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旧作映画みた2:気狂いピエロ&勝手にしやがれ

ゴダールとベルモンド

”ヌーヴェル・バーグ”とはゴダールの枕詞である、と断言できるほど一世風靡したフランス映画監督。1930年生まれの彼が、30歳前後の最もノッテるときの映画ニ本公開。
有名なショットやセリフは知ってるものの、全編通しで観たことがあったか無かったか、はたまたテレビの洋画劇場で見ただけなのか、記憶が定かでない。観ない訳にはいかないだろう。どちらも主演はジャン・ポール・ベルモンド。

妖艶アラン・ドロンか、野生派ベルモントか? 
どっちの男に惹かれるか。二者択一なら,私は迷わずベルモンドだ。
ドロンは観賞用としてはピカいちだが、どうにも深みが足らない。しゃべりもつまらなさそうだ。一方、あぶない匂いがするベルモンドの艶っぽさ、あざとさよ。チンピラと知りながらころりと寝てしまう女たちの気持ちがわかる。ベッドinの前もあとも、破天荒でほっておけない魅力むんむんだから。
2021年没のベルモンドは、この二本では最初から最後まで疾走していた。お洒落で粋で、とんがっていた。

気狂いピエロ

タイトル「気狂い」は、いつのまにか「キグルイ」にカナ変換されていた。
「キ・チガイ」って差別用語に指定されたらしい、と知ったのはこの映画を見る直前で、そのクレイジーな男をジャン・ポール・ベルモンドが怪演。大スターに成長した彼が、この映画を最後にゴダール作品と決別したのが惜しい。

本編では話の筋を追うよりも、色彩や画面カットのセンス、ベルモントのやさぐれ男ぶり、そしてアンナ・カリーナの匂うような美しさを楽しんだ。
即興撮影だったとは後から情報で知ったが、画面に向かって朗読?語りかけるような手法も妙だが、印象に残る。ハサミとダイナマイトの画像が焼きついて離れない。

気狂いピエロ (1965年/フランス) 
Pierrot Le Fou
★★★★☆ 4/5

監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ジャン=ポール・ベルモンドアンナ・カリーナ

勝手にしやがれ

ジーン・セバーグのベリーショートヘアは斬新だった。
街頭でニューヨーク新聞を売りながら記者を目指す、パリ在住のアメリカ娘。まずピッタピタのスキニーパンツにバレリーナシューズといういでたち。しかも“これまで寝た男の数は…”なんて恥ずかしげもなく大胆に答えるなんて、うわわぁ、お見事!
時代の先端をいっちゃってる。オトコマエ過ぎて、惚れてしまうやん。
ベルモンドのサングラスや山折れ帽子、ツイードなのに絹の靴下スタイル、メンズファッションのバイブル映画としても最高やわ。ハンフリー・ボガードへのリスペクトとともに、沢田研二も思い出してしまう、ついでだけど。

映画愛も盛り込まれ、「24時間の情事」や上映館の看板やポスターもわかる人にはニヤリとさせられる趣向だ。

密告者は密告するし、強盗は強盗するし、殺し屋は殺すし、恋人は恋する。

勝手にしやがれ

ラストのシーンも忘れがたい。
ハッピーエンドにならない結末。え?そんな終わり方でええの?! 
「最低」なのは、いったい何だったのか。
「アナタは最低だ」なんて、ミッシェルは吐いていない、1ミリも。
と私は思うのだが、はて--。

もやもやが数日残るのもひとつの味。ヌーヴェル・バーグの代表作として、いつまでも色褪せないだろう。

勝手にしやがれ (1960年/フランス)z
À bout de souffle
★★★★☆ 4/5

監督:ジャン=リュック・ゴダール
原案:フランソ話・トリガー
出演:ジャン=ポール・ベルモンドジーン・セバーグ


【結論1】ジャン・ポール・ベルモンド追悼、あんたやっぱりええ男やわ。

【結論2】ようわからんところもあるけれど、とりあえずゴダールはいつ見てもお洒落。クリエーター目指す男は "なんかゴダール映画のワンシーンみたいだね" 言うといたら、アホな女を口説ける、たぶん(笑)

寺尾次郎さんの字幕はパンフ再録されてた。買ってよかった、いつでもゴダール世界にひたることができる、やったー!

1000000人のキャンドルナイト


話は変わるが、6月1日は大阪梅田界隈では街灯の照明を落として、環境問題について考えようという、キャンドルの夜だった。映画がはじまるまえの黄昏ときに、灯りがともされはじめ…

ゆれる光が幻想的

映画館から出ると、ろうそくの灯に包まれた。
ゴダール健在を祝うみたいだった。

#ゴダール  #フランス映画 #ジャンポールベルモンド
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