マガジンのカバー画像

消雲堂綺談

275
私は怪談奇談が好きで、身近な怪異を稚拙な文章にまとめております。
運営しているクリエイター

2021年11月の記事一覧

怪獣大戦争 4

怪獣大戦争 4

その頃、太平洋の南方のソロモン諸島、ガダルカナル、ギルバート諸島、マーシャル諸島、マリアナ諸島、パラオ諸島の島々や海域で、異変が起きていた。まず、ミッドウェー海戦時に沈没した空母「加賀」「蒼龍」「赤城」「飛龍」「龍驤」「祥鳳」などが、完全に元の姿で海中から浮上したのだ。もちろんそれぞれの搭乗員たちも蘇っている。それぞれの島々で戦死した日本兵たちも完全な姿で蘇ったのだ。

レイテ沖海戦に散った戦艦武

もっとみる
怪獣大戦争 3

怪獣大戦争 3

「八岐大蛇」

岩尾市に現れた怪獣と怪鳥が激突する少し前の真夜中のことだ。関東の上空に金色に光り輝く球体が現れた。さらにそれを守るように球体の前後左右上下には20機ほどの円盤が併せて飛んでいる。球体と円盤は何故か日本だけでなく海外のレーダーに探知されなかったようだ。

球体と円盤は、山梨県の方向から現れて、神奈川県愛甲郡清川村に宮ヶ瀬の宮ヶ瀬ダムの上空まで達した。すると球体はゆっくりと宮ヶ瀬ダムの

もっとみる
過去ブログの記事から「京都買います」

過去ブログの記事から「京都買います」

2013年の記事です。

昨夜、NHK BSで放送されていた怪奇大作戦の「京都買います」を久しぶりに見ました。京都を舞台とした同ドラマの2作品は、シリーズ中の最高傑作と言われています。

京都にはビルが建ち並び、古の京都の景観が失われつつあるとともに…ということをテーマにしているようですが、当時は昭和44年です。2013年の今から見れば、当時の京都は充分にまだまだ京都だったのですよ。

その京都で

もっとみる
怪獣大戦争 2

怪獣大戦争 2

3.「怪獣と怪鳥」

岩尾市に現れた怪獣は、全体が岩のような固い皮膚で覆われている。その皮膚には無数の小さな目が何かで押し込まれたように付いている。胴体には首から一体となった鮫のような頭部には、私たちにある顔という常識の範疇である目の位置に、特に大きな目がある。それはグルグルと円を描くように、よく動く。背中には、やはり魚類のような背びれがふたつ、尻びれがひとつあって、それが上下にバサバサと羽ばたい

もっとみる
過去ブログの記事から「怪獣大戦争 1」

過去ブログの記事から「怪獣大戦争 1」

1.「怪獣」

東北の海岸沿いの小都市、福富県岩尾市。季節は春の平日、郊外の山や公園だけでなく街中にも桜が咲き乱れている。渋滞する街の道路、桜が咲き乱れる公園で雑談しながら楽しそうに過ごす老人たちや子供を連れた若い女性たち、街路樹を楽しそうに眺めながら歩く人々。

そのとき、不気味な地鳴りがして地面は徐々に震動する。地鳴りは轟音となって、大きな地震が発生する。大地は割れて大きな地割れがいくつも出来

もっとみる
過去ブログの記事から「常世の神」

過去ブログの記事から「常世の神」

時代は皇極天皇の治世。大化の改新が始まる1年前の皇極天皇3年(644)、富士川のほとりで大生部多(おおうべのおお)という男がアゲハチョウの幼虫(カイコの説もあり)を手にして人々を集めて叫んでいた。

「これは、ただの虫ではない。常世の神だ。この神を祀れば富と命が授かるぞっ!」

蝶の幼虫を神と信じさせる彼の話術は、かなりの説得力があったらしく、周辺の村々で自主信仰していた巫女や祝(ほふり)・・・合

もっとみる