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沖縄に一年間住んで書き上げた小説を、毎日2ページずつ公開することにした

こんにちは。ライターの神代(くましろ)です。
去年、沖縄に移住して小説を書き上げたことを記事にして以来の更新です。
あの記事の公開後、いろんなところから反響がありました。日本中を旅してみたりイラストを習ってみたり沖縄に移住してみたり、ふらふら生きているように見られがち(というか実際ふらふらしていますが)な私でしたが、あの記事を読んでもらうだけで私がこれまで何をしてきたのか、この先何をしていきたいのか、そしてどういうスタンスで作品を作ってきたのかが伝わるので、書いて本当によかったなと感じています。
読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます。

さて、今回は表題の通り、沖縄滞在中に執筆した小説をnoteで公開することにしましたので、そのご報告です。
最初にことわっておきますと、表題には「書き上げた」と書いていますが、実はまだ原稿を書いている途中なのです!

というのも、前回の記事で書いた通り、もともと私が考えていたラストから大きな変更が発生(しかも締め切りの前日に)したことにより、その後の登場人物の人生を描き足す必要が出てきたのです。というよりも、彼らにとっては「この先が本題だ!」という感じなのです。私が沖縄で書き上げたのはいわば第一部にすぎず、いま現在は第二部を書いている最中といったところです。
応募した新人賞の選考がかすりもしなかったのもあり(涙)、第二部までちゃんと完結させたらどこかの出版社に持ち込もうと思っていたのですが、今回、noteでの公開を決めました。

高校生の頃から自作の小説をちみちみとネットで公開してきた私ですが、この沖縄で書き上げた小説に限っては、インターネット上で公開するつもりはありませんでした。「作風がネット小説向きではない」と感じていたこともありますが……
退職して沖縄に引っ越したり、円安のさなかパラオまで取材旅行に行ったりして、
この小説を書くためにあまりに時間とお金を使いすぎた!!
のです。すっからぴんどころか、私の財布は大赤字です。
仕事ください!おかねがないの!!(切実)

何より、それまで書いてきたものとは比べものにならないくらい魂がこもった作品なので、そういうものを、無料で、誰でも簡単に読めてしまうようにしてしまうのが口惜しく、また怖かったのです。
私は普段からgoogleドキュメントを使って執筆しているので、リンクを送れば誰にでもすぐに原稿を読んでもらえるのですが、これまでは本当に大切な友人にしかそのリンクを渡しませんでした。

大事に大事に育てた我が子のような原稿を、なぜこの場で人目にさらすことにしたのかというと、それはやっぱり、たくさんの人に読んでもらいたいと思いがあったからでもあるし、「この物語には、今、そしてこれからの世の中を生きるため必要なことがたくさん詰まっている」と感じたからでもあります。
もちろん、ADDressでの旅や沖縄移住など、これまでの私自身の人生で得た気づきも作品に活かされていますが、ふだん執筆していて、私の思想や経験では浮かびようもない文章が勝手に浮かんでくることも多いのもまた事実です。登場人物の言葉に私の方がハッとさせられることも多く、自分で生み出したはずのキャラクターが、私とは切り離された、ひとつの心を持った人間として人生を生きはじめているような、そんなふしぎな感覚があります。
小説を読んでもらうというよりも、目の前の人を誠実に愛しながら暮らす彼らの人生を物語にして見せることで、現実を生きる誰かの背中を押せるかもしれないと思うのです。

私が一年の沖縄暮らしを経て関東に戻ったとき、身に染みて感じたのは「人びとが疲れているな」ということでした。いつのまにか、日本はすっかり生きる意味を見いだすのが難しい国になっているようです。私自身の人生を省みても、18歳のときにきょうだいが精神疾患にかかり、25のときには母が胃癌で亡くなりました。その後、ゲーム制作会社にシナリオライターとして採用され「物語を書いて生きていく」という夢を叶えたように思いましたが、在職中に出会った同僚たちの多くが体を壊し、心を病んでいくのを目の当たりにしました。そうして現場の人間が疲弊しながら作り上げたゲームも、売上が振るわないとすぐに世の中から消えていきました。ゲームクリエイターの仕事に憧れる子どもたちも多いようですが、人間本来の幸福はそこにはないように私には思えたのです。

もう、これまでと同じような生き方はできない。誰しもが、これまで持ち合わせてきた価値観を見つめ直し、あらためなければならない段階に来ている。私は物語を書くことで、キャラクターと一緒に「何のために生きているのか」ということの答えを探し続けているのかもしれません。

本題から逸れましたが、そういうわけで、今日から毎日、原稿用紙にして約二枚分をひとつの記事として公開していく予定です! 
イメージは新聞の連載小説です。原稿を読んでくれた友人の中に、「毎日少しずつ読んだ」という人が何人かいたので、そうできるような公開のしかたがいいなと思ったのもありますし、私が高校生の頃から愛してやまない「氷点」という三浦綾子さんの小説が、朝日新聞の懸賞小説であることも、ちょっと意識しています。
ものごとを継続するのが苦手な私ですが、第一部は書き終わっているので、未完のまま更新をしなくなるということはありません。一日に一度、ちゃんと更新します。

タイトルはあまりちゃんと決めていないのですが、いったん「青のかなた」としておきます。人の魂は海のかなたからこの世にやってきて、死んだあとはまた同じところへ帰る。沖縄のニライカナイ思想を意識しました。
主人公の名前は「光」。ひかる、じゃなくて、ひかり。産みの親である私とは似ているようで似ていないけれど、いいやつです。
通勤の電車の中で、お風呂の中で、寝入りばなにベッドの中で、もちろん旅先でも、好きなときにふっと読んでみて、束の間でも光の人生を体験していただけると、私はとても嬉しいです。

それでは、今日から毎朝?、どうぞよろしくお願いいたします。
記念すべき第1話は、こちらから!
読んでみた感想をコメントでいただけると、私は小躍りするくらい喜びます。

2024年7月7日 神代さわ

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