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ごはんぐるり うまし。 4月前半の読書

 4月4日、橋田寿賀子さんの訃報に接したとき、たまたま西加奈子さんのエッセイを読んでいた。西さんもウチも橋田寿賀子さんの後輩、泉陽高校の出身である。橋田寿賀子さんは創立八十周年記念講演のゲストであり、先輩じきじきに「おしん」までの道のりをうかがったりしたものだから、他人事とは思えず遠い親戚を見送るように悲しみが湧いてきた。そして、橋田先輩といえば「おしん」の大根飯や「渡鬼」のごはんシーンだ、食べてる時も作ってる時も家族の食卓には”ごはん”がある。ごはんの存在は偉大なのである。

 大阪人過ぎることがはずかしい、という章。
 その感覚はウチにもある。たとえば、海外リゾートでリラッ~ク~スと洒落こんでるとき、プールサイドから関西弁が聞こえてきたらげんなりしてしまう。ウチは日頃、大阪の外では大阪人カラーをなるべく出さんように、おとなしめ・綺麗めキャラを作っている。ベタな大阪弁をしゃべろうものなら、他府県の人から「おもろい事言ってみて~」だの、「ほれほれ、鋭く突っ込んで!」だの、吉本芸人並みの要求をされる。大阪人はテレビドラマで常に、お茶目な三枚目、あるいは、しぶとくてドけちのキャラクターと刷り込まれてるのだから、諦めるしかない。
 だが、西さんはきっぱり言った。
 海外から帰国し空港に降り立ったとき、真っ先に食べたい日本食は、おうどん、お味噌汁、お寿司、いやいや、お好み焼きだ、と。
まさしく同感である。ただし、ウチの場合は空港から海外へ旅立つ前に「お好み焼き」を必ず食べる。胃が、脳みそが、DNAが欲してやまないのだ。もともと高所恐怖症で飛行機嫌いだから、胃袋にお好み焼きをどっしり蓄えて初めて安心して「行ってきます」と機内に向かえる、毎度の儀式なのだ。

居酒屋で注文する「正解」や、初デートの「正解」など、うんうんとうなづきつつ、やっぱ「卵かけごはん」はハズせんよなぁ、とひとりごちた。

 続いて、詩人・伊藤比呂美氏のごはんはさらに濃かった。

 カリフォルニアでは卵パックに、なんと「生で食べるなと印刷してあるそうだ。「卵たまごをゴクリゴクリと」の章では自らの生卵好きをさらし、
卵好きの父だった。その父も今は亡い。ーーのくだりでは

父が死んでからは後悔だらけ。なんでもっと帰ってやらなかったかとか、なんでもっと寂しさや不安を理解してやらなかったかとか、なんでそもそも老いた親を置いてカリフォルニアくんだりまで来ちゃったのかとか。
 そんなとき、卵かけご飯は、父とあたしをつなぐ一つの線だ。

 日本のどこかで忘れ去られてきた”ウマしもの達”を、これでもかこれでもか、ぐいぐいねちょねちょぐゎしぐゎし、と。その押しの強さと熱量に、ウチは胃袋をつかまれながら読み切った。ああああぁ、ウマかった!


 一方、簡単に優しく解説してある真面目な本二冊。

10年後の仕事図鑑。 by 堀江貴文×落合陽一

2018年ビジネス単行本 第二位だって。

新たに始まる世界で、君はどう生きるか。
自分次第で、未来は幸福にも絶望にもなる。

  本のキャッチフレーズがまさに、いまコロナ禍時代の世界を予言していたようで強烈に刺さる。ふむふむなるほど。今の自分状況とあまりに違い過ぎるが、新しい仕事観が静かに世の中にしみわたっているんだな。解説の図イラストも優しい。過去は変えられないが、未来についてもうちょっと考えを広げてみるにはいい機会だろう。

 さて、あるきっかけで調停について調べなければならなかった。
先月のnote → https://note.com/kumacho_o/n/n4e23f55557ee

4日続いて警察を訪れ、あるいは電話で話したが、”500円でできる調停”を強く勧められた。本を読んでわかった、500円ではなく500円からできる、だった。
100万円超えると4000円だったり10000円だったり内容によって手数料はかわる。そして、当事者の彼女と言えば、印紙って切手みたいなもの?封筒に貼ってポスト入れていいの?というぐらいお気楽だから、笑うしかない。

以上、「調停」について図書館二か所で検索したが、なぜかタイトル違いも含め、石原豊昭氏の本しかなかった。その方面では権威なのかもしれない。

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