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組み込みエンジニアにあった方が良い5つのスキルとか姿勢とか

先日投稿した自己紹介的な記事の中で、自分を「ITエンジニア(組み込み系)」と書いておきながら1回もそれっぽい記事書いてないじゃん!ってことに気付いたので、1回くらい書いておきたくって筆を執ります。

とはいえ、あまり細かい技術的な話は企業秘密的なアレで語りにくいので、もうちょっと一般的に、組み込みエンジニアってどんなスキル・姿勢が必要なの?っていう話をしたいと思います。一応、新卒で組み込みエンジニアになって今年で10年目。なんとか生き延びたので10年やってみてどんなスキル・姿勢が特に必要だと感じたか?って視点で。

この記事は、組み込みエンジニアを目指す(考えてる)学生諸君や、なんだかノリで組み込みエンジニアになっちゃったけどどうしよう?やっていけるかしら?っていうルーキーの皆様に捧げます。参考にしてね!


1. 必要なときに必要な勉強ができる姿勢

勉強が好きである必要は全く無いと思います。僕も勉強は嫌いです(笑)
でも、組み込み業界は日進月歩。日々新しい技術や規格、法令が出てきて、それに合わせて新しいこと(新しい仕事)をしていかないといけないことが多いです。
例えばスマホやゲーム機を思い浮かべてみてください。それらに搭載されている通信システム(5Gとか4Gとか)、Bluetooth、Wi-Fi、電子マネー、HDMI、USB、などなど、、、どれをとっても数年毎にバージョンアップされたり新しいものが追加されています。ずっと同じ仕様のものだけ作っていれば良いわけではありません。(本当めんどうなことですけど、、、)

新しいことをするにはそれ相応の勉強が必要になるので、そういったときにフットワーク軽く勉強していける姿勢は大切でした。
逆に言うと、色んなことをいつも一生懸命勉強し続ける必要もないと思っています。新しい技術や規格が多いということは、それだけ古びて使われなくなる技術や規格も多いということです(あるいは人気がなくて使われなくなったり)。なんでもかんでも勉強しても役に立たないことがあるので、必要なときに必要なものをしっかり見極めて、それをしっかり身につけることがポイントかと思います。
(余談ですけど僕は昔、FirefoxOSというOSを勉強してました。これはiPhone, AndroidにつづくスマホOSになると言われてましたが、、、。結局まったく流行りませんでしたね、、、まあ、そんなこともあるってお話、、)

勉強って広さ、深さがあると思いますが、そういう意味でいうと広く浅くアンテナをはっておいて、必要なときに必要な深さを勉強すると良いです。アンテナを貼るというのは、IT系のニュースをみたり、雑誌を読んだり、情報を持ってる人と話したりですね。組み込みエンジニアの会社に入ったら、そういう技術オタクみたいな人や、そういう情報を収集、展開する部署なんかもあると思うのでそういうとこから情報を得るのも大事です。


2. コミュニケーションスキル(※コミュ障仲間へのアドバイスもあるよ!)

コミュニケーションスキルは重要です。なぜか?組み込みの現場では必要なドキュメント(仕様書、設計書、手順書)がまともに揃ってることがとても少ないからです。ようするに、まともにドキュメント揃ってないから知ってる人(有識者)に聞くしかないんですよね。
そういう切実な理由から、いろんな人とコミュニケーションして情報を引き出したり、お願いしたりしないと仕事が進みません。

もしかしたら、ここまで読んで憂鬱になっている人もいるんじゃないでしょうか。僕も学生の頃から陰キャでコミュ障なので「いろんな人と話して情報を引き出すなんて無理ゲー」と最初は思ってました(笑)でも次のことを意識したら、人と話しやすくなったり、お願いの仕方も分かってきました。その考え方ってのは、、、。

組み込み現場のコミュニケーションは、他の接客業などのコミュニケーションと決定的に違うことがあります。それはコミュニケーションを取るお互いの利害が根本的には一致しているということです。すなわち「なるべく良いものを、なるべく安く、納期までに作りたい」という思惑の人々が集まっているということ。これを覚えておくとよいと思います。例えるなら同じ船に乗る仲間です。行き先も一緒、沈没するときも一緒です。
(接客業の店員と客のコミュニケーションではこうはいきません。高く売りたいvs安く買いたい、みたいな相反する利害を持ってたりします)

何かを聞く、何かを頼む場合、その瞬間は相手の負担になります。でも、最終的に同じ目的を持っていると思えば、強気に頼んだり、あるいは「教えてもらえたら、こういう良いことがありますよ」という形でお願いできるようになります。エンジニア同士なので、理に適った提案であればキホン受け入れてもらえます。そもそも誰かの知識を分けてもらうということはその人の負担が減るってことなんです。その人への問い合わせも減るし、将来的にはその人の仕事を手伝ったり、代わりにやってあげたりできるわけです。そうしたら教えた人はもっと別の仕事が出来たり、昇進できたりするんですよね。だからどんどん聞いて、頼んで行きましょう。特に新人のうちは!

