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長編

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複数編の怪談です。一編の長さは中編と同等か若干長いです。
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2023年8月の記事一覧

異形の匣庭 第二部⑨-2【逃走】

異形の匣庭 第二部⑨-2【逃走】

 至る所から水の滴る音が反響して聞こえ、上着を着ないと鳥肌が立つくらいの寒気が漂っている。洞窟は天然の冷蔵庫とはよく言ったもので、まさにその通りの気温だ。山の上にある事も相まって余計に低いのだろう。地面には池にある様な遊歩道が設置され、人二人が余裕で通れる幅はある。道の真ん中と両脇が薄く窪んでいるのは、長年ここに何かを運び入れているからだろうか。携帯のライトで届く範囲の奥を照らすと遊歩道には手すり

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異形の匣庭 第二部⑨-1【逃走】

異形の匣庭 第二部⑨-1【逃走】

 柄の悪い女子達が頻繁に使う「先生トイレ」を使ったのは初めてだった。相当苦し紛れの言い訳だったけどそこは察してくれた様で、特に言及される事なく口論の場から離れられた。嘘をついたのなら堂々と離れに戻ればいいのに、わざわざ律儀に行こうとする所が我ながら子供だと思う。行きたい訳ではなかったけれど、背中に刺さったままの視線も痛いしバツも悪いしで僕の足はトイレを目指していた。
 昨日今朝と教えて貰わないと辿

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異形の匣庭 第二部⑧-2【勉強会】

異形の匣庭 第二部⑧-2【勉強会】

 祖母は昼ご飯の準備をしに行ったので、日付の古い順にひたすら読み漁ることにした。手紙を一枚読む度に説明されていたんじゃ、どれだけ時間があっても足りない。夏休みが終わる前には東京に帰る事が前提で承認された、公認(?)の家出なんだから、有効に使わなきゃ。家出の場所を親に把握されてるっていうのはかなり居心地が悪いけど……。
 二つ目の手紙には夢にお釈迦様が出てきて、仏間の戸が開いているから締めるようにと

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