見出し画像

Vol.13 Tomoya Nagayama|根っこロボット博士

#バイオミミクリー #生きていればいい#根と土を画像解析

1.どのような研究をしていますか?

 博士課程の現在は、”根”と”ソフトロボット”に関連する研究をしています。具体的には、砂の粒径や土の密度(相対密度)が異なる2層でのトウモロコシの根の軌跡や土の変形を調べています。さらに、研究で調べた根の機能を取り入れたソフトロボットの開発に取り組み始めています。根っこから着想を得た柔らかいロボットのプロトタイプをつくり、それをX線CTと画像解析により再び評価するような研究です。
 アカデミア研究以外には、修士時代にトビタテ!留学JAPANから奨学金をいただいて留学しました。その縁でEKKYO.HUBという、”若者の創造性を解放し、まだ見ぬ価値・世界を共創すること”を目的とした団体に加入し、イベント運営を行ってきました。また、「自然を模倣する、もしくは着想を得るとはどういうことか?」を知りたくなり、”バイオミミクリー”をテーマにしたカンファレンスを3度ほど開催してきました。また、自分の研究所だけでなく、イタリア技術研究所が主催したウィンタースクールなどにも参加しています。

フランスのラボのテラスで先生方とパシャリ
イタリア・フィレンツェでのウィンタースクール

2.どんな人生を経て、現在の大学に?

 高校時代は、物理が好きでした。特に力学が好きで、大きなスケールで力学に関する研究がしたいと思い、大学で土木分野を専攻することを決めました。また、後期入試の面接で知った、見えないものを可視化するX線CTの技術に興味を惹かれました。そして、土木学科に入学後は、面接で話した大谷先生の研究室に入りました。研究内容の面白さもありましたが、研究室で感じた「研究のプロセス」に楽しさを感じ、迷わず大学院に進学を決めました。また、大学生活では「いつかやってみたいことは出来るだけ早い方がいい」と常に感じていました。そして大学3年次にフルマラソンを走った時、日本だけを知っているのが勿体無いと感じていたこともあり、「あ、次は、留学や」と直感的に思ったことが研究留学を視野に入れたきっかけです。
 大学院に進学後は、指導教員の大谷先生に留学をしたい旨を伝えると、フランスの大学を紹介していただきました。そして、トビタテ!留学JAPANの奨学金に採択いただき、修士2年の時にグルノーブル(リヨンから電車で約1時間)にあるグルノーブル・アルプ大学に1年間研究留学しました。
 留学中の研究に関する取り組みを評価していただき、博士過程への進学を薦められました。研究テーマも好きでしたがそれ以上に、「フランスで研究を続けた方が未来が予測できず、なんか面白そう」と感じたことで、そのままフランスでの博士課程への進学を決めました。それに、1年の研究留学は現地に足をつけて住んだ感覚が薄かったので、ゆっくり生活したいと思ったことも要因です。
 フランスでは事前に資金を獲得する必要があり、現地の教授にサポートいただきながらクリアしました。博士課程で給料を頂けるのは研究を続ける上ですごく有難く感じています。博士2年の今は、論文やビザに追われながら結局バタバタしていますが、自分が興味のある研究以外の社会的なイベントにも関わることができて充実した時間を過ごしています!(と信じている笑)

グルノーブルといえばアルプスの山が魅力的です。スノーボードしたときの写真です@フランス
森を観察してすごろくに表現する、バイオミミクリーと子どもの創造性にフォーカスした
イベントを開催しました@糸島

3.ちょっとやばかった、今後世に残しておきたい大変だったエピソードは?

直近だと、フランスのビザを取得する時が大変でした。2023年春〜夏にかけて博士進学のためにビザを申請した関係で、フランス大使館にパスポートを預けている状態が続いていました。8月にアイスランド旅行を幼馴染と計画しており、パスポートがないと旅行できないため、パスポートの返却申請を行いました。手渡しではなく郵送と言われたためメールを送り続けながら待っていると、旅行2日前になってもメールの返信もパスポートが届く気配もありませんでした。「さすがに、まずい…」と思い、強めの口調でメールを送ると旅行前日になって手渡しに変更されました。そのメールが届いたのが、東京から福岡空港に着いたタイミングで、福岡空港に着いた直後に東京に戻るという謎の動きとなりました。しかし災難は終わりません。どうにかパスポートを回収できたので福岡に戻ろうとしましたが、雷雨のため飛行機が欠航。そのため代替便を探すなど、どうにかこうにかアイスランドに行く経路を確保したのですが、すべてが時間ギリギリの勝負となったため、空港職員とダッシュしたり、バスの運転手に念を放じることになりました。。。

4.生きている中で大事にしていることは?

 近頃は、フランスの文化も相まって、”根っこのようにゆっくり進み意思決定すること”を大事にしている気がします。もしくは時間をゆっくり流す感じです。日本に住むと情報の波に翻弄されて必要以上の忙しさを作ってしまう、新しいものに手を出して何か頑張った気がした自分がいました。今は、ちょっと心を落ち着かせてゆっくりと取り組むことを意識しています!

歌うのも好きで、アカペラサークルの部長もしていました。ハモるって最高です…
熊本大学に留学していたメンバーとフランスのリヨンで再会。
これからも世界のどこかで再会し続けたいです!

▼所属研究室▼

Geomechanics, 3SR, Grenoble, France

Bioinspired Soft Robotics, IIT, Genova, Italy

▼紹介記事1▼

トビタテ経由で入ったEKKYO.HUBでの紹介

▼紹介記事2▼

アイスランド旅行

編集担当:前田龍成、赤池麻実)
(Kumadai-Hub事務局 :kumadaihub@gmail.com)

***What is KUMADAI-HUB ?***

▶第4回KUMADAI-HUB巡回ポスター展2024の演題登録が開始!

***ポスター展について***
日時:12/1(日) 12:30~18:00
場所:熊本大学工学部百周年記念館
ポスター演題登録:~11/1(金)
事前参加登録:~11/30(土)
参加費:無料 *懇親会は別途必要
***************

▶Kumadai-HUBの紹介ページ🐻(2024)

▶くまだいハブ研究人図鑑


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?