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怪獣大戦争 4

その頃、太平洋の南方のソロモン諸島、ガダルカナル、ギルバート諸島、マーシャル諸島、マリアナ諸島、パラオ諸島の島々や海域で、異変が起きていた。まず、ミッドウェー海戦時に沈没した空母「加賀」「蒼龍」「赤城」「飛龍」「龍驤」「祥鳳」などが、完全に元の姿で海中から浮上したのだ。もちろんそれぞれの搭乗員たちも蘇っている。それぞれの島々で戦死した日本兵たちも完全な姿で蘇ったのだ。

レイテ沖海戦に散った戦艦武蔵も完全な姿で蘇り浮上した。武蔵のほか、戦艦「扶桑」、「山城」、空母「瑞鶴」、「瑞鳳」、「千歳」、「千代田」に重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦、潜水艦も蘇生した。

日本兵たちは、肉体的には完全だったが、精神はなかった。「生ける屍」だった。しかし、ひとつだけ、何者かによって、「自分たちを戦地に送り込んだ人間たちに復讐せよ」という復讐心だけが意識に組み込まれていた。

彼らを蘇らせ、復讐心を植え付けたのは何者か? それは地球の外からやって来た異星人だった。彼らはインフィニティ星人といった。宮ヶ瀬ダムに鳥竜を孵化させたのも彼らだ。通常ならば、自分たちの星が滅亡しそうだから他の星を侵略に来たといった目的があるものだが、彼らの目的は別にあった。

彼らは日本海溝の深海に潜んでいた。海溝に海底基地を作っていた。ドーム型の基地の総数は100以上もあり、ちょっとした海底都市を構築していた。それぞれのドームにはパイプ状の通路が設けられており、基地間を往来できる。中でもひときわ大きなドーム基地には彼らを指揮するグループのものだ。

指揮官はスサノオという名前だった。彼は300年ほど前に数人のグループでやってきて、地球人の姿に変装して、一般市民の中に紛れ込んだ。人間を研究して歴史に精通し、非業の死を遂げた者の念をそれぞれの地から収拾し、人だろうが軍艦だろうが、元の姿に再生することができるのだ。

スサノオは「彼らは自分たちの母国への恨みを抱いたまま死んだのだ。わたしたちは彼らに80年前の復讐をさせるのだ。これから太平洋戦争時の兵器と戦死者たちをすべて蘇らせて日本を攻撃させるのだ」と言って笑った。

南方の地や海底から蘇った軍艦は猛スピードで海上を進み、日本兵たちも考えられないほどの速さで海上を走った。最終攻撃目標の日本に向けて…。


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