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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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2021年9月の記事一覧

推しの芸人とは  第616話・9.30

「テレビに出ている芸人? そんなのつまらないよ」羽佐間は目の前で思いっきり否定した。 「…

待ち構えていた招き猫 第615話・9.29

「これ、お店にどうぞ」ここはクラフトビールの専門店。フィリピン人店長のニコールサントスは…

マレーシアの海外文学 第614話・9.28

「キャメロンハイランドって知っているか」突然兄が、俺に話しかけてきた。「え、ああマレーシ…

女性ドライバーと行く世界観光 第613話・9.27

「観光案内所があるわ。聞いてみようかしら」私は旅をしている。ただし目的のない旅。失恋し会…

2000字のドラマ「若者の日常」  第612話・9.26

「太田君、今日も楽しかったわ」木島優花は、太田健太とのデートの帰り道。立つ人もほとんどい…

暮したい未来のまち 第611話・9.25

「じいちゃん、入っていい」孫の大樹がノックすると、それまで横になっていた茂が突然座りなお…

畳の掃除 第610話・9.24

「うわぁ、もう目が冴えちゃったよ」俺は歯科技工士である。今日9月24日は、シフトの関係で休日だったから、昼まで寝ても問題ない。だが困ったことに早く目が開いてしまった。確かに前の日が非常に疲れていたから家に戻ってすぐに眠る。  それが良くなかったのかもしれない。いつも寝る時間よりも3時間も早く寝たために目覚めが早い。本来なら『三文の徳』と言える早起きはいいことだ。だが俺にとっては布団の中で余韻を楽しむのが大好きだ。 「今日は休み、みんな通勤で大変なのにこうやって布団でゆったりで

赤い曼殊沙華と青い海王星  第609話・9.23

「お、ジェーン。こんなところに彼岸花が咲いているぞ。さすが彼岸の中日だ」「エドワード! …

巌流島で合流  第608話・9.22

「ねえ、幡生駅だって、いよいよ次が下関ね」宮本日菜子は、乗り鉄の夫・順平に話しかけた。し…

十五夜の動物園  第607話・9.21

「今度近くの動物園で面白いイベントがあるのよ」桜奈が同棲中で、リモートワークをしている蓮…

敬老の海老 第606話・9.20

「ねえ、おじいちゃん、おばあちゃん聞いて。僕、昨日の夜、海老になった夢を見たんだ」小学5…

苗字の変更 第605話・9.19

「ねえ、私苗字を変えてみようかなって思うの?」マナコが突然意外なことを言い出したために、…

二次元からのメッセージ 第604話・9.18

「お、間違いない。聞こえるな」アーティストの小初は、ある一枚の人物画の絵を見て呟いた。「…

モノレールの行き先 第603話・9.17

「モノレールと普通の鉄道の違いを知っていますか?」「え、考えた事がない。イメージではわかるけど」俺は今どこにいるのか頭が混乱しながらモノレールの乗り場にいる駅員から質問された。 「そもそもなんでここにいるのだろう?」俺はここまでの出来事を頭の中で整理した。 ---- 「どこでもいいや乗っちゃえ」最初に俺がモノレールを見たのは、仕事からの帰り道。「今日は散々な日だった」週末の午後、取引先でのやり取りを思い出すと気分が悪くなる。ある納品した製品でトラブルが発生した。  その