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令和米騒動奇譚

深夜、スマートフォンに着信があった。

画面に表示されたのは「実家」……電話に出てみると、お袋からだった。

『親父が大怪我をした。容態が危ない。病院にきてくれ』という。

お袋は軽いパニック状態で興奮しているらしく、言っている内容がなんだかおかしい。すぐにでも駆け付けたいと思ったが、実家は新潟。俺は東京在住。今から車を飛ばしても3~5時間はかかる。

とりあえず、新潟市内に住んでいる妹に連絡して、そばについてもらうように言い、俺は仕事用のパソコンと必要最低限の荷物を用意して、実家に向かった。

親父は代々続く実家のコメ農家を継いで、いまも現役で働いている70歳。まだまだ若いものには負けないと頑張っている。

一方俺は、そんな親父を観て「まっぴらごめん」と家を飛び出した40歳。東京でしがないサラリーマン生活。家を継がなかった親不孝者として若干親族から疎まれている。でも先の読めないコメ農家を無責任な気持ちで継ぐほうがよっぽど親不孝だと思ったんだ。両親は納得してくれているのだが多少後ろめたい。その代わりといってはなんだが、親の身に何かあった時くらいはびゅんと飛んで行ってやりたいと思っている。

新潟につくと、妹が出迎えてくれた。お袋はショックで元気がなく、横になっていた。

なんとかお袋に話を聴いたところ、どうやら…

親父は深夜、コメ倉庫に向かった。
泥棒が倉庫にいるのではないか、と言っていた。
その後、いつまでたっても帰ってこないので心配になってお袋が倉庫を見に行ったところ、親父が倒れていた。
今は、まだ意識が戻っていない。

ということだった。

足腰の強かった親父が、倉庫内で転倒して頭を打ったなんてことはあり得ないし、前後不覚になるような病気もちでもない。可能性としては泥棒か…?

最近コメが店頭から消えて、なかなか買えないと、ニュースにもなっているしな。

でもコメが全くないわけじゃないのだ。市場にないだけ。実際、農家の倉庫にはコメがたくさんある。いまは一時的に需要と供給のバランスがヘンテコになっているだけなのである。市場に流通させるためには精米とか、梱包とか、検査とかがあって、そこに時間がかかる。そのへんを想像してみてほしい。本来のスケジュールで行けば正常に行えていたことができなくなっているだけ。コメは潤沢に農家の倉庫にあるのだ。

だが、そんな裏側のことは、いち消費者が詳しく調べたりしないんだろう。だからろくに調べもしないで文句ばかりたらたらいうやつが現れるのである。自分にかかわることのあれこれを、当たり前のようにただ享受するのではなく、どういう風に成り立っているか、ちゃんと自分の眼や足で知っておくほうが、人生安心して立ち回れていいと思うんだけど。

おっと話がそれた。

とりあえず、親父の件については警察も、事件・事故両方の面で捜査をしてくれている。倉庫には監視カメラもつけていたが、不可解なことに該当の時間については映像が乱れて鮮明な撮影ができていないのだそうだ。つまり親父の意識が回復するのを待つほかないのである。

そして、親父がぶっ倒れているということは、農家の仕事が回らない、ということになるわけだが、そこは持ちつ持たれつということで近所の同業者たちが協力し合ってくれることになった。ただ、おんぶにだっこというわけにはいかない。自分たちの田んぼのこともあるだろうし。サラリーマンの俺にできることは限られているが、一応コメ農家の長男である。お袋に話を聴きつつ、できる限りのことをして、親父の回復を待った。

親父は、俺が新潟についた2日後に意識を取り戻した。

「親父!」

俺がそう呼びかけると、親父は照れくさそうにした。

「おお……お前、わざわざ東京から来てくれたのか」
「お袋から連絡あってね」
「すまんなぁ」
「まる2日意識が戻らなかったんだぜ。俺、もうダメかと思ったよ」
「なにいってんだ、俺はそう簡単には死なん」