あと、逆に誰かに教える立場の場合ですけど、絵(図)をたくさん使いましょう。そして絵を見せながら「ここがこーなってて、、、」って話し合うのが最強のソリューションです。コミュ力が全然なくてもオッケーです。同じプロジェクトにいたら、最低限のお互いの背景は分かっているので、後は絵を見せて話してたらなんとか伝わります。(もちろんそれを繰り返していくうちに見えてくるコツ・真髄はありますけど、最初はそのくらいの気持ちで臨んでもらえたら十分です)


3. スコープのバランス感覚

これも組み込み業界あるあるなんですけど、スコープが曖昧なことがめちゃくちゃ多いです。スコープというのは作業範囲や責任範囲という意味で、つまり「あなたの仕事はここからここまで、私の仕事はここからここまで」という区別のことです。この区別が曖昧で、現場の担当者同士でもそうですし会社同士でも曖昧なことが多々あります。契約書にも「随時相談して決める」みたいな書き方してあったり。ここで揉めることも少なくないです。

なので、そんな曖昧なスコープを関係者とどう決めていくかが大切になってくるわけです。スコープは狭いほど仕事が少なくてラクなわけですけど、それで誰もやらないような場所を作ってはいけないし、狭すぎてサボってる、能力が低いと思われるのも宜しくないです。逆にスコープを広くしすぎると仕事をこなしきれなくて炎上してしまいます。なので、このスコープのバランス感覚が重要となってくるわけですね。本当の新人のうちは先輩や上司に「スコープが曖昧で困ってます、きちんと決めてください」というのが正解ですけど、いずれ自分自身で周りの人とスコープの調整ができるようになってきたときにバランス感覚を持っていると、いい感じに仕事量を自分でコントロールできて気持ちいいです。自分の役割を全うできて、なるべくラクなスコープを見つけてください。


4. ドキュメント作成力

コミュニケーションスキルの章で「ドキュメントが揃ってないことが多い」と書きましたが、逆に全く1つもドキュメントが無いって現場も見たことがありません。どこの現場でも何かしら文書で残さないとマズイという認識はあって、限られた時間でできるだけドキュメントを残そうとしてます。
なのでプログラムだけバシバシ書ければいい、ってことはなくて仕様書や設計書を書ける必要があります。

ドキュメントはとかく後回しにされがちですが、作った人の思いや関係した人の約束を後世に伝える唯一の方法です。作り上げられたモノ(プログラムや機械)には製作者の思いは残りません。思いがわからないと、なんでそう作られたのかが分からないので、将来変更したくなったとき、変更していいのか?変更したら何が起こるのか?が分からなくなります。仮に自分で作ったものでも1年も前に作ったものの細かいことは覚えてないものです。だからやっぱり最低限は必要なんです。

で、結局ドキュメント作成力ってなんなの?何が書ければいいの?って話ですけど、、。仕様書や設計書に何を書けばいいのかってのは会社や現場によって大いに異なるところなので、細かいことは自分の現場の先輩に教わってほしいのですが、書き方の基本は学生時代のレポートや卒論と大きく変わりません。目的や結論を最初に述べる、とか図に番号を付けるとか。
学生時代に特別準備することはありませんけれど、レポートの文書構成や書き方について先生に注意されたりアドバイスされたりした人は見直しておくとよいと思います。ドキュメントの書き方は技術が進歩しても変わりません。これは身につけておいて損はありません。


5. 適応力

組み込み業界は日進月歩という話を最初にしましたけど、そうなると、そもそも同じ製品に一生関わっていられることの方が少ないです。僕も10年前はテレビを作りたくて入社して、結局テレビは作れずスマホを作ることになって、それも何年かしたら下火になって今では自動車の自動運転を作ってます。つまり一緒に仕事をする会社も全然違ってくるわけです。スマホと自動車、当然ですけど作るのは違う会社ですよね?
組み込み業界の今後でいうと、医療系やロボット、ドローン、AI、スマートシティなんかのキーワードでまた広がっていくと思います。僕もおそらく次の10年でまた全然違うモノを、全然違う会社さんと作ることになるでしょう。
そうやってどんどん新たな会社や業界と付き合っていくことになるわけですが、その場合、技術的な側面だけでなくて文化的な側面(言葉、ルール、開発の流れ)も違うわけなんです。だから、そういう変化にもすぐに適応できる力(適応力)が必要になります。「郷に入っては郷に従え」ということわざがありますが、関係する業界や会社にやり方を合わせてあげられる、という柔軟さが求められます。こういう柔軟さがないと自分が辛いです。今までのやり方をある意味カンタンに捨てられるような精神的な身軽さ、みたいなものがあるとこの業界で生きやすいかなと思います。


おしまい!

組み込みエンジニアは今、非常に人材不足です。なので、組み込みエンジニアの仲間が増えると良いなぁと思っていますが、ミスマッチ(こんなはずじゃなかった!)が起こるのはお互いに不幸なので、そうならないように僕の経験からみて大事そうなスキル・姿勢を5つあげてみました。

組み込みエンジニアを目指すあなた、組み込みエンジニアになっちゃったあなたのお役に立ちますように。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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