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会社で軽視されがちな「事務員」のプライド

事務のイメージと現実

「事務員ってさ~、デスクでお菓子食ってる仕事だよね?(笑)」
これは数年前に、とある飲み会で言われた言葉だ。

私はこの春で事務員歴8年目を迎える。
これまでに転職経験は2回、3社に渡り様々な事務業務を担当してきた。

事務の仕事は多岐に渡る。
電話対応、お茶出し、書類作成、伝票処理といった、いわゆる「事務員さん」の代表業務。
ゴミだし、備品の管理、お歳暮の仕分け、花の水やりといった、会社運営のサポート業務。
ホームページの更新、SNSの更新といった、ITチックな業務。
最近ではこれらに加え、事務所内の消毒作業も加えられた会社は少なくないだろう。

中小企業であれば、上記の仕事に加え、経理や人事・労務、総務の仕事を兼任している会社もある。
そして“事務員”という言葉は便利なもので、会社の何でも屋さんにされがちだ。
次から次へと、アレをしろ・コレをしろと依頼がくるものだから、一息つく暇さえないときがザラにある。

どう頑張っても定時で仕事が終わらないのに、
退社時間になったら早く帰れ、次の日の朝になったら何でできていないんだと叱られる。
事務員に残業代を支払うのが嫌だからだろう、無理やり定時で終わらせるべく、昼休憩もロクにとれない日もあった。
私の苦労話のように聞こえるが、全国にはこんな事務員がたくさんいるはずだ。
事務員の私が言うのもアレだが、“世の中の事務員さん”は、すごい量の仕事をしているなと思っている。

お菓子食ってるだけで仕事が回ればどれだけ楽か。
やることも覚えることも死ぬほど多い。
世間のイメージと事務員の現実には、なかなかのギャップがあると感じている。

軽視されがちな事務員

冒頭に述べたとおり、事務員の存在は軽視されがちだ。
この7年で、私は事務員以外の職種の人からこんなことを言われた。
「事務なんて誰でもできるでしょ?」
「どれだけ頑張ってもらっても、お金を生み出さない仕事だよね」
「キミはいわゆる“雑用”係だよ」
「営業におまんま食べさせてもらってるって分かってる?」
「近い将来、AIに仕事取られるね」

こんな辛辣な言葉を言われても、悔しいかな100%否定することができないのも事実だ。
では、事務職を選んだ自分を呪い、一生こんなことを言われ続ける会社員人生を送るしかないのか。

事務員は誰にでもできる仕事?

どれだけバカにされても、私は事務員を辞めようとは思わない。
なぜなら事務員である自分に誇りを持っているからだ。

確かに事務員はお金を生まないし、雑用係かもしれない。
営業がとってくる仕事のおかげで給料をもらえているのも事実だ。
でも、これだけは違うと言える。
事務員は誰にでもできる仕事ではない。

「そんな誰にでもできる仕事、よくできるね。退屈じゃない?」
こんなことを言う人間に、事務員の仕事はできない。

事務員に必要なスキルは色々あるが、
私が一番必要だと思っているのは、「思いやりの心」だ。
事務員が誰にでもできる仕事ではないと言い切れる理由もここにある。

思いやりの事務業務

先ほど長々と羅列した事務員の業務。
事務員は、あの仕事をただただこなしているだけではない。

他の社員の休憩時間に交わされている雑談に笑顔で参加したり、
どれだけ忙しくても、出張中の疲れた営業マンからの電話には明るい声で応対したり、
疲れてしんどそうな社員にコーヒーをいれたり、
カリカリしている社員にお菓子を差し入れしたり、
仕事を依頼しやすいよう、いつもニコニコして柔らかい雰囲気を作ったりと、
事務業務に思いやりの気持ちをプラスしているのだ。
社員の些細な変化に気づけるよう、いつも周りをよく見ながら行動している。
これがAIにできるだろうか。思いやりのない言葉を発してくる人間にできるだろうか。

これを“思いやり”と取るか“打算”ととるかは人それぞれだ。
しかしどんな形であれ、こうした社員のサポートができる事務員は、
誰にでもできる仕事に、「その人ならではの価値」を加えられていると思う。
そして私は、そんな仕事が出来ている自分に誇りを持っている。

お菓子くらい食わせろ

大量の仕事をこなしながら、常に周りの変化に気遣い、誠意をもって人に尽くしている。
当たり前だが、こんなことを毎日していては、仕事とは言え自分をすり減らしていく。
そんなとき、私はお菓子を食べる。
よく言う、自分へのご褒美だ。業務中のお菓子くらい許してくれよ、というのが私の本音だ。

働いていると辛いこともある、しんどいこともある、むしろ事務員はその方が多いのかもしれない。
でも、そんな環境下でも仕事を頑張れる事務員は、ものすごく立派だ。
全国の事務員、明日も一日頑張ろう。

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