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山あり谷あり!日系企業のThe Model移行!

セールスフォースの営業ベストプラクティスモデルで知られているThe Modelですが、セールスフォース出身で元マルケト社長の福田さんの著書THE MODELが発売され世の中にも広まっていきました。

海外だと一般的である電話営業モデル(インサイドセールス)を日本のGo To Marketに適応させ、浸透・実践させていったか書いてある名著です。

近年の、トップライン向上に向けたトップダウンでの動き・働き方改革による効率化・COVID-19による対面営業の限界により脚光を浴びております。

私もコンサルタントとして数多くの案件関わらせていただいているので、日本企業に導入していく上でのインサイトを書き連ねようかと思っています。

そういえば昔、こんな記事書いていたので読んでみてくださいませ。

THE MODEL vs Demand Waterfall

The Modelとはという話は上の記事に書き連ねたので今回は割愛いたします。

さて、The Modelはとは営業の分業ベストプラクティスモデルです。この考え方は海外っぽいのですが、海外で言ってもおそらく伝わらないかと思います。

というのも、SiriusDecisionsというシンクタンクによってDemand Waterfall Modelという形で体系化されており、こちらの考えが一般的です。SALとか結構社内で出てくることも多いと思いますが、もとはこのモデルに基づいています。

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ちなみに2017年にモデルが改定されているのですが、そのあたりはまた別の機会に。

さて、The ModelとDemand Waterfallモデル、ファネル型という意味では言っていることは大きく変わらないのですが、この二つで大きく違うことの一つとしてオーナーの定義の有無があげられます。

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なぜ今回これを上げたかというと、これが今回の記事のポイントになるためです。

海外における営業プロセス

Demand Waterfallに関しては欧米で先行しているモデルで、特にアメリカ発ですが、すでに分業されていることが前提となります。それは、

1. 国土の広さ
2. 明確なジョブディスクリプション
3. 個人的には言葉の伝達能力の高さ(話のうまさ)

があげられると思います。(欧米と書いたのでひとくくりにされがちですが、欧と米でも特色が違います。なんなら欧は各国ごとで文化が違ったりするので、さらに細分化が必要です)

1. 国土が広く、対面でのカバレッジに影響がある
2. そのためマーケ・インサイドセールス・クローザーである営業という役割が明確
3. その境目はジョブディスクリプションで明確で、目標設定とそれに基づくインセンティブの賃金体系が明確

これらの条件があり、分業前提で組んだ時のモデルを体系化するだけでよい、というものがDemand Waterfallの思想の根底にあると勝手に解釈しています。

日本における営業プロセスの現状

日本においては、伝統的に営業のカバー範囲が広く、新規開拓~クロージング~顧客対応まで一人で全部やっているケースが多いのではないでしょうか。

例えばリクルートの”ビル倒し”的にドアノックしまくり、名刺交換してもらったら、用がなくても通い詰めて関係性構築し、クロージング後も顧客との関係性維持にお茶のみに訪問するなど。

雑に言うと以下の図みたいな感じでしょうか?もちろん業種・業態によって違いは出ますが大きくズレないのではないでしょうか?

タスク・必要能力・オーナーでざっくりプロットしてみました。

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従来型のを見ると、おそらくベンチャー企業や外資しかわからない方は、「いやいやさすがに」みたいに感じるかと思いますが、結構こんなもんですよ。
一方で下側のThe Model型は、巷で見慣れたプロセス分業の形になると思います。

ここで、上で”オーナー定義の有無が”と上げたものがリンクしてきます。「ふーん、営業がやってた仕事をわけるのね」くらいに思うかもしれません。しかしここの障壁が大きいと思います。理由は

1. もともと自分がやっていた島を荒らされたくない。(属人的にいい感じにやっていたのに急に変えたくない)
2. それにより「実は出来ていなかった」というのを明るみに出したくない
3. そもそも自分以外にできるのかという疑問がある
4. 部門が複数にわかれ、関連する偉い人が変わったりするので社内政治的にハードルが高い (半沢直樹の世界へ)
5. KPI設定方法もわからないので、マネジメント手法がわからない
6. ゆえに評価設定方法が不明瞭、加えて報酬形態も変えられない
7. その他もろもろ…

以前、外資系企業→日系企業に幹部で移られた方とお話しする機会があり、「外資系だと例えばインサイド→フィールドというものがキャリアパスとして存在するが、そのあたりの人事含めて今の組織能力で展開するかは疑問」という話をしていたのが印象的でした。

ひとくくりにできない「BtoBマーケティング」

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会社の大小ありますが、ざっくり伝統的企業とイケイケ企業、日系と外資系にわけてみました。その場合の私がよく聞く典型的な状況です。もちろん個社によって左右されますので悪しからず。

外資系企業で大手のところは割とマチュアなので、プロセスも整っており、海外から落ちてきたKPIをひたすら追い求めている印象です。一方でできたばかりだと、一人マーケティングマネージャーで日本でのロジ回りから作る必要が多い印象です。

日系企業はベンチャー系だとしがらみも少なく(?)ある種、分業型がスタンダードになっているところも多いと思います。そのため講演とかで全面で出てくるので、BtoBマーケティングの印象が強いかもしれません。

一方で日系の大企業だと、講演等の話でも、移行までの「チャレンジ」系が多いと思いますが、やっぱり苦労していらっしゃるところが多い印象です。

最後に:いずれにせよ経営レイヤーがトップダウンで勧めていくことが必須

BtoB!The Model!という風潮がありますが、
会社の規模・風土・製品・売上構成・人材等で大きく変わってくるので、その中でどう適応させていくか、どのようなGo To Market Planを作るかは本当に各社様々かと思うので、参考にするのはGood、ただ何も考えずに真似をすると失敗確率が増えてしまう恐れがあります(〇〇さんが言ってたから、という思考停止はやめましょう)

特に日系企業伝統的企業に関して、一つ言えることは、プロセスの変更だけでなく、人事・組織能力・会社風土・キャリアプランと多岐にわたる範囲になりますので、経営層の理解、できれば経営層がオーナーになる、というレベルで進めることが必要になるケースが多いということは明らかでしょう。

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