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煉獄さんの名言から学ぶ、人間の偉大さ。~パスカルの思想と共に~

 先日、地上波で初めて、劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」がオンエアされました。

そして10月10日(日)から、テレビアニメ「鬼滅の刃 無限列車編」がスタート。いよいよ明日になります!

待ちに待った「鬼滅の刃 遊郭編」は12月5日スタートです。
公式HP情報

鬼滅の刃から心の距離が生まれていたこともあって、煉獄さんの姿が新鮮に映り、また心が燃えてきそうです(笑)。

さて、久しぶりに高校倫理と鬼滅の刃を結び付けた記事を書いていこうと思います。

■煉獄杏寿郎の名言から「人間とは何か。」を考える。

私が映画を見て考えさせられたのは、この言葉です。

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(画像元:https://images.app.goo.gl/5Sf9zeo85gjQHhHKA

普段、「人間とは何か。」を考えさせられることはありません。

でも、生きていくうえでこの根源的な問いを考え、答えを持っているかどうかで人生は大きく変わるような気がしています。

人間らしさを突き詰めることが、結局は人生の豊かさにつながっていると思うからです。

この言葉から、炎柱である煉獄杏寿郎の人間観は、
「人間という存在は、愛し、愛され、尊敬されるものである。」という風にに見て取れます。

彼自身、両親、特に母から愛されてきました。そして、多くの人々や後輩の隊員を救ってきました。

当然、救えない命もあったはずです。

目の前の人が死んでいく姿を通し、多くの涙を流した経験があったからこそ、このような言葉が出てくるのだと思いました。

対して、上弦の鬼である猗窩座の人間観は、

「素晴らしき才能を持つ者が醜く衰えていく 俺は辛い 耐えられない 死んでくれ杏寿郎 若く強いまま」という言葉から、

「人間という存在は、老いて、いずれ死んでいく醜い生き物である。」という価値観だと推測できます。

猗窩座から見たとき、彼の目にはこのように人間の醜さが映ったのでしょう。

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(画像元:https://ent.smt.docomo.ne.jp/article/7045976

この2人の価値観を【強さのとらえ方】という視点で見たときに、以下のようになるのではないかと考えました。

煉獄杏寿郎:自らの強さを通し、多くの人を救う。強さはあくまで手段。

猗窩座:強くなることが目的。誰よりも強くありたい。※ネタバレになりますが、彼にも強さを求めた原因はありました。

だからとって猗窩座の考え方が悪いかというと、一概に全否定はできないと私は思っています。

やはり若いほうが、体は元気だし、活力もあります。

私はまだ感じてはいませんが、年齢による衰えは次第に感じるでしょう。

できればずっと知力や体力が全開でみなぎる年齢でありたい、と私も思った時があります。

強いままでいてくれ、という猗窩座の問いかけには深い示唆があると思いました。

この猗窩座の言葉の上で、人生に限りがあるからこそ、美しいという煉獄杏寿郎の言葉を聞くと、その重みを感じます。

■パスカルの思想から読み解く人間観。

実は過去に煉獄杏寿郎と同じ考えを持った思想家が居ました。

「人間は考える葦である」という名言で有名なフランスの哲学者、ブレーズ・パスカルです。

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(画像元:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/79/Blaise_pascal.jpg/200px-Blaise_pascal.jpg

 彼はパスカルの定理やパスカルの三角形を生み出した、数学や自然哲学の天才でもあります。

コペルニクスやガリレオといった科学者が登場し、
人間の理性こそすべてであると言い切ったデカルトという哲学者が出てきた中で、彼はこう言いました。

理性の最後の歩みは、理性を超えるものが無限にあるということを認めることにある。(中略)
われわれが真理を知るのは、理性によるだけでなく、また心情によってである。『パンセ』

人間はが真理に到達するためには、心情が大事である、ということです。

彼曰く、理性も必要であるが、最後は「こうなのではないか?」と思う直観が大事なのだそうです。

数学や物理を極めた彼が、見方によっては非科学的なことを言っているのを知り、私は非常に新鮮でした。

彼はこのようなことを思索しています。

人間は心情がある故に中間者である。人間は考える、という点では偉大だが、自分の弱さや悲惨さを自覚する部分を持っている。
つまり、不安定で矛盾に満ちている。
だからこそ、信仰や愛の尊さが分かるのである。

最後の方はまさに、煉獄杏寿郎の言葉と重なるところがあるなと思いました。

思考という点で人間の偉大さあると同時に、死に向き合わなくてはならない人間の儚さがある。

晩年、彼が考えたことが『パンセ』という作品で描かれています。

深く考えさせられる文章が多いと、つくづく思います。

■[問いかけ]考えてみたいこと

ここまで、煉獄杏寿郎と猗窩座、そしてパスカルの人間観を明らかにしてきました。

共通するのは、「死」というものへの向き合い方です。

私は日頃から生徒に、「どんな将来を描きたいのか」を考えさせるよう意識しています。

ただ、こちらの問い方の方が本質的に迫れるのではないかと思っています。

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「死に向き合った時に、後悔しない生き方とは何か?」という問いです。

50分の授業で行うには深すぎるテーマです。

しかし、こういう問いかけをきっかけに深く人生を考えてもらえたらいいなと感じています。

かく言う私も、まだまだ突き詰めないといけないですが、、、。

■倫理deコソコソうわさ話 ~「煉獄」という言葉の意味~

教材研究の合間に、煉獄という言葉を調べてみたところ、とても興味深い意味がありました。

カトリック教で説く、天国と地獄との間にある所。死者の霊が天国にはいる前に、ここで火によって浄化される。(Oxford Languagesより)

ひょっとしたら煉獄さんは、鬼という存在を火で浄化し、天国、日本風に言えば黄泉の国へ導くためのお人だったのかもしれませんね。。。

いやぁ、、、深い、、深すぎる、、。


長文にも関わらず、読んでくださってありがとうございました。

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