親父はずいぶんと元気そうだ。べらべらしゃべる。

「頭が痛いとか、ないの?体の具合は?」
「大丈夫だ。別にあいつらと乱闘したわけじゃない」
「あいつら?」
「おう、コメ倉庫にいたやつらだ」
「え!?すると、やっぱりコメ泥棒の仕業だったのか!?」
「泥棒…とはちょっと違う。おい、ちょっと近くに来い」
「なんで?」
「……誰かに聴かれたらマズイ」
「え!?」

そして、俺を枕元に呼び寄せ小声で話し始めた。

「あの日、窓の外を見てビールを飲んでたら、倉庫の方がぼやっと光ったんだ。車のライトとも違う、もしかしたら懐中電灯か?と思ってハッとした…こりゃ泥棒だ!うちの倉庫を狙ってやがるんだと思った。今年はコメがうまく流通していないからな。都会では買占めが始まっているんだろ?」
「まぁ、買占めとまではいかないけど、店頭にはコメが並んでないね…」
「お前はわかってると思うが、農家には精米していないだけでコメはたんまりある。だけどな、今回はちょっとちがうんだよ」
「ちがう?」
「実はなぜか大きなニュースになっていないんだが、今年はな、全国各地のコメ農家やコメの倉庫からごそっとコメが消える事件が起きてんだ」
「え!?」
「もちろんコメ不足になるようななくなり方はしてねえよ?でも、盗人がいることは確かなんだ。国内のやつらか国外のやつらかはわからねえ。それに普通10㎏20㎏盗むんなら、人数がたくさんいるか、トラックみたいなのに乗せるかするだろ?だけどどんなに警察が調べても車のタイヤ跡とか足跡とか、全く見つからねえ。ちょっと異常事態だ」

親父はカタブツで、冗談や嘘を言えるタイプではない。俺は親父の熱のこもった話しぶりにただじっと耳を傾けていた。

「だからよ、うちにもついにきやがったか?!盗みに来やがったんだな!そう思って、倉庫にそっと近づいた。倉庫のカギはあけられてて、中に人がいるのが分かった。俺は差し違える覚悟で倉庫のドアをガラッと開けた」
「おお…!」
「けどよ」
「けど?」
「ありゃ、そもそも人間じゃなかった!」
「え?!」

親父の顔が険しくなった。

「ありゃ宇宙人だ!」

俺は、リアクションに困った。
何を、言ってるんだ?

繰り返すが、親父はカタブツで、冗談や嘘を言えるタイプではない。

「やっぱりどこか頭でも打ったんじゃないの?!先生呼ぶ?」
「落ち着いて聴けよ」
「俺は落ち着いてるよ」
「倉庫のドアをガラッと開けるとだな、そこに、銀色のからだに黒い顔をした二人組がいた。ひょろひょろ細長くてな、ゴボウみてえな足でよ…人間のからだつきじゃなかった。で、俺の顔をみたら、急に地べたに土下座した」
「土下座?」
「そう、それでそいつらは俺にこういったのよ『勝手に入ってすみません。コメが欲しいんです。コメを分けてもらえませんでしょうか』と」
「宇宙人が!?それで?」
「俺、コメを買いてえってことか?と尋ねたら、厚みのある封筒をくれてよ。金は払うと言うわけ」
「いくら入ってたの?」
「それがよ、その中に入ってたのは、おもちゃだったんだよ」
「おもちゃ?」
「そう。ほらお前らが小さいころに遊んでたボードゲームあったろ?えーっとほら、なんとかゲーム。金持ちになったり職業変えたりするあれ」
「ああ、人生ゲーム?」
「そうそう。あれで使ってたようなパステルカラーのぺらっぺらの札束が入っていたわけよ。俺、からかわれてるんだと思って頭にきてよ、口論になった。ひとんちの倉庫の鍵を開けて、勝手に入って、ふざけてんのか、何をいってんだと」
「うんうん」
「そしたら、そいつら、銃みたいなのを懐から出してよ」
「えっ!」
「大声で『すみません』って言って、その銃をバーンって」
「うたれたの!?」
「たぶんな。で、気が付いたらここにいるってわけよ」

