認される5千数百体の中の約160体を今回観ることができる。



近世畸人伝




展示は
1  旅の始まり
2  修行の旅
3  神の声を聴きながら
4  祈りの森
5  旅の終わり

と分類されていた


また仏像だけでなく、円空が詠んだ和歌や書、墨画もあり
ワタシにはそちらもかなり興味深かかった。

特に、大般若経の扉絵はかなり好みの画だった。
撮影できないのが残念!



世に伝ふ 歓喜ぶ神は我なれや 口より出でる 玉のかづかづ





両面宿儺坐像


両面宿儺(りょうめんすくな)

高山市丹生川町に伝わる、飛騨の豪族「両面宿儺」。
日本書紀によると、両面宿儺は一つの胴体に二つの顔があり、手足が各四本ある怪物として恐れられ、大和朝廷に背いたとして難波根子武振熊(ナニワノネコタケフルクマ)に討伐されたとあります。しかし、飛騨地方では、両面宿儺は武勇にすぐれ、神祭の司祭者であり、農耕の指導者でもあったと言われ、地域を中央集権から守った英雄であったと語り継がれています。

飛騨高山観光HPより




春たてば 消ゆる氷のけさの山 かかる心に 手にとけなん




観音三十三応現身立像





狛犬









円空は様々な仏を彫った。
観音菩薩、阿弥陀如来、不動明王、金剛力士・・・
神様も彫った。

よく並べられる木喰仏に比べると、荒い彫りや厳しい表情の印象があるが
これだけの数が並ぶと、とても穏やかな優しい表情や、とぼけた表情もありちょっと安心。

写真は撮れないものであるが
観音菩薩像 (愛知県 阿弥陀堂)がとても美しく、今回の中では一番好きな仏像だった。



そして、蔵王権現立像 (埼玉県 観音院)が最高!
この躍動感と、んぎゅ〜という表情、シビれた!

蔵王権現がワタシは大好きなのです。
これは色々な仏様を観てきてわかったことで、なぜか惹かれる。






穏やか系
大黒様





諸国行脚した中で、奈良では

護法神像(荒神像) 栃尾観音堂
大日如来坐像    法隆寺
役行者倚像     松尾寺

が並んだ。

栃尾観音堂の円空仏は知っていて、訪れたいとずっと思っていた。
これも今年必ず行こう。


大峯や 天のを川に年をへて 又くる春に 花をみるらん





歩き、祈り、彫り、また歩き・・・

祈りが形になり残り、それが人々の心の拠り所になったり、ひっそりと拝まれたりと様々な経緯をたどった後、現代の我々が改めてその姿を拝する。

その土地その土地で見た苦しい姿や、祈るべき状況で納められた仏たちを
美術館で一堂に並べられたもの観るのに少々抵抗を感じたが、
これはこれで円空仏を作品として観るにはいい機会と納得・・することにした。

見応えはありました。


そして行ってみたいお寺、神社がまた色々出てきた。




拝観後、眺めのいいカフェで休憩。
レジで貼ってあった案内を見て、アイスコーヒーから急遽変更(笑)


まさかこんなところで
自分の仏像が多くの人々に観られるとは・・・




いつもの二上山
西側から見る


生駒方面


山を越えただけで、こんなにも広がる景色が違うとは・・・






祈りの旅で自然の声を聴き、人々の苦しみや悲しみを聴き、
木に魂をこめた遊行僧の生涯。
自分で決めた道を一途に進み、終えた。


天空の美術館で円空の仏の道をみた


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