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モノクロ映画を観た-2 パリ13区

言葉で説明できない。酔ってしまった。
気になる、会いたい、愛されたい...そんな想いをモノクロームのパリを背景に、深く濃淡を映した作品。
これは、80年代香港映画「恋する惑星」(ウォン・カーワイ監督)に匹敵する。このテイスト大好きだ!!


親愛なる、見ず知らずのひとへ

ルームメイト募集中のエミリーが大音量でカラオケ歌うのは「親愛的佰生人」台湾映画の主題歌。どうやら、台湾出身または中国出身のパリ在住の娘、らしい。
応募してきた「カミーユ」はフレンチ黒人の男性。カミーユは女性名でもありえるから、男性とは知らず、エミリーは誤って同居を承諾してしまった。同居がはじまり、家飲み、若気のいたり?でベッドインするふたり。

”(僕たちは)恋人じゃない、ただのルームメートだ。”

何度か結ばれたあと、バッサリ言われて傷つかない女子がいるだろうか。
しかし、好きの気持ちが先走り、少しずつ壊れていくエミリー。
アパートを出ていくカミーユ。(第一章)

自分は何者なのか

ソルボンヌ大学(名門)に復学した32歳のノラ。大学では若者の輪に馴染めず、思い切ってメイクとウィッグで派手に変装したパーティ会場で、ポルノ女優と間違えられてしまう。

どうして、ノラは今までの生活を捨てパリに越してきたのか。
なぜ、いつもひとりで、自分の殻に閉じこもっているのか。
検索したポルノ女優のサイトと繋がり、彼女には素の自分をさらすことができ、ノラはあることに気づく。(第二章)

モノクロのあざとさ

パリには行ったことがないが、13区は多様性の特別エリアらしい。
漢字だらけの中華レストランは本来なら真っ赤で派手派手しいカラーだろうが、あえて、モノクロのしっとり色調のため、猥雑感が気にならない。
エミリーがバレエのように跳躍するシーンや、地下鉄でノラとカミーユが交わす視線など、陰陽がくっきりと、モノクロを超えて鮮やかで、なまめかしい。

「好き」はすべてのことを超越する。
民族や国籍や性差など多様性はどんどん進化する。一般良識なんて、やっちまえ!「好き」のパンチで一撃なのだ。

私のもっともお気に入りは、失恋でぼろぼろになったエミリーが深夜、寂しさのあまり、姉に「对不起 对不起……(ごめん、ほんまにごめん)」と泣きじゃくって電話するところ。その気持ち、よーくわかる。誰でも通る道だもん。
ラストのカッコよさなんて、ほんまに100%センスのかたまりだ。

登場人物四人、みんな顔の一部だけ

Paris, 13th District (原題 Les Olympiades) / 2021年 フランス   ★★★★☆ 4/5
監督:ジャック・オディアール
脚本:ジャック・オディアール、セリーヌ・シアマ、レア・ミシウス 
出演:ルーシー・チャン、マキタ・サンバ、ノエミ・メルラン、ジェニー・ベス
日本語字幕:丸山垂穂

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