俺の頭の上にいくつものクエスチョンマークが浮かんでいた。

何から処理して行けばいいのか。

「外傷は一切ありませんって、先生は言ってたよ」 
「え?そうなんか」

親父はきょとんとして、自分の体をあちこちさすった。

「確かに…いまどこも痛くないもんなぁ。どてっぱらに穴が開いたような気がしたんだが。瞬間の痛みだけだったんか?」
「やっぱりMRIお願いしてみようか?」
「俺の話が信用できねってのか?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「とりあえず、コメが心配なんだ。宇宙人のやつら、味を占めてまた盗みに来たら嫌だからな。おい、ちゃんと鍵かけて見張っといてくれよ」
「あ、ああ」

俺は半信半疑だったが、これ以上親父に刺激を与えると体に毒かと思い、また明日見舞いに来ることを告げて病室を後にした。

わけのわからないことだらけ。病院からの帰り道、車を走らせながら色々思いめぐらせてみる。親父の言っていたことが本当だとして、なんで宇宙人はコメなんか欲しいんだ?そもそも本当に宇宙人なのか。覆面をしたただの泥棒ではないのか。しかし、銃のようなもので撃たれたといってたがそれはどういうことだ。スタンガンのような、気絶させることのできる何かだったのか。

実家の近くまで来た。コメ倉庫のちかくを通りがかった時、倉庫のほうがぼやっと光った。「あっ!」と思わず俺は小さな声を上げた。さっき聴いた親父の話が頭をよぎる。再びやってきたのだ!宇宙人のコメ泥棒が!俺は車を倉庫のほうへ走らせる。倉庫からちょっと離れたところに車を止め、俺は小走りで倉庫に向かった。倉庫の小さな窓に明かりが揺れているのが見える。

(中に、いる)

俺の心臓はバクバクしていた。丸腰だと分が悪い。スマートフォンのライトを電灯代わりにしてあたりを見まわす。そして、その辺に転がっていた角材を手に取った。

ゆっくりと倉庫の扉に近づき、一気に開ける。

「誰だ!勝手に倉庫に入ってるのは!?」

倉庫の中に影が二つ見えた。
スマートフォンのライトをそちらの方向へさっとかざす。

その影は一瞬まぶしそうなそぶりをしたが、とびかかってくる様子もなく、そこに立ち尽くしていた。

「ここで何してる!泥棒か?」

影の主は、流暢な日本語で、弁明した。

「滅相もない!泥棒だなんてそんなつもりはありません!でも倉庫のカギを開けて勝手に入ったことは謝ります!ごめんなさい!」

若そうな男の声だ。

「ここに来れば、おいしいおコメが手に入ると教えてもらって…それで、ぜひおコメを分けてほしいと思って…頼みに来たんです!」

こちらは若い女の声。

二人とも、ぴったりとした銀色の服を着ておりサンバイザーのようなものを顔につけている。まるで外国のファッションショーのようなド派手で前衛的な格好だ。表情などはわからない。だが人の形はしているようだった。攻撃的な気配が全く感じられないので、俺は冷静に話をしてみることにする。

「あのさ、コメを分けろとか何とかちゃんと話し合う気があるんだったら、俺、話聴くから。まずそのへんてこなものをとって顔を見せて話してくんない?」

男女は顔を見合わせて、うなずくと、サンバイザーのようなものをとった。血が通っていないような、真っ青な顔色をしている。

「話せば長くなるんですが…実は、われわれは西暦5024年の日本からタイムトラベル申請をして、2024年に旅行しに来たものです」
「タイム…トラベル…?5024年!?」
「はい!」
「にわかに信じがたい話だが……なんでそんな未来のひとがこの2024年の日本にやってきたんだ」
「コメを、手に入れたくて…」
「コメ?なんで?」
「あの、誠に申し上げにくいのですが……西暦5024年の世界にはコメがないんです」
「え!?」

俺は耳を疑った。

「コメが……ない!?」
「はい。コメのような食物はあります。コメを模した加工品ならば……でもコメそのものがない。植物としてのコメが絶滅したのです」
「なぜ?なぜそうなった!?」
「環境破壊や温暖化が進み、海の水位が上がって……世界のあちこちが水没
し始めたんです。日本も例外ではありませんでした。田植えができなくなり、かといって代替案もなく、コメを…作れなくなって…それで…」

映画で観たような話が……未来に……

「なんてことだ」
「そこで未来のわたしたちは、過去にタイムスリップをして、コメを買い付けたり、分けてもらうことを考えたのです。政府もそれをOKとした」

俺はここで、はっとした。

「わかったぞ。あんたたちのような未来人があちこちの倉庫から盗みをはたらいてるんだな?」
「えっ?」
「こっちは全国各地で倉庫からコメがぱっと消えちゃって犯人が見つからず、ひと騒動が起きてんだよ!そのせいでコメの流通がうまくいかなくなってしまって、家庭が困ってんだよ。タイムスリップという素晴らしい技術を、まさか盗みに使うなんて!」
「わたしたちは盗みたいわけじゃないですよ!買います!お金もあります!」

封筒からちらっと見えている札は、親父の言っていた、パステルカラーの紙幣だった。タイムスリップやらタイムトラベルがどうのという話はさておき、3000年先の未来にもまだ紙幣が存在するんだ…

1枚、紙幣を引き抜いてみる。
1万円・日本銀行券、とちゃんと書いてあるな。
そう思いつつ、紙幣を封筒から最後まで引き抜いてみた。

印刷されていた肖像画を観て、驚いた。

「ええっ!?このひと、3000年後紙幣になるの!?」

そこに印刷されていた人物は、とあるジャンルで史上最年少で勝負を勝ち進み、無敗で公式戦最多連勝の新記録を樹立した有名人だったからだ。

「なんで?この人が?」
「ああ、この時代では最年少の高額プレイヤーだったんでしたね?このお方は、プレイヤーを引退して事業家に転向したんですよ。そして政治家にまでのぼり詰めて日本の経済界を救ったドンなんです。この人には足を向けて寝られませんよ、日本人は」
「へえ…未来って何があるかわからないものだな…」

って感心している場合じゃない!!

「なんで未来の紙幣でコメを買い付けられると思ったの!?ダメダメ!それに親父と交渉した未来人は、交渉成立してないのに、親父を気絶させて勝手にコメを持っていったんだよ!もっとダメだろ!人間としてなってない!未来の日本人ってそんなに自分勝手でノータリンになっちゃったわけ?俺、がっかりしてんだけど!」
「前回ここにきた人たちはわたしたちとは別の人たちですし……そんな交渉をするなんて!それは一部の身勝手な人間だけです。わたしたちはそんなことは…」
「あ…もしかして江戸時代の米騒動とか……あんたたちのようなタイムトラベラーの未来人が起こしているんじゃなかろうね?!」
「とんでもない!私たちは政府から公認をうけた旅行者です。映像資料や具体的な記録が残っていない時代、史実の確認がはっきり取れない時代への渡航を試みるやつらは、大抵無許可でタイムトラベルをする反社会的勢力や悪徳ブローカーですよ。闇市の人たちです!」

反社会的勢力……悪徳ブローカー……闇市……
未来の日本のはずなのに、なんか治安悪そうだなぁ……

そもそも!
そもそもだよ?
コメが食べたいと思うなら、もっとやらなきゃいけないことあるだろが!

俺は思わず熱くなる。

「真剣に考えてよ。未来人は文明に頼りすぎて脳みそちっちゃくなっちゃった?視野が狭くなってるんじゃないの!?未来でコメが食べたいんなら、コメじゃなくて……種籾!コメの元になるモノを持っていけばいいだろ!」
「あっ」

俺の話を聴いて、未来人は目を見開いていた。

こんな当たり前の話に対し、明らかに”目から鱗が落ちた!”みたいな表情をしていた。

「なるほど!育てる!?育てるところからやればいいんだ!」
「そもそもタイムスリップできるくらい科学が発展してるのに、なんで環境破壊を食い止められてないんだよ……しかも、未来人は農業のやり方も忘れちゃってる状態なのか?未来の日本の文部科学省とか農林水産省は何やってんだよ…」
「それは、おそらく我々の不徳の致すところです……コメのことに限らず……科学や便利さに甘えて、自分勝手に暮らすようになってしまった我々の……」

未来人ふたりは、しんみりしていた。

その雰囲気から、俺は5024年という自分の見ることのできない未来が、素晴らしい未来でないことを想像してしまい気が重くなる。

気を取り直して話を進める。

「環境が変わったとは言っても、多少の土はあるんだろ?」
「大部分が海水に浸かってしまいましたが、多少は残っています」
「じゃあ田んぼを作れ!種籾をあげるからさ!稲育てて、田んぼ作って植えてよ!それといま【海水稲】っていうのが開発されてんだよ」
「そんなものがあるのですか?」
「ああ。正確には【耐塩性水稲】っていう稲でね、塩性・アルカリ性土壌に生育できるっていう触れ込みなんだ。こっちの時代ではまだ実験中だと思うけど、タクラマカン砂漠とか、チベット高原とかに田んぼ作って試験しているやつがあんのよ。未来にはそれももうないのかなぁ……もし俺のあげた種籾でうまくいかないようなら、そっちの研究所を訪ねて、うまく頭下げて、【海水稲】を提供してもらってきなよ」
「ありがとうございます。ちょっと、端末に情報記録しておきます」

若い男がスマートウォッチみたいなものを操作して情報を入力する。
そういう端末まだ、未来にあるんだな……なんて思いながら未来人の二人を見つめる。二人はとっても嬉しそうな表情をしていた。

「未来の地球でタイムトラベルできるくらい科学が発展してるんだから、昔のデータベースとかひっくり返したらコメの育て方くらいわかるだろうしさ、なんとかできるんだろ。もしわかんなかったらまたここにきてもいいよ。少しくらいなら何か教えられると思うしさ」

俺は、種籾を未来の若者たちに持たせてやった。

「何とかうまくいくといいな」
「ありがとうございます」
「あと、せっかくだから俺のとこの田んぼで作った米もやるよ。うまいんだぞ。炊き立てが特にうまいんだ。10㎏でいい?」
「わぁ、嬉しい。10㎏っておにぎり何個つくれます?」

若い女は目を輝かせている。

「普通の大きさだったら100個以上は作れると思うけどね」
「そんなに!わたしうれしい!親戚中に配らなきゃ!」
「あの…お代は…」
「え?ああ、さっき引っこ抜いたこの1万円だけもらっとく。記念に」

俺はそう言って、おもちゃみたいな未来の紙幣をぴらぴらなびかせながら笑った。

未来の若者たちは、俺のあげた種籾とコメをもって未来に帰っていった。

その後、未来がどうなったか知る由もない。
ただ、倉庫からコメがなくなるという不可解な現象はぱったりなくなった。

また、俺はその出来事がきっかけでコメ農家の仕事、そしてコメ生産の未来について考えるようになった。そして、親父の跡を継いでみることに決めた。ちょっと遅すぎる決断だったが、まだ間に合うだろう。コメが絶滅するなんていう悲劇は俺が食い止める。

◇   ◇   ◇

そして、時は流れ…
俺がコメ農家を継いで、3年目の夏。
いつものようにコメ倉庫を点検しに行った時のことだ。

「あれ?」

倉庫を入ってすぐのところに大量の米袋が積んであった。

見慣れない米袋だった。

「うちの田んぼでつくったコメじゃないよなぁ?なんだ?これ?」

米袋を確認してみた。

観ると【5054年製造】とかいてあった。

(おわり)

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作者覚書
【令和米騒動奇譚】
2024年8月21日 執筆スタート
2024年9月1日   公開

※駆動トモミとメルダー仲倉氏の何気ない雑談からヒントを得て書きました。お米、早く供給安定するといいね